第二十二話 見つかった六人目
零「な....んで....」
あまりにも信じられなかった
信じたくなかった
先程まで隣にいた悠が死んだ?
なんで....
白石は笑みを浮かべ
その胸を貫いている腕を引き抜いた
悠「がはっ.....」
悠は血をドバドバと垂れ流し
その場に倒れ込んだ
白石「悪いな」
白石「殺しは禁止されてないらしいからな」
白石「急所を狙わせてもらった」
白石はゆっくりと学園長へと歩を進め
白石「ね、もういいでしょう?」
白石「彼は戦闘不能です」
白石「宣言をお願いします」
学園長「.......」
学園長は一度その無残な姿で倒れている悠を見つめ
学園長「これにより....」
しかしその瞬間....
ドクンッ!ドクンッ!
そんな心臓の音が響き渡った
その音はよく聞くと悠から発しており
そして...
零「......え?」
僕はそのありえない光景を見てしまった
先程まで心臓を貫かれ助かるはずのない悠
しかし....
貫かれたであろう胸部の風穴は完全に塞がっており
悠「......ん?」
悠はゆっくりと体を起こした
悠「あれ?俺死んだはずじゃ....」
会場はざわめいた
そりゃそうだろう
死者が復活したようなものなのだから
白石「お、お前!!なんで生きてるんだよ!?」
悠「いやだから俺も知らないんだって....」
白石は悠に向き直り
白石「まあ、いい」
白石「もう一度殺すだけだ!」
その瞬間
白石の体が大きく動き
悠の目の前にまで移動した
悠「えーもう戦うのいやなんだけど」
悠「めんどくさいしいっそ最強の剣とか出てきてくんないかなぁ」
悠がそんな言葉を溢した時...
悠「......あれ?」
その瞬間
悠の手には白く光り輝く剣が握られていた
零「っっ!」
僕はその悠が持つ剣に見覚えがあった
いやないわけないのだ
だってあれは....
僕の....
悠はその剣を弄び
悠「よく、わかんないけど...」
悠「使える物は使わないと損だよね」
そう言って
その距離を詰めてきた白石の胸部を
ザシュッ!!
そんな嫌な音を立て貫いた
貫いたその瞬間
パッとその剣は悠の手から消えてしまった
白石は血をドバドバ流しながら地面に倒れ
2度と立ち上がる事はなかった
会場は緊迫していた
誰も唾すら飲み込めない
そんな状況だった
しかし悠はこちらなんてお構いなしに
自分の掌を見つめ
悠「俺の能力って省エネの能力じゃなかったのか?」
悠「なんでこんな事が....」
悠がそんな事を呟くと....
学園長「見つけた....」
学園長は悠を指差し
学園長「六人目....」
そう、呟いた
悠「六人目?どういう事ですか?」
学園長は黙りこみ....
いつもの不気味な笑顔を顔に貼り付け
学園長「あぁ、すまないな」
学園長「少し取り乱した」
学園長「第五試合」
学園長「白石凪を降格とし」
学園長「月城悠をDクラスとする!」
悠「.......?」
悠はそんな納得していないような様子で闘技場を後にした
観客席に戻ってくると....
悠「ねぇーなんか俺した?」
悠がそんな問いかけを投げかけてきた
悠「なんかクラスメイトからも避けられてる気するんだが.....」
零「.......」
零「なんで.....」
零「なんでお前があんな力を使えるんだよ!!」
零「お前の力は省エネの力だったはずだろ!?」
零「なんでお前が....」
僕は感情のままに悠の胸ぐらを掴んでいた
もう止まれなかった
自分が呪いとしてずっと扱ってきた剣をこいつは何も知らないでただの武器として剣を振るった
零「お前に....」
零「お前にあの剣を扱う資格なんかねんだよ!!」
悠はただ僕を見つめてくるだけだった
やがて口を開き....
悠「ごめん」
ただ、それだけ言った
零「......」
悠「俺には何も分からないんだ」
悠「なんで俺が死んだのに生き返ったのか」
悠「なんであんな剣を顕現できたのか」
悠「そして...」
悠は僕を指差し
悠「なんで零が....怒ってるのかも」
悠「俺はただ謝る事しかできない」
悠「だから」
悠「ごめん」
零「っっ!!」
僕は悠のそんな言葉を聞き頭が冷えた
僕は胸ぐらを掴んでいた手を気づけば離していた
零「生きてて良かったよ」
僕はそれだけ言って
自分の試合も終わっているため
一人寮に帰るのだった
美月「あらら、神谷君帰っちゃった」
そんな声が後ろから聞こえてきて俺は振り返った
悠「....美月、だっけ?」
美月「うん、そだよ」
美月「それにしてもさっきのすごかったね?」
美月「どうやってやったの?」
悠「......俺にだってわかんないですよね」
美月「......」
美月は目をパチパチとさせ
美月「君、おもしろいね!」
悠「.....え?」
美月「まさか神谷君の他にも面白い子がいたなんてね」
美月「ぜひとも私を嫉妬させるような強い能力者になってね?」
それだけ言って美月はどこかに行ってしまうのだった
司希「.......」
俺は屋上の柵に寄りかかり夜風を浴びていた
俺は懐からそれを取り出し火をつける
口に含みそして吐き出す
司希「ふぅ」
司希「やっぱこれが1番頭がクリアになる」
司希「......」
今回の試験で様々な事があった
初めての個人戦
今までクラスメイトに助けられていた奴が下位のランクに落ち
クラスメイトに足を引っ張られていたやつが上位のランクに上がった
不慮の事故で死人も出たな
だが何よりも
司希「あいつだよな」
名前は確か...
月城悠だったか?
司希「あいつの能力は....」
司希「怠惰、だろうな」
司希「学園長はどうするんだろうな」
司希「あいつをプレデターに入れるのか」
司希「最後の一人を見つけるまで待つのか」
司希「まぁ....」
俺は吸い終わったタバコを地面に投げ捨て踏みつけた
司希「最後の一人は....」
司希「どうせあいつなんだろうけどな」
俺はそう吐き捨て、寮に帰るのだった
第二十二話 終了




