その言葉を、全て返す
やはり、強制からは何処かに無理が出ます。
「ライカ、どう思う?」
「笑えない状況になるだろうな」
「ライカ様。 どの様な事が予想されますか?」
「そうだな。 例えば、あの中心にいるバンパイアが桁違いの強さを手に入れる……だな」
「他には、何が有るのじゃ?」
「中心にいるバンパイア自身が代償となって、別の何かを召喚するとか……だな」
バンパイアはモンスターだが、魔力を含めた全てが、それなりのハイスペックだから、それ相応にヤバい事になるかもしれないな。
そんな事を話していると、向こうは既にクライマックスに入っていた。
「……魔法陣を起動せよ!」
「魔法陣、起動!」
そうはさせるか!
「雷撃弾一斉装射!」
300を超える雷撃弾が山なりに放たれ、全て魔法陣に的中するが……
「無駄だ! この魔法陣は、起動した瞬間から破壊は不可能になるのだ!」
「どうやら、侵入はバレていた様だな」
「当然だ!」
まあ、発見即キルだったからなぁ。
「さあ、歴史的瞬間を冥土の土産に見せてやる!」
中心に居たバンパイアが、そう言うと魔法陣から赤い光と黒い光が現れて混じり斑模様になり、魔法陣をドームの様に包んだ。
そして、ドームと魔法陣が同時に縮小していくと、最後は中心に居たバンパイアを包む程度の規模となり、赤と黒の斑模様が全て白くなると、10秒ぐらいで白い何かがパラパラと剥がれ落ちていく。
全て剥がれ落ちると、そこに居たのは、先程までのバンパイアとは比べるのもバカバカしい程の魔力を放っていた。
「……やったぞ! 遂に、私はバンパイアの王であるバンパイアキングになれたのだ!」
「ライカ……」
「ユリナ、大丈夫だ」
バンパイアキングになった「ソレ」が、俺の逆鱗に触れる言葉を吐いた。
「妊婦も含めた200匹の人族の血を代償に使った甲斐があったな」
「……! 今、何て言った?」
「魔法陣作製に、今まで拐った人族の血を使っただけだ」
バンパイアキングは、常識を語る様に言った。
「……ユリナ」
「分かっているわ。 それと、此処から見える全てを荒野に変えないでね」
「……ありがとう。 アリシア!」
「分かっているよ。 全力で結界を張るから!」
「頼むな」
「……貴様、正気か?」
どうやら、俺達の会話が聞こえたみたいだ。
「至ってマトモで正気だ」
「そうだと言うのなら、既に正気では無いな」
「何故だ?」
「私は、バンパイアキングになったのだ!
その私に単独で挑むなど、自殺でしかない!」
「……違うな。 俺だけでも勝てるからだ」
「下等生物に憐れみの感情を抱いたのは初めてだ。
せめてもの情けで、貴様が『殺してくれ!』と懇願するまで甚振ってやろう」
「その言葉を、全て返す」
「……死ね」
バンパイアキングが、闇球を俺に向かって放つ。
その速度は軽く160kmは超えていたが、俺は突っ込みながら、その闇球を掴み、そのままバンパイアキングに向かって投げる。
「……がはっ!」
まさか、素手で掴み、投げ返されるとは思わなかったみたいで、腹に命中した。
その隙に接近すると、格ゲーの乱舞技か龍珠Zの乱打戦を見ているかの様に、残像を残しながら殴る蹴るを繰り返す。
「が……ぐっ……ぎぃ……ごがっ……げぶっ……」
漫画やアニメに、ラノベなら、こんなシーンになると、敵は魔力を衝撃波の様に放ち、彼我の間に距離を作り、仕切り直しとなるが、そんな事はさせん!
戦場で、誰が死のうが身内以外なら気にしない。
何故なら、それはお互い様だからだ。
しかし、己の欲望の為だけに、誰かが理不尽に殺されるのは我慢出来ない!
「だから、仕切り直しすらさせてやらん!」
そして、乱舞攻撃を続けているが、犠牲になった者達への追悼も兼ねている。
「ぐがっ……ぎっ……ごっ……ぶげっ……」
偶に、小指を踏んだり、脛を蹴ったりと嫌がらせも含めて充分に痛め付けると一旦離れて煽る。
「どうした、バンパイアキング様」
「き、貴様ーーー!」
ユリナside
「ライカは、もて遊ぶ様にバンパイアキングの相手しているけど、皆はバンパイアキングの攻撃が見えるかな?」
「申し訳ありません。 見えません」
「妾もなのじゃ」
……やっぱり、そうよね。
「少しなら見えるかしら」
「私もだよ」
「多少なら見えるよ」
……ソフィア達は違うみたいね。
「ライカは、バンパイアキングの攻撃を軽々と躱して、嫌がらせすらも入れているわ」
向こうの戦いの神々に、鍛えて貰ったと言っていたけど、本当に凄いわ!
ライカside
「殺す!」
軽く煽ると面白い様に冷静さを失い、猪みたいに突っ込んでくる。
それを躱して、バンパイアキングの自己回復力を前提にした貫手で攻撃をする。
「……がぁっ」
「ほれほれ、バンパイアキング様」
「がぁあああーーー!」
バンパイアキングからは、知性を感じられない攻撃を繰り返してくるが、ルーチンワークみたいに躱して貫手の攻撃を繰り返す。
偶に、雷撃弾も撃ち込み、身体の中からも激痛を与える。
「ぎぃがぁあああーーー!」
既に、知性どころか理性すらも感じられなくなって、ユリナ達に万が一すらも無い様に、ユリナ達とは反対側にブッ飛ばす。
「がはっ」
壁にそれなりのクレーターが出来て、少し遅れてバンパイアキングが床に落ちる。
すると、空気になっていた魔法陣の起動に協力していた、最後の平バンパイアが駆け寄る。
「バンパイアキング様、大丈……え!?」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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