……先手必勝とは良く言ったものだ
どんな天才も、自分の力量で物事を判断します。
だから、それを遥かに超える者の前では、凡人達と同じ反応が返りますよね?
「……」
少し考える為に沈黙していたジョスランが口を開いた。
「乗った! あんた達を雇う事にする」
「商談成立だな。 護衛料は、武具の代金から引いてくれれば良いよ」
「分かった。 そうさせて貰う。 それで……」
「俺達はパーティを組んでいて『星屑』だ。
俺はリーダーのライカで……」
この後、ユリナ達の自己紹介を済ますと、移動する事になったのだが、目標が29階層だとジョスランが言った。
「そこで、ダンジョンの壁から取れる鉱石が必要なのさ」
「それはそれとして、理想は?」
「41階層から採掘出来る鉱石が欲しい!」
「よし、決まったな」
「そうね」
「……え? まさか、41階層を目指すのか?」
「当然だろ。 武具造りに妥協は無い!」
親父やユリナのおじさんもそうだった。
「確かにそうだが、流石に無茶だ!」
「そうか?」
「知らないのなら教えてやる。
このダンジョンは、21階層から段階的だが難易度が一気に上がっていくんだ!
だから、例え29階層でさえ、本当に命懸けのギリギリのラインなんだ!」
「大丈夫だ」
「何が!」
「俺達は強い」
「……」
ジョスランは悩んでいたが……
「41階層を目指す!」
「流石は職人だ!」
依頼人の腹が決まり、俺達は41階層を目指す事になったが、ダンジョンマスターが監視をしていたかの様に、罠でもないのに28階層ではモンスターハウスみたいに大量のモンスターが俺達に襲い掛かって来たり、39階層ではエリアボス並みの強力なモンスターがパーティを組んで俺達に襲い掛かって来た。
ジョスランが言っていた事は本当で、33階層辺りから、ユリナ達でさえ困難になっていったから、途中からは俺が前線に立ち、ソフィア達には殿をお願いした。
「……何か、悔しいな」
「何を言っているんだ。 たった1年間で、此処まで強くなったユリナ達の方が凄いぞ」
「そうかなぁ」
「そうですよ」
「そうだよ」
「そうよ」
本当にそう思っていると証明する為に、ユリナの顔をじっと見つめる。
「……分かったわ。 これからも頑張るわ」
「ユリナ。 一緒に強くなろう!」
「ええ!」
「勿論、リンとランもな」
「はい、ライカ様!」
「分かったのじゃ、我が主!」
俺達のやり取りを見ていたジョスランは、幼い顔立ちで微笑んでいた。
「さあ、先に進もう!」
そして、40階層のエリアボス「ダークネスミノス」をタコ殴りした後、首斬りの一閃で終わらせた俺は、現れた宝箱の中身を回収すると、41階層への扉を開けた。
因みに、宝箱の中身はダークネスミノスの素材で「角・牙・皮・蹄・魔石」だった。
「周りの警戒を頼むよ」
「任せろ」
安全が保障されたからか、ジョスランは採掘場所を入念に吟味を繰り返した結果、48階層で採掘を開始した。
「……ふぅ。 終わったよ」
「分かった。 それじゃあ、撤収しよう」
そう言って、俺は49階層に繋がる階段に向きを変えた。
「……ちょっと待て」
「どうした、ジョスラン」
「何故、そっちを向く?」
「当たり前だろ。 地上までの48階層を歩く気は無いぞ」
「……」
「問題無い」
「問題だらけよ!」
俺が、そう言った瞬間にルシアが何処からか出したハリセンで、ツッコミながら俺の頭を叩く。
「「……」」
俺とルシアは、同時に無言でサムズアップした。
「ライカ」
「実際、俺は実力の1割も出していない」
「……へ!? マジ?」
「おう! 大マジだ」
「……50階層を突破しよう!」
「決まりだな」
「分かったわ」
ユリナの許可が下りた事で、俺達は50階層のエリアボスを倒して現れる地上への転移魔法陣で帰る事が決まった。
……そして、50階層のエリアボスを倒して地上に帰ったのだが、エリアボスは「アークキメラ」で、宝箱の中身は「不壊魔鉱石5kgと聖白金鉱石5kg」のセットだった。
え、アークキメラとの戦闘シーン?
帰る事が決まったから、戦闘開始と同時に雷属性と闇属性と光属性の混合を刃の形にして○護の月牙天衝みたいな感じに放って、アークキメラの3つの首と尻尾の蛇頭を一度に斬って終わった。
「……あはっ」
そして、アークキメラを瞬殺した時のジョスランの乾いた声が印象的だった。
自分の工房に帰ったジョスランは、先に依頼を受けた方に取り掛かり、暇になった俺達は自由行動にした。
ユリナ達は、都市を散策して甘味処を廻るらしい。
「ライカは?」
「ちょっと欲しい物が有るから行ってくる」
「分かったわ」
「じゃあ、宿屋で」
俺はユリナ達と分かれると、先程のダンジョンに潜り周回した。
……狙いは勿論、不壊魔鉱石と聖白金鉱石だ。
「どうせなら、防具も揃えたいしな」
防具の方が傷んでいるが、やはり武器を先に更新した方が生存率が上がるしな。
どんなに強力な攻撃も、死ねば攻撃される事は無いからな。
「……先手必勝とは良く言ったものだ」
そんな理由からダンジョンに潜り、途中の雑魚ダンモンを無視して、50階層のエリアボス倒しを数が揃うまで周回した。
「11周で、4人分が揃ったのはラッキーだな」
因みに、この世界のダンジョンで周回する場合は、1階層からの再スタートで面倒臭かった。
それでも、宿屋の夕食の時間に間に合うのだから、鬼神という神の身体能力はチートだよなぁ。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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ミノスとは、ミノタウロスの上位種族




