とりあえず、悪夢の日々は終わった
幼馴染は尊いとです。
とりあえず、胃に優しい料理をアジト前の広場で調理して食べて貰った。
しかし、無事だった少女の1人は表情が暗いまま。
彼女だけを離れた場所に呼び聞いてみた。
「何故、表情が暗い」
「……」
「話さないと何も出来ないぞ」
「……分かりました」
話を聞くと、獣欲の犠牲になったリグサは、明日結婚する予定だったらしい。
しかも、2人は同じ年の幼馴染でお互いに支え合っていた……と。
「彼なら分かってくれる」
密かに近付いていたリグサが、静かに言った。
「リグサお姉ちゃん! でも……」
「……大丈夫よ」
……リグサの表情は、今にも泣きそうな顔だ。
「ちょっと考えが有る」
俺は、そう言って2人を広場に行かせた。
「俺は、彼女達5人に魔法を掛ける。
皆は、その魔法を絶対に秘密にしてくれ」
俺が、そう言うと全員が頷いた。
「彼女達に魔法を掛けるが、その魔法が本物である事を証明する」
俺は、そう言うと自身の右腕を左の手刀で斬り落とし燃やして灰にする。
「「「「「「「「「「「「きゃあああーーー!」」」」」」」」」」」」
激痛なのだが、慣れている俺は、冷静に自身に魔法を掛ける。
「完全治癒」
「「「「「「「「「「「「え!?」」」」」」」」」」」」
再生復元された右腕を、握ったり開いたりして確かめる。
「ご覧の通りに、俺は完全治癒を使える。
その完全治癒を彼女達5人に掛ける。
そして、女性に完全治癒を掛けると、とある場所も再生復元される」
「……つまり?」
「記憶は残るが、綺麗な身体に戻る」
「「「「「「「「「「「「……!」」」」」」」」」」」」
「完全治癒」
俺は、彼女達5人に完全治癒を掛ける。
「「「「「……あ!」」」」」
「俺は、暫く席を外す」
そう言って俺は、それなりに離れた場所に移動する。
最初の内は、かなり騒がしかったが次第に静かになり、そして歓喜の声が聞こえた。
一切の声が聞こえなくなってから3分ぐらい経つと、俺の所に彼女達5人が立っていた。
「「「「「……ありがとうございます!」」」」」
「記憶は残るぞ?」
「それでも!」
「心や身体が、意志に反して拒絶するかもしれないぞ?」
「それでもです!」
「……分かった」
その時にならないと分からないが、良かった事にしようと、俺は思った。
その後は、皆で朝を待つ事にして、俺はソフィア達に念話で事情を説明しておいた。
「何故、こんな大人数なんだ?」
「それは……」
最初の内は、1人が拐われた。
次第に、その数は増えていき、今では、この人数らしい。
何故、これだけ拐われたかは、彼女達も分からないそうだ。
「とりあえず、悪夢の日々は終わった」
「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」
翌朝、昨日の残りを温め直して食べるとユリナ達の下へ向かった。
勿論、盗賊共のアジトは物理的に破壊した。
「ソフィア達から聞いているわ」
「彼女達を頼む」
「分かったわ」
彼女達をユリナ達に任せて、俺は鬼神である自身の身体能力を使い、簡易であるが馬車を作製した。
そして、俺が作製した馬車を、自分達の馬車に連結させると出発した。
勿論、昨日の内に口裏を合わせてある。
君達が汚される前に、俺が救けた……と。
昼頃に町に到着したのだが、町の門で何か揉めていたのが見えた。
「リグサを救ける!」
「無理だ!」
「諦めろ!」
「諦めるもんか! リグサを救けに行く!」
そのやり取りを聞いていた彼女達の中から、1人が馬車から飛び降りて駆け出した。
「ギール~!」
「リグサ!?」
2人は、門の前で抱きしめ合った。
3時間後、ギールとリグサの結婚式が行われた。
それは、囚われた女性達の説得と証言で、リグサの身体が綺麗だと証明されたからだ。
俺達は待っている間に、冒険者ギルドに行き、盗賊の討伐報酬を受け取り、その報酬を囚われた女性達に配った。
最初は拒絶していたが、俺が「恩人のお願いが聞けないのか?」と言うと、笑顔で受け取った。
それと、それとは別に、リグサには大金貨1枚を御祝儀として渡した。
此方も、最初は拒絶したが受け取って貰った。
そして、俺達は末席を用意されて2人の新しい門出を祝った。
更に、ご都合主義と言うにはあまりに巫山戯ているが、リグサ達の新しい場所は宿屋だった。
つまり、ギールは新しい宿屋の旦那で、リグサは女将な訳だ。
しかも、馬屋付きな。
当然の話として、この町での宿泊先は決まった。
最初は宿代は無料にするとか言っていたが、それとこれは別だと言って正規の料金にさせた。
それと、リグサの事を話した少女は、そのまま宿屋の看板娘として働いている。
元々が、2人はご近所で姉妹の様に育ったから、あの時に「リグサお姉ちゃん!」な訳だ。
翌日、俺達は森に入り、ホーンラビットやフォレストボアを狩り、午前中にリグサに格安で売った。
その後、俺達は町長の所に行き、今回の件に付いて聞きに行く。
「ようこそ、来られました」
「それで、今回の件だが」
「お話します。 実は……」
簡単に言えば、あの盗賊共は隠れ蓑にしようとした訳だ、この町を!
町長には、盗賊共から拐った女性達の命が惜しかったら「この町は、盗賊の被害は無い」と言えと、脅迫されていたらしい。
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