第十九話 逃走者と再試験
零「なんで....」
そんな時....
スタスタと足音が響いた
美月「あれ?」
美月はニヤリと笑い
美月「今日はもう終わりだよ?帰んないの?」
僕は美月に詰め寄り
零「なんで——」
美月「ん?」
零「なんでお前があの力を使えるんだよ!!!」
美月「あれ?なんで君があの力を知ってるの?」
美月「彼とそんなに関わりあった?」
零「あっ——」
美月は面白そうに笑い
美月「へぇー?」
美月「やっぱ君面白いね」
美月「でも安心してよ」
美月「私の力は彼には及ばない」
美月「たとえば...」
美月「<もしも>突風が吹いたら」
その瞬間...
ヒューと
突風が吹き
その風で吹っ飛ばされた僕は...
零「あがっ!」
フェンスに直撃するのだった
そんな僕に美月は歩み寄り
見下ろしてきた
美月「ね?彼だったらこんなフェンス突き破るほどの突風を巻き起こしてた」
美月「私は精度も威力も及ばないんだよねー」
美月は踵を返して
美月「早く寮に帰った方がいいよ」
そう言ってどこかに行くのだった
零「.......」
一人残された僕は
零「これだからプレデターは嫌いなんだ...」
そう吐き捨てるのだった
僕は寮に帰りベッドに横になった
零「もしも、か」
その言葉が僕の頭から離れなかった
僕はあの言葉が嫌いだった
小さい頃から....
僕は自分の力が嫌いだ
あの力は全てを壊す
しかし....
僕はこの世界に楯突く事をしなかった
強大な力で屈服させ、悪に堕ちてやろう
そう思った事もあった
でも、僕はそれをしなかった
いや....
できなかったんだ
僕の隣にはいつも僕以上の存在がいたからだ
——もしも——
その言葉だけで全てを叶える世界最強が僕の隣にいた
だから僕はあの言葉が嫌いだ
いやお前が心の底から嫌いだったよ——
僕がそんな事を考えていた時...
窓の外から少し物音がした
僕はカーテンを開け物音がした方向に視線を向けると
風が吹いていた
零「.....気のせいか」
僕はそう思ってカーテンを閉めようとすると...
ビュー!!と
風からでるはずのない轟音が耳朶を叩いた
僕はもう一度窓の外をよく見ると
地面に倒れている男と
屋上に人が立っているのを発見した
屋上にいるそいつはフードを被っていてよく顔は見えなかったが
チラリと銀色に輝く髪が見えた
もう一度屋上に視線をやるとすでにそいつは消えていて
地面を見ると倒れていた男も消えていた
零「彼には及ばない、か」
僕はそう呟き睡魔に身を任せ眠りにつくのだった
次の日朝起きて学校に向かうと...
放送「緊急で全校集会を行う」
放送「至急体育館に集合しろ」
そんな放送が学校中に響き渡り
僕達は体育館に向かった
向かうと学園長がすでに壇上に立っており
そしてその隣には...
悠「あいつは...」
零「あぁ....」
零「<御影だ>」
学園長の隣にはボロボロの御影がいた
学園長は御影に指を差し
学園長「こいつは昨日深夜この島からの脱出を試みた」
学園はざわついた
学園長「これはこの学園で最も重い罪だ」
学園長「プレデターが見つけなんとか場を収めたが」
学園長「君達は絶対にしないように」
僕は昨日の出来事を思い出していた
地面に倒れている男
そして屋上に立つ男
あの物音は二人の戦闘音だったのか...
僕がそんな事を考えていると...
学園長「私がこいつになんでそんな事をしたか聞くとこいつは」
学園長「クラスの奴らが弱かったせいで俺がFクラスになった、俺はこんな所にいていい器じゃないと言った」
学園長「私はこいつを許そうとは思わない」
学園長「しかし....」
学園長「こいつの意見も一理ある」
学園長「クラスはあくまでも最初の能力値」
学園長「今は強い、なんて事がひょっとしたらあるかもしれない」
心なしか距離があるのにも関わらず学園長と目が合った気がした
学園長「だから私はこいつにもう一度だけチャンスをやろうと思う」
学園長「試験をしたばかりで申し訳ないが...」
学園長「明日もう一度君達には入れ替わり試験を行ってもらう」
学園中がその前代未聞の事態にざわついた
反発するものもいた
学園長「今までとルールを変える」
学園長「今まではチーム戦だったが、これからは個人戦に変える」
学園長「ルールは簡単」
学園長「こちら側が下位のランク一人上位のランク一人をランダムで一人ずつ決める」
学園長「その戦いで勝てば上位へ昇格」
学園長「しかし、そこで負ければ下位へ降格だ」
学園長「あぁ、後...」
学園長「私は今回の件を経てやはり無能は学園にいらないと判断してね」
学園長「この試験でEランクに上がれなかった者またはFランクに負けた者はその時点で退学とする」
学園長「試験のルールは以上だ」
学園長「さて、前代未聞の臨時入れ替わり試験」
学園長は不敵に笑い
学園長「楽しむとしようじゃないか」
そういうのだった
第十九話 終了




