第十一話 崩壊の足音
零「.......」
俺はバリケードの奥からぐるりと教室を見渡した
机と椅子を積み上げた防壁
前衛、中衛、後衛の三段構造
....完璧ではないが悪くない
時間を稼ぐには十分だ
悠「零ー、今の所順調っぽいよー」
零「....油断するなよ」
悠「あいあい、りょーかいです」
そんな時.....
コツコツと
廊下から足音が聞こえてきた
零「っっ!お前ら!」
俺が言葉を言い切る前に...
ドンッ!
その扉は開かれた
扉の奥からEクラスの生徒が何人か顔を覗かせた
それと同時に
零「前衛!」
俺は指示を出した
俺が指示を出すと前衛役のやつらが動き出し、Eクラスとの距離をゼロにしていた
能力がぶつかり合う
氷、衝撃、風
狭い教室内で様々な能力が展開された
だが....
零「いけるっ!」
突っ込んできた人数も少数
そのため状況はFクラスの優勢だった
この調子なら....
前衛「うおおおお!!!」
前衛がEクラスを押し返し
Eクラス生徒「チッ.....!」
数分の攻防の末
そこに立っていたのは...
Fクラス生徒「はぁはぁはぁ」
こちら側の陣営だった
その瞬間
うおおおおおお!!!
教室に歓声が湧き上がった
行ける!!
勝てるかもしれねぇ!!!
そんな言葉が教室内で行き交った
零「.......」
確かに希望を持つことはいいことだ
しかし....
これは本当に希望を持っているといえるのだろうか?
現実から目を逸らしているだけではないのか
そのため俺はその場の士気が下がろうとも
零「いや.....」
俺は声を上げた
零「まだだ」
零「Eクラスがこんな程度なわけない」
零「ただの小手調べのようなものだ」
零「気を引き締めていこう」
悠「だよねー」
悠は肩をすくませため息混じりにそう言った
悠「本気でやりに来るなら最初からKING直々に来てもおかしくないし」
零「あぁ」
問題はここからだ...
しかし...
俺の考えとは裏腹に
敵の襲撃は一切来なかった
10分
20分
ただ時間だけが過ぎて行った
御影「.....なるほどな」
俺は教室の壁にもたれかかりながら、一人笑った
御影「時間切れ狙い、か」
御影「つまんねぇ戦い方しやがって」
俺は苛立ちを含んだ言葉でそう吐き捨てた
Eクラス生徒「どうする?」
教室にいた同クラのやつがそう言った
御影「決まってるだろ」
俺はゆっくりと立ち上がり
御影「全員で潰しに行く」
御影「それだけだ」
俺の一言でクラスの空気が変わったのを感じた
御影「守りに徹しようが雑魚は雑魚なんだよ」
俺はニヤリと笑い
御影「行くぞ」
ドタドタドタッッ!!
零「.....バレたな」
次はさっきとは違う
悠「来ちゃったかー」
悠はそう言って腰を上げた
零「これよりFクラス対Eクラスの...」
零「全面戦争だ!!!」
俺がそう言った瞬間
バンッ!!、
勢いよく扉が開けられた
Eクラス生徒「叩き潰せぇ!!!」
おおおおおお!!!!
Eクラスが教室になだれこんできた
一斉突撃
先程とは比べ物にならない数
バリケードは崩壊寸前
零「ぐっ....」
状況は明らかに悪かった
今はまだ前衛中衛後衛が持ち直しなんとかなっているが
残り20分
耐えられるか?
いや
零「耐えろっ!!」
耐えるしかないんだ
3つの陣営がみな懸命に戦っていた
だが....
そこには確かな実力差があった
ランクは一つしか変わらない
たかが一つされど一つ
それを思い知らされた
時間が過ぎる
残り15分
「まだだっ!!!」
「絶対に守りきれ!!」
「時間を稼ぐんだ!!」
叫び声が飛び交う
残り10分
バリケードは半壊
それでも誰も引かない
陣営もくずれてき、何人かが掻い潜り俺の方に来てしまった
零「.......」
Eクラスの生徒は拳を大きく振り上げ
振り下げようとした瞬間
零「......悠」
俺は小さくそう呟いた
悠「人遣いの荒いKINGだなっ!」
文句を言いながらも悠は僕の前へと飛び出して
バゴンッ!!
その拳を受け止めていた
前衛中衛後衛そしてもう一つ
側近
KINGのすぐ近くでKINGを守る第四の役職
その役職を防御力に長けている悠に任命した
悠は狙い通り
悠「......!」
痛くねーといわんばかりに笑みを浮かべた
悠は能力は攻撃に向いていない
そのため攻撃手段がない...
わけではない
悠は力いっぱい拳を固め
悠「能力がなくても人のフルスイングってのは痛いもんだぞ?」
そう言って
その拳を勢いよく振り抜いた
その拳はEクラス生徒の顔面にめり込み
その生徒はバリケードの下に落ちていくのだった
零「見たかFクラス!」
零「俺はやられない!」
零「後少しだ!」
零「絶対に耐えろ!」
おおおおおお!!!
一連の行動でFクラスの士気は上がり
少しだけ息を吹き返した
これでいい残り6分...
いける
ただ...
なぜだろうか
違和感
何かが足りないようなそんな気がしてならない
しかし戦場で考え事をするほど馬鹿じゃない
俺は意識を切り替え戦場に視線をやった
残り5分
その時だった
零「.....あれ?」
零「Fクラスが」
零「押し返してる?」
流れが、変わった
Fクラスの連携がここにきて噛み合いはじめた
無駄な動きが減り
役職がはっきりとした
前衛が踏ん張り
中衛が的確に援護し
後衛が隙を埋める
Eクラス生徒「くそっ!!!」
徐々に徐々に押し返していた
空気が変わる
絶望から希望へ
悠「零...これって...」
零「あぁ...」
小さく頷き
零「勝てる!」
その一言が更に士気を上げ
うおおおおおお!!!
このまま守りきれば
俺達の...
Fクラスの...
勝ちだ!!!
その瞬間...
ドンッ!!!
扉の方からそんな轟音が響いた
その音は、この場の全てを壊すには十分過ぎる音だった
俺がそちらに視線を向けると...
教室の扉が内側に吹き飛ぶ
木片が舞う
その蹴破られた扉の先から一人の男が顔を覗かせた
御影「よお」
御影「引きこもり大作戦は楽しめたか?」
第十一話 終了




