貴族は大変だよなぁ。
間に合ったー!
「……思っていた以上の巨体ですね」
「そうだな」
ブルーケルベロスの頭だけで、NI○SANのキャ○バン並みの大きさだからなぁ。
「それでですね……」
受付嬢が、伺う様に言葉を濁した。
「俺達の取り分は魔石と、真ん中の頭部全部と、両前脚と背中の上半分の毛皮と、尻尾が全部」
「では、それ以外を売ってくださるのですね?」
「ああ」
「ありがとうございます!」
討伐した冒険者が、一番良い所を取るのは常識で、討伐した冒険者が残りから、どれだけの部分を手放すかが、冒険者ギルドの重要事項だからな。
その結果は、一番良い所以外の全てだから、冒険者ギルドとしては手放しで喜ぶ内容だ。
まあ、欲を出せばキリが無いし、討伐した冒険者が上位モンスターの魔石を売るなんて、Sランク冒険者がBランクモンスターを討伐した時ぐらいの差が無いとあり得ないからな。
勿論、柵が有れば話は変わるが、この冒険者ギルドと俺達には、そんな柵は無い。
「それと、討伐証明書を発行してくれ」
「あ、領主様に渡す為ですね。 直ぐに発行します」
この後は、俺達は受付嬢が待つカウンターに行き、ブルーケルベロスの討伐報酬金を貰い、冒険者ギルドが発行する討伐証明書を受け取る。
「明日の昼以降にお越しください。
それまでに、ブルーケルベロスの頭等の部位と、お売りして頂いた部分の代金を用意しておきます」
「分かった」
受付嬢からの話が終わると、冒険者ギルドを後にして、俺達は領主館に向かった。
「……感謝する!」
領主館に到着して応接室に通されると、数分後にはキカングラ伯爵が入ってきて、討伐証明書を渡すと、先程の言葉だ。
「依頼を完遂させただけだ」
「それでもだ! それと、この地を治める者としてもお礼がしたい」
「いや、既に依頼達成による報酬は受け取っているから必要ない」
「そういう訳にはいかない」
貴族は大変だよなぁ。
「……分かった。 受け取ろう」
「良かった。 では」
キカングラ伯爵は、執事に視線を送る。
「失礼します」
一緒に入ってきた執事が、持っていた小袋を硬質な音を立てて俺の前に置く。
「大金貨8枚、入っている」
俺は小袋の中身を確認すると、大金貨が8枚入っていた。
「……確かに」
俺は、その小袋を懐に仕舞う。
「さて、仕事の話は終わりだ。 是非、ブルーケルベロス討伐の冒険譚を聞かせて欲しい!」
その後、小1時間ほど話すとキカングラ伯爵は満足そうに退室し、俺達は一泊を勧められた。
まあ、討伐が終わったらサヨナラ……では、領主的に外聞が悪いからな。
「ライカ。 行ってくるね」
「ああ」
そして、ユリナ達とソフィア達は、キカングラ伯爵夫人からお茶会に招かれた。
「リンとランも招くなんて、出来た夫人だ」
リンとランの正式な身分は奴隷だから、今回のお茶会の招待は常軌を逸した事だが、そんなものは、周りには上手く対応すれば済む話だ。
つまり、それだけ深刻な被害だった訳だな。
「はい、喜捨」
「ありがとうございます」
俺だけになり、まだ夕食には時間があったから教会に行く事にして、到着すると受付に喜捨を渡して個室に案内して貰う。
「ユーリ姉ちゃん」
一瞬、身体に浮遊感を感じると、目の前には転生神ユリディアが笑顔で立っていた。
「久し振り、ユーリ姉ちゃん」
「久し振りだね、ライカ」
因みに、世界の時は止まっている。
お気に入りの作品で、創造神が時を止めずに主人公の魂だけを神域に招いたが、主人公から「僕の身体に被害が出たら、どうするんですか!」と、創造神に対して怒っていた。
確かにそうだと思った俺は、転生する前から神域に呼ぶ時は、世界の時間を止める様にお願いしていた。
「単刀直入に聞くけど、神々は邪神について何処まで把握しているの?」
「それがね……」
話を聞いたが、以前聞いた内容とそれ程変わっていなかった。
上位の邪神は、基本的には神々も察知する事が出来ずにいて、分身体とか欠片とかは察知する事も可能という事だ。
つまり、ユーリ姉ちゃんは可能な限り教えてくれるだろうが、相手が上位で本人だと後手になり事後承諾になるって訳だ。
「ごめんね」
「いいよ。 ユーリ姉ちゃんが謝る事は無いよ」
「ライカ、ありがとう!」
この後、ユーリ姉ちゃんと時間が許すかぎり雑談をして過ごした。
「……時間が余った」
世界の時間を止めていたお陰で、個室に入って5分で教会から出る事になってしまった。
「さて、どうしようか」
夕食まで、まだまだ時間が余っているから、どうしようかと考えていると聞こえた。
「シスター! 遊ぼう」
「……ちょっと待ってね」
「シスターってば」
「……はい、終わったわ。 遊びましょうか」
「「「「「「「「やったー!」」」」」」」」
どうやら、教会の裏が孤児院みたいだ。
???side
「お茶会は終わったのか?」
「え、ええ」
「どうした?」
「ちょっと…ね」
「何かあったのか?」
「ユリナさんや、奴隷2人はまだ分かるわ。
でも、残り3人は何者なの!?」
「どういう事だ?」
「3人のお茶会での所作が完璧なのよ!」
「……え?」
「爵位で言えば、アリシアさんは伯爵家で、ルシアさんとソフィアさんは公爵家で、いえ、ソフィアさんは王族と同等だったわ!」
「ほ、本当なのか?」
「こんな事で、嘘は言わないわよ!」
「彼らは何者だ?」
「……分からないわ」
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