両者、構えて……始め!
あの一族は、振り降ろしと突きの「躱し」は、鍛練の数を最も熟したのだろうな。
「実は……」
シリアスだと予想したが、本当にシリアスだった。
フェリシア王女が語った内容だが、王都から馬車で1日の所に王族が所有する山が有り、其処に冒険者ギルド認定のAランクモンスターが、いつの間にか棲み着いたらしい。
普段は、王族の所有する山なだけあって、高位の貴族ですら入山の許可が出ない場所なのだが、使いに出した者達が帰ってこず、調査に向かった者達からの報告で分かったみたいだ。
それで本来なら討伐部隊を編成して派遣させるのだが、その山には神側の高位の存在が居るみたいで、その存在は軍隊があまり好まないらしい。
その結果、少数精鋭を送ったが未だに帰還していない。
「はっきり言って、かなりの人的被害だわ」
「有能なベテランを指揮官にして、若手の有望株で編成したからね」
そこで、フェリシア王女は婚約者のフィリオネルを連れてお忍びデートに見せ掛けて、冒険者ギルドに行き、色々と話し合いをして、その後、少しでも情報を得る為に、王立図書館に足を運んだら、俺達が居た……って訳だ。
「ダメ元だったけど、やっぱり大した情報は得られなかったわ」
「司書達が、色々と独自に集めていたんだけどね」
「そうか」
因みに、その山が王族の所有地になったのは、その山でしか採取出来ない薬草が有って、その薬草の権利や他の諸々の関係から王族が管理する事になったみたいだ。
それと、その薬草自体は高額では無い為に、王族にとっても「お小遣い」程度の利益らしい。
「つまり、俺達に討伐をして欲しい訳か」
「ええ、そうよ」
……まあ、そうなるよな。
「冒険者ギルドに正式に指名依頼を出してくれ」
「……ありがとう」
フェリシア王女が安心した顔でお礼を言った。
「それで、その冒険者ギルド認定のAランクモンスターとは何だ?」
「……ダークネス・レッドアイズスネーク」
「スネーク系の純粋進化種か!」
「……そうよ」
ダークネス・レッドアイズスネークとは、物理系のみで進化したスネークで、体長は優に100mを越え、体色は光を反射しない漆黒で、赤い眼だけが光を反射するというスネーク系のモンスターだ。
更に、ワイバーンも通常の餌扱いで、成長途中の赤銅竜なら捕食するという。
「……大丈夫?」
「問題無い」
「……分かったわ。 冒険者ギルドに指名依頼を出すから受けてね」
「ああ」
この後、シリアスな話は終わり、雑談に入ったが、話が盛り上がりガールズトークになった辺りから、俺とフィリオネルは退室した。
「「……ふぅ」」
「ライカもかい?」
「当然だろ」
「……そうだね」
「何がだね?」
フィリオネルが、そう言った時、通路の奥から男性が現れた。
「……陛下!?」
フィリオネルは、直ぐに臣下の礼を取り、俺も同じ様に片膝を突き頭を下げる。
「良い。 礼を解け。 そちらの者もだ」
「「は!」」
改めて見ると、フェリシア王女と親子と分かる顔だが、身に纏う威厳はレベチだな。
「フィリオネルよ、そちらの者は?」
「例の件で、討伐依頼を出した冒険者です」
「アレか」
「はい」
「フィリオネルが認めた者なら大丈夫だろうが、余自身でも確かめさせて貰うぞ」
「御意に」
「そちらの者も良いな? 後、言葉使いは普段のままで良い」
フィリオネルに視線を移すと頷いていた。
「……分かった」
「では、移動しようか」
控えていたメイド2人にユリナ達に伝言を頼み、俺とフィリオネルはアレクサス国王の後に続いた。
到着した場所は、定番の騎士達の訓練場だった。
当然だが、この国の国王が来た為に、一斉に訓練を止めて整列した。
「訓練中に失礼するぞ。 実は、騎士達に頼みたい事がある」
「陛下、なんなりと申し付けください」
「うむ。 実は、この者の強さを測って貰いたい」
そう言いながら俺を指す。
「御意! 聞いていたな? 準備を!」
「「「「「「「「「は!」」」」」」」」」
あっという間に、模擬戦の準備が整った。
そして、空手の百人組手みたいに、騎士達と一対一の総当たり戦となった。
俺の武器は素手にした。
飾りの武器は預けたままだし。
言わないだろうけど、壊したら弁償しろとか言われたら嫌だからな。
それと、第1位階の魔法と身体強化魔法は有りだ。
まあ、これは戦闘中に、俺が魔法を使えるかの確認だろうな。
防具は、向こうの面子を考慮して装備したままにした。
……本当は必要無いだろうけどな。
「お互いに準備は良いな?」
俺も騎士達も頷く。
「では、模擬戦の第一戦を始める。
両者、前へ」
1人目の騎士が前に出て、俺も前に出る。
「両者、構えて……始め!」
「来い!」
……俺の実力を測る為の場だしな。
「行くぞ!」
普通に正面から突っ込むと、対戦相手の騎士は大上段に剣を構えて、相手の距離になると剣を振り降ろすが、何処ぞの陸奥○○流の最後の後継者みたいにギリギリで左に躱して、右回し蹴りを放つ。
「ふっ!」
「がっ……」
俺の右回し蹴りで、対戦相手の騎士はK.O.した。
「そこまで!」
この後も模擬戦を続け、偶に浸透系の一撃を入れて技術的な攻撃も出来る事を証明した。
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