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第十五話 紛い物の勝利

白が弾ける

視界が戻る

体育館

全力の攻撃の勝負の勝者は.....

御影「はぁ....はぁ....はぁ....」

俺だった

御影は地面に膝をつき、洗い息を吐いていた

御影「クソがぁ....」

零「......」

しかし....

俺も御影程とはいかずともその体には確実にダメージが入っていた

体全体が痛く鉛のように重たかった

さっきの反動か

御影「まだだっ....!!!」

御影「まだっ...!終わっちゃいねぇっ!!」

御影は無理矢理立ち上がる

足は震え、視線もこちらを向いていなかった

御影「おらぁぁぁぁぁ!!!」

ギシッッ

空間が歪む

御影は最後の力を振り絞り衝撃波を放った

しかし....

その攻撃は何も意味を為さなかった

エネルギーが底をついているのか威力、スピード、精度、どれをとっても恐るるに足らないものだった

零「......」

半歩

ただ、それだけ

それだけで俺はその衝撃波を回避していた

御影は膝から崩れ落ちた

御影「なんで...だよっ!....」

御影「なんで俺がっ!!!」

俺は静かに踏み込み

俺は首を横に振り

零「....もういい」

剣は出さない

俺は拳を握る

零「お前があまりに眩しすぎるんだ」

零「これ以上は....」

零「俺が俺を嫌いになる」

そして....

俺はその拳を....

振り抜いた

ドゴッ!

そんな鈍い音が体育館に木霊する

御影「がっ.....」

御影の体が崩れ落ちる

そして、そのまま床に倒れ込み

動かない

静寂

零「終わりだな」

俺がそう言葉を溢すと

学園長「そこまで」

静かな声が響く

学園長「勝者....」

学園長「神谷零」

学園長「よって...」

学園長「Fクラスの勝利」

学園長「今日を持ってEクラスとFクラスを総入れ替えとする」

学園長「以上で入れ替わり試験を終了とする!」

学園長は高らかにそう宣言した

零「......」

俺は何も答えない

ただ、倒れた御影を見下ろす

そして

ゆっくりと視線を外し

俺はあいつらの元へ戻るために体育館の出入り口に足を向けた

コツコツとその足音は体育館に響いた

俺...

いや

僕はドアに手をかけた

ガラガラガラガラ

僕が扉を開けると僅かに光が差した

さっきまでの張り詰めた空気とは違う軽やかな空気が

僕は一度大きく深呼吸をした

しかし....

零「はぁ....」

僕から代わりに出てきたものはため息だった

自分でも不思議だった

勝ったのに負けたかのようなそんな感覚

心の底から喜べなかった

なぜだろうか...

いや....

そんなの僕が一番理解してる

あんなのは紛い物でしかないんだ

あれはもう...前世のものなんだから


僕は前世勇者だった

別に僕自身清い心を持ち合わせている訳ではなかった

しかし、僕は実力を持ち合わせていた

勇者の器だとみんなが僕を崇めた

勇者の器に生まれた以上僕に人権なんてなかった

勇者は偉い?

そんな事は夢物語に過ぎなかった

僕は国の人が集めた人達と勇者パーティーを組まされ魔王討伐に向かわされた

僕はただ無心で剣を振るった

これで民衆が救われるならと

僕は自分が持っている全力をもってしてモンスターを討伐していた

だけど....

僕には何かをやり遂げたいっていう強い信念がなかった

ただ勇者の器に生まれたから剣を振るっていた

だから....

僕は簡単に魔王にやられてしまった

その圧倒的なまでの力に僕はなす術なく殺されてしまった

だけど僕は死ぬ直前にこう思った

——嬉しいな——

そんな勇者が絶対に思ってはいけない事を僕は思った

あぁ...僕はもう役目を終えたんだって

誰かのために剣を振るわなくていいと考えただけで心が躍った

僕は世界に別れを告げ、意識を落とした

永遠の眠りについた

.....

つけれたと思っていた

僕は次に目を覚ました時には知らない天井だった

そこには父らしき人母らしき人そして....

兄らしき人がいた

そこで気づいた

僕は転生したのだと

それも異世界ではなく同じ世界線に

しかし世の中は信じられない程に変化していた

人々は能力というものを手にし

魔王も姿を消して今は消息不明だった

人口の約1割しか能力を持たないようだが

僕はその能力をこの身に宿した

しかし...

僕はいつまで経ってもその能力を発現させる事ができなかった

しかし僕はある事に気づいてしまった

僕は世界を呪った

僕は前世の力を持ったまま転生をしてしまった

その忌々しい力は僕から離れてくれなかった

しかしここは能力史上主義の世界

僕はその力に頼らざる負えなかった

しかしその力はあくまで前世の能力

それを今世で扱うというのは世界のルール違反と言ってもいい

誰かに見つかれば面倒な事になるのは火を見るよりも明らかだった

だから僕はそれをあまり表には出さず、必要以上に使ってこなかった

いじめられようが何をされようが反撃をする事だってなかった

しかし使わなければいけない場面というのはもちろんあり

僕はその力を使っていた

使っているうちにわかった事があった

まず剣を今世で使おうとした場合かなりの弱体化が入っており前世の15パー程度の力しかない事

白い空間というものを作り出す事ができ、そこでのみ前世の100パーの力を引き出す事ができる

しかしかなりエネルギーをもっていかれるため一日に一回それも30秒が限界でそれを超えると世界は崩壊をはじめる

しかし白い空間も案外悪い事だけではなかった

唯一の利点は相手を白空間で意識不明にした場合、自分だけ元の世界に戻ってきて白空間を壊す事ができる

簡単に言えば、格下相手ならば前世ではできなかった跡形もなく消す事ができるようになったのだ

だけどまあ...

零「使いたくない事に変わりはないけどな....」

そんな事を考えていると先程の教室に着いた

僕はそのドアに手をかけ

扉を開けるのだった


第十五話 終了


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