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第十四話 白の崩壊

学園長「........」

私はありえない光景を目の当たりにしていた

先程までいた二人が突如として消えたのだ

学園長「どういう事だ...?」

これは御影の能力か?

いや.....

明らかに劣勢だった神谷零

あと一撃で倒せた御影

そんな状況の中で転移系の能力を使う意味がない....

それに今まで私は能力を二つ持っている人間を見た事がない

御影の能力は明らかに攻撃系の能力

転移系の能力ではなかった

となるとこれは.....

学園長「ハハハッ!」

私は心底楽しかった

心が躍った

学園長「君は本当に謎で謎で面白い人間だ」

学園長「なぁ...」

学園長「神谷零——」


気づけば——

世界は白一色だった

色もない

音もない

何も感じない

御影「......は?」

御影はそんな素っ頓狂な声を上げた

御影「なんだよ....ここ....」

零「.......」

俺はゆっくりと息を吐いた

さっきまでの押しつぶされていた感覚はもうない

代わりにあるのは

自由と静寂

零「......はぁ」

俺は小さくため息をついた

零「剣を顕現させるのはもちろん嫌だが」

零「これも使いたくはなかったんだがな....」

零「やっちまったな」

掌を見つめる

手に違和感を感じた

御影「おい!無視してんじゃねーよ!!」

御影が苛立ちを含んだ声をあげている

御影「どんな手品か知らねーが」

御影「関係ねえ」

御影「潰すだけだ」

その言葉と同時に御影は手を振り上げ薙いだ

その瞬間空間は僅かに歪む

零「あぁ...おっせえなあ」

俺は人間離れした身体能力で横に避けその衝撃波を回避した

御影「あ?」

零「この空間は俺の世界だ」

零「そんなおっせえ攻撃じゃ」

零「俺には届かねーぞ?」

御影「てんめえ....!!」

御影は頭に血が昇ったのか

先程とは比にならない威力で衝撃波を放った

俺はそれを見て

零「——聖剣よ、我に力を貸したまえ——」

そう小さく呟いた

その瞬間...

右手に光が集まる

白く淡い光がどんどん募り

そして....

それは形を成した

御影「......っ!?」

剣を一振り

それだけで俺はその衝撃波を叩き切った

零「....やっぱこれだよな」

零「これが一番手に馴染む」

俺は白く輝く剣を静かに握りしめた

零「でも....」

零「使いたくねんだよな...」

零「これ使うとさ...」

零「俺が俺じゃないみたいな感覚になる」

御影「.....は?」

御影は呆けた顔でこちらを見つめてきた

零「身体能力、戦闘能力、判断力、全てが向上する」

零「無駄も迷いも全部消える」

零「その代わりに.....」

零「人間らしさが全て失われる」

零「ただ戦闘に勝つために剣を振るうマシーンと化する」

零「まるで....」

俺は小さく笑い

零「<勇者様>に戻った感覚がする」

御影「.....訳わかんねー事言ってんじゃねーよ」

御影は一歩踏み込む

そして一瞬で俺との距離をゼロにして

ゼロ距離で衝撃波を放った

しかし

俺は御影とは裏腹に一歩も動かなかった

ただ....

剣を振るった

シャッキン!!

静かな音と共にそれは叩き切られ

御影「なっ!?」

すきだらけの御影にすかさず俺は剣の柄の部分を御影に叩きつけた

御影「がっ!!」

軽く突いただけで御影は数十メートル吹っ飛んだ

床をバウンドし壁がないため止まる事なくただ勢いが落ちるまで床に叩きつけられた

俺は御影を見下ろし

零「この剣は元々人間に使うもんじゃない」

零「刃で攻撃しなかっただけ感謝しろよ?」

そう挑発した

御影は腹部を抑えながらなんとか立ち上がり

御影「いいじゃねえか...」

御影「やっと戦いになったなっ!!」

空間が歪む

体に圧力がかかった

俺は剣を構える

その目に迷いなんてもうなかった

零「短い時間だ」

零「付き合えよ」

その瞬間

二人は同時に踏み込み

白い世界で

剣と圧力がぶつかりあった

俺は衝撃波を叩き切った

しかし....

重いな

そんな感想をいだいた

御影もバカじゃないため先程のような軽い圧力では俺に勝てないと踏んだのだろう

少し力を出したのか衝撃波が少し重たく感じた

まだ大丈夫

だが

本気の最大出力で能力を放たれたらどうなるか

それは俺にもわからなかった

俺は一度御影から距離を取った

御影の周囲で空間が歪んだ

体に負荷がかかる

御影「.....こいよ」

御影「さっきとは違うって事教えてやるよ」

零「.......」

言葉は返さない

ただ剣を握る力が僅かに増す

感覚が研ぎ澄まされる

呼吸すら必要のないような、そんな感覚

零「この感覚、やっぱり嫌いだ」

ぽつりとそう溢す

零「全部が正しくて」

零「全部間違い」

御影「はっ!」

御影は俺の言葉を鼻で笑い飛ばし

御影「上等じゃねーか」

御影「ならその間違いの力で」

御影「俺を倒して見せろよ!!」

次の瞬間

俺の体にものすごい圧がかかった

俺は少し体制を崩し

その隙を見逃さなかった御影が一瞬でこちらとの距離をゼロにした

俺はなんとか体制を立て直し

剣を構えた

御影は眼前にまで迫ってきていおり

御影「たとえ朽ち果てようとも俺はこの一撃に全てを賭ける!!」

御影「しね!!神谷零!!」

御影の拳は勢いよく振り抜かれた

それと同時に俺も剣を衝撃波に向かって全力で振り下ろした

剣と圧が交わった

力は拮抗していた

御影「........ッ!!.......」

押し切るか

叩き切るか

そんな瀬戸際

そして

そして

そして

バアアアアン!!!

そんな轟音が轟き

勝者が決してしまった

しかし

それと同時に

パリンッ

と、音がした

零「時間、か」

俺がそう言葉をこぼすと

世界はまるでパズルのようにバラバラと砕け散り

崩壊をはじめるのだった


第十四話 終了





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