……足りないな
RPGじゃないから、面倒臭いチェーンクエストは簡単に起きません。
例:ドラクエⅡの王子とのアレ。
後に、アリシアから聞いたが、この日もアリシアの結界のお陰で、クジョウ家の女性陣が突撃される事は無かった。
「またな、アリシア」
「またね、ライカ」
翌日の朝、アリシアに別れの挨拶を済ませ、聖王都クジョウから充分に離れると上空に翔び、北に向かう。
「……凄いな」
今までの「神から与えられた微々たる力」と違って、正真正銘の神を吸収した事で、俺の中に存在する神霊力の制御が段違いに上がった。
今、使っている舞○術……いや、風魔法を利用しての飛翔も、頭で術式等を構築してから行使していたが、今はそんな前準備無しで自然と行使出来ているし、速度も違う。
だから、前まではビ○デルの舞空術ぐらいの速度しか出せなかったけど、今はラデ○○ツ襲来時のピッコ○ぐらいの速度が出ている。
「……この辺りから感じるから、あの街を中心に探すか」
まだ、大雑把な感知しか出来ないから、当たりを付けたら足で探すしかない。
街に入り、宿屋で部屋を取ると街を散策する事にしたのだが、途中で有名な鍛冶師が居る事を思い出した俺は、その鍛冶師が居る工房を目指した。
「……此処か」
それにしても、まさかなぁ……
「いらっしゃい」
「工房主は居るか?」
「失礼ですが、何故?」
「俺が求める水準を越えていたら、一振りお願いしたいと思ってな」
「貴方の様な子供が?」
対応していた工房の店番をしていた女性に思いっ切り見下されたから冒険者ギルドのギルドカードを見せる。
「ほれ」
「……!?」
ギルドカードのランク表示を見て固まる。
「……失礼しました!」
「工房主を紹介してくれるな?」
「はい! ギラム様ー!」
女性が奥に向かって、工房主だと思われる人物の名前を呼ぶ。
「どうした、ランシュ」
「仕事の依頼です」
「仕事?」
「初めまして。 冒険者のライカだ」
流石に、目の前に現れたら感知Lvが2や3程度でも確信が持てる。
この鍛冶師の本性は「神」だと!
「……!?」
「とりあえず、話を聞いて欲しい」
「……わ、分かった」
俺の対応をした女性は店番に戻り、俺と工房主ギラムは奥に移動した。
「先ずは、何者だ?」
「創造神サナアドラ様から邪神討伐の依頼をされて、自己的な理由から引き受けた冒険者だ」
「……本当か?」
「嘘なら、俺から創造神サナアドラ様の神霊力が出る訳が無いだろ?」
「確かに!」
単純に、まだ完全に制御が出来てないだけだ。
「それで?」
「邪神討伐か、その後も使える一振りをお願いしたいと思っている」
「……うむ」
工房主は、顔を顰めた。
「無理なのか?」
「造る事は可能だが、材料が無い」
「言ってくれ。 俺が揃える」
「……お主なら可能か」
「材料は?」
「緋皇覇鉱石に、不壊魔鉱石に、聖銀鉱石が必要だ」
「それだけか?」
「それだけって。 聖銀鉱石なら兎も角、残りの2つは、どれも希少で貴重な鉱石だ」
「これで足りるか?」
俺は「倉庫」から言われた鉱石を出す。
「……な!?」
「足りるか?」
フリーズしたから、もう一度聞いた。
「た、足りるもなにも、こんなに大量に!」
「魔境で大量に手に入れた」
「……魔境か。 確かに、魔境で活動出来る程度じゃないと創造神様が人族に邪神討伐の依頼は出さないか」
……ちょっと違うけどな。
「造れるか?」
「材料が有るのなら、次の段階だ」
「まだ有るのか?」
「当然だ。 幾ら希少で貴重でも、地上の武器で神を傷付けられる訳が無かろう」
「それもそうだな」
「うむ。 これだけ有れば充分だ。 残りは仕舞っとけ」
「分かった」
言われた通り、残りを「倉庫」に仕舞う。
「それで、次の段階とは?」
「結界は張れるな?」
「張れるが、どんな結界を?」
「神霊力が、外に漏れない結界だ」
「可能だ」
「それなら張れ」
「分かった……はっ!」
「……うむ。 張れているな」
「次は?」
「後は、お主の神霊力を鉱石が進化するまで、注ぐだけだ」
「……?」
「神を討伐出来るのは、神霊力が含まれる攻撃だけだからな」
「それなら……」
「言っておくが、出来合いの武器に神霊力を注いだとしても、一撃は保っても二撃目は自壊するぞ」
……ダメか。
「だから、武器として使い続けるのなら、鉱石の段階で神霊力を注ぎ、馴染ませる必要がある」
「分かった。 早速、神霊力を注ごう」
……約8分後。
「……足りないな」
「それなら……」
俺の中の神霊力が無くなり掛けた俺は、咄嗟に魔力を神霊力に変えて注いだ。
「……なんと!?」
普通なら不可能だろうが、転生者で異世界である日本人の魂を持つ俺だから可能にしたのだろう。
最も、一万円で新品の10円を買うぐらいに燃費が悪かったが、ギリギリ足りた。
「……充分だ」
「良かった……」
……この後、俺は意識を失った。
「……!」
「目が覚めたか?」
……久し振りに、魔力枯渇で気絶したか。
「どうなった?」
「後は、遣い手であるお主の武器の希望を聞き、癖を見るだけだ」
俺は、これから造られる武器の希望を伝えた。
「……カタナか」
「そうだ」
「……お主、勇者か?」
「違う」
「それなら……」
「巻き込まれだよ」
「……そうか」
俺は、ある事を思い出して追加依頼をしたが、気絶している間の回復で必要な神霊力は足りた。
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