ただいま、ユリナ
再会です。
広い城塞都市の中を探すのは無理と判断した俺は冒険者ギルドで待ち伏せする事にした。
「最初から、そうすれば良かったのに」
「悪いな、ルシア」
「そんな事を言わないの」
「……分かっているわよ、ソフィア」
「そうだよね。 ライカが探している間、私達はライカと一緒に居る時間を楽しんでいたもの」
「……あははは」
ルシア達は、そんな事を言っているが……
「それでも、ユリナ達の特徴を聞いて、必死に探してくれていた事は分かっている。
ありがとう、皆」
「「「……」」」
3人共、顔を赤くして俺から顔を逸らした。
そんな会話をしながら、俺達は冒険者ギルドに到着した。
「その依頼はオレ達が!」
「バカ言いなさい! 私達が!」
朝の冒険者達に因る、依頼争奪戦を俺達は眺めていた。
……それから3時間後。
「来なかったみたいね」
「来ないね」
「来なかったわね」
「……」
Bランクだから、朝の依頼争奪戦には参加しなくても3時間以内には来るだろうと思っていたのだが、見事に予想を外した訳だ。
「この世界はラブコメじゃないから、変にイジられないと思うが……」
「そうだよね」
ルシアが相槌を打つ。
「何を言っているのかしら?」
「そうだよ」
「あのね……」
ルシアはソフィアとアリシアに説明した。
「ライカとルシアの前世の恋愛物語は凄いわね」
「そんなに2転も3転もするの?」
「まあね。 凄いのだと、運命の人と結ばれる為にクーデターを起こしてまで添い遂げたのに、実は前世の実妹ってのも有ったわ」
「「……うわぁ」」
その作品は俺も知っているが、個人的には処刑された前世日本人だった彼女には、少々同情したな。
まあ、新たな為政者になった以上は、個人の感情は二の次な場面だったけどな。
この後も、ルシアの前世での恋愛漫画や恋愛ラノベで花を咲かせていたが、壊れる勢いで冒険者ギルドの扉が開いた。
「た、大変だ!」
「どうした?」
「オーガの群れが、この都市に向かっている!」
「「「「「「「「「「……何ぃ!」」」」」」」」」」
「数は?」
「少なくとも80以上だ」
「80だと!?」
「受付嬢! 直ぐにギルドマスターに伝えろ」
「は、はい!」
「それで?」
「彼女達が抑えてくれている」
「そうか。 彼女達か!」
「その彼女達からの伝言だ」
「伝言?」
「ああ。 後、1時間は保たせるから、その間に準備して欲しいと」
「聞いたな、野郎共!」
「「「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」」」
「女神に格好良い所を見せるチャンスだ!
気合入れて行け!」
「「「「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」」」」
……冷たいと聞いていたが、人気有るな。
「まあ、良い……」
軽く流そうと思ったら聞き流せない名前を聞いた。
「我らが女神ユリナちゃん!」
……は!?
「ちょっと聞きたい」
「何だ?」
俺は、近くに居た冒険者に聞いた。
「ユリナとは星屑のユリナか?」
「……そうだが、今は違うパーティ名だ」
「違うパーティ名?」
「ああ。 今は赤翼だ」
そう言った冒険者は、呼ばれたグループの中に入っていった。
「「「……ライカ」」」
「行こう」
「ええ」
「うん」
「はい」
俺達は、冒険者ギルドを後にして向かった。
「場所は分かるの?」
「ああ。 魔力探知を広範囲に拡げて分かっている」
「さすライ」
「……ゴーヤとピーマンの料理」
「ごめんなさい」
かなり焦っていたが、ルシアのボケと謝罪で幾らか落ち着いた。
「ありがとう、ルシア」
「焦ると、何処かでミスるよ」
「ああ!」
到着すると、オーガの拳がユリナに振り落とされる所だった。
「ユリナーーー!」
「……え!?」
ユリナが声を発した瞬間に、ユリナの前に居たオーガ共は、背景の山林と一緒に消えた。
「……え!?」
ユリナは、眼前の光景を確認して、もう一度同じ声を発した。
「「「ライカ」」」
「済まん。 ちょっとやり過ぎた」
全力全開全解放では無いが、自重無しで右の正拳突きを出したら、龍珠Zのセ○編辺りからの破壊を再現してしまった。
そんな破壊をしながらも、ユリナ達には一切の被害を出していないのは、我ながらドヤ顔案件だな。
「……誰?」
魔力探知で確認したが、先程の一撃でオーガの群れは背景の山林と一緒に消えている。
「……」
俺からみれば3年振りだし、ユリナ達から見ても1年振りだ。
だから、俺が誰か分からないみたいだ。
……ちょっと哀しいな。
「大丈夫ですか、ユリナ?」
「大丈夫よ、リン」
「大丈夫なのじゃ?」
「大丈夫よ、ラン」
リンもランも無事だったか。
「大丈夫っすか、ユリナ」
「大丈夫よ、アリス」
「それなら良かったっす」
アリスと呼ばれた少女は、何処となく俺やユリナに似ている所が有るが、誰だ?
「無事で良かった」
「……」
「ユリナ?」
「私の事を知っているみたいだけど、私は貴方を知らないわ」
「……そっか。 俺、成長していたんだな」
よくよく考えてみれば、俺は変声期を迎えていて声が低くなっていたし、身長も伸びていた。
「俺の事を忘れたのか? 3年の約束を1年で還って来たのにな」
「……ま、まさか!?」
俺は仮面を外して言った。
「ただいま、ユリナ」
「……ら、ライカー!」
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