あんな紙切れ1枚で……
まあ、好きなので……
俺が出した条件は、俺達に一切関わらない事だ。
「そんなもん、守るかよ!」
「別に構わないが、死ぬぞ」
「何を言ってやがる!」
「忘れたのか?」
「何を?」
「魔法誓約書で誓っただろうが」
「あんな紙切れ1枚で……」
「死にますよ」
「「「「「……え!?」」」」」
受付嬢のチーフが口を挟んだ。
「魔法誓約書は、絶対遵守を強制させますから、最終的には違反者は死にます」
「「「「「……そんな!」」」」」
「そういう訳だ」
俺は、そう言ってユリナ達を連れて冒険者ギルドを後にした。
「鬼神の眷族を、人族の醜い嫉妬で切り離せる訳が無いのになぁ」
「そう言ってやるな、ルシア」
「そうよ」
「教える訳にはいかないし、知らない以上は仕方ないだろ」
「それもそうだね」
しかし、ソフィア達の活躍は思っていた以上に都市の人達に見られていたみたいだ。
「あの時、救けてくれてありがとうね」
「あの時は、助かったよ」
「一本どうだい? 奢りだ」
……と、色々な人達に、ソフィア達は感謝を言われていた。
まあ、気持ちは分かる。
ソフィア達の様な美女が、自分達がバンパイアに襲われて死ぬかもしれない時に、そのバンパイアを討伐して救けたのだからな。
だから……
「何故、何もしていない子達が、前を歩いて彼女達が後ろに居るのかしら?」
「本当に、ねぇ」
「それに知り合いの冒険者から聞いたけど、領主館で行われた論功行賞の式じゃあ、あの一番前を歩いている少年が代表者として表彰されたみたいよ」
「まあ!」
「彼女達の功績を奪うなんて……」
「最低よねぇ」
「本当よねぇ」
そんな陰口が聞こえる中、ルシアが俺に近付いた。
「……ライカ」
「止めとけ、ルシア」
「でも……」
「俺達が言っても、向こうには言い逃れとしか聞こえないから無駄だ」
「……分かったよ」
「「「……」」」
こうして、陰口が聞こえる中、都市から出た俺達はダンジョンを目指した。
「到着だ~!」
ルシアが、明るく言った。
「そうだな」
「それじゃあ、行こう」
ユリナが宣言し、俺達はダンジョンに侵入した。
因みに、ダンジョン前には冒険者達が自己アピールしながらパーティへの参加を希望していたり、屋台みたいな店でポーションを売ったりしていた。
……まあ、ユリナ達の不機嫌MAXオーラに、誰も声を掛けるくる奴は居なかったがな。
「こっちのダンジョンも同じだな」
「そうよね」
「そうなの?」
「ああ」
俺達は3階層に居るが、ソフィア達の世界のダンジョンと比べて、今の所は差異が見当たらなかった。
そして、サクサクとダンジョン攻略は進み、俺達は21階層に到着した。
「どうやら、このダンジョンは10階層毎にエリアボスが居て、倒すと宝箱とダンジョンの外に出る転移の魔法陣が出るみたいだな」
「そうね」
「そうみたいね」
因みに、10階層の宝箱の中身はポーション5本で、20階層は聖銀鉱石が5kgだった。
宝箱の内容から、10階層でダンジョン的初心者卒業で、20階層でダンジョン的な一人前扱いみたいだな。
何故なら、聖銀鉱石5kgとは、一般的な冒険者の武具1人分の分量だからだ。
「だから、21階層からは難易度が上がったのね」
「そうだな。 ダンジョン的には、21階層からが本当のダンジョンという訳だ」
そんな会話をしながら、俺達はパーティを組んだゴブリン共を討伐していた。
因みに、ゴブリン共のパーティ構成だが、ゴブリンファイターが2人に、ゴブリンメイジが1人に、ゴブリンクレリックが1人に、ゴブリンアーチャーが1人だ。
こんな感じで、ダンジョンモンスターが猪突猛進に襲い掛かって来る場合もあれば、先程の様な「パーティ」を組んで襲い掛かって来る場合もある。
しかし、そんなダンジョンの戦略も、俺達の前ではそよ風だった。
襲い掛かって来るモンスターがいれば、とことんブチのめし、輝く宝箱の中身は必ず手に入れ、大胆不敵に、電光石火でダンジョンを攻略していった。
そんな中で、ランが見付けた。
「我が主、あれ!」
「ん?」
「ライカ様、女性の冒険者が倒れています!」
「行こう」
行ってみると、戦闘鍛冶師の女性だった。
「大丈夫か?」
「……んぐ。 大丈夫…だ」
「とりあえず、治癒魔法を掛ける。 料金は銀貨1枚でどうだ?」
「……頼む」
「分かった。 小治癒」
「……」
「どうだ?」
「救かった。 痛い所や、違和感を感じる所は無い。
感謝するよ」
「良かった。 それで……」
「先ずは治療費の銀貨1枚だ」
俺は、銀貨1枚を受け取り懐に仕舞う。
「流石にな、単独でダンジョンの中に入る以上は、移動は慎重に進ませざるを得ない。
だから、約20日間で必要な素材を集めて、残り10日で武具を打っている。
勿論、1人では無理な素材は、冒険者ギルドに依頼を出している。
それで、先程のアレは、モンスターから不意打ちを喰らって逃亡を選んだけど、ダメージが思っていた以上だったみたいだ」
なる程な。 それで、必要な素材がダンジョンに有る為に、戦闘鍛冶師である彼女は、ダンジョンに居る訳か。
「……そうだ!」
「何だ!?」
「なあ……」
「アタイの名は『ジョスラン』だ」
「ジョスラン。 俺達を雇わないか?」
「どういう事だ?」
「俺達は、可能なら早く、ジョスランの打った武具が欲しい。
しかも、我儘を言えば1か月以上も待ちたくない」
「正直に話したな」
「隠す気は無い。 そこで、現在の必要な素材を集めるついでに、俺達に必要な素材を並行して集めて欲しい。
その代わりに、俺達がジョスランを護衛しよう。
どうだ?」
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