表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/123

お前に餌を与えたのは誰だ?

前提が崩れると大変だよね。

 


「どうぞ」


 ……この気配と魔力は、執事ヤルザだろう。


 俺が入室の許可を出すと、入って来たのは予想通りの執事ヤルザだった。


「準備が出来ましたので御案内いたします」

「分かった。 行こうか、皆」

「ええ」


 代表してユリナが答え、リン達は頷く。


「それでは、御案内いたします」


 そして、執事ヤルザが先行して俺達は付いていく。


「此方が会場になります」


 到着したみたいで、執事ヤルザが俺達の目の前の扉にモールス信号みたいな感じで小さく扉を連続で叩くと、向こうからも3回「コン、コン、コン」と扉を叩いた。


「一歩、前へ」


 言われた通りに、扉に対して一歩近付くと、それに合わせたみたいに扉が開き、全開になると、向こうから声が聞こえた


「未曽有のスタンピードから、都市を救った冒険者パーティ『星屑スターダスト』の皆さんです!」


 この後、拍手で迎えられ、領主であるラザリマナ侯爵からの歓迎の言葉と、都市をスタンピードから救った感謝の言葉を贈られた。

 その後は、都市の有力者達からの挨拶が始まり、それぞれから感謝の言葉を言われる。


 そして……


「……では、乾杯!」

「「「「「「「「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」」」」」」」」


 領主であるラザリマナ侯爵の音頭で歓迎会が開始された。


 ……餌に群がるピラニアみたいに俺達に話し掛けてくる招待客をなんとか対処して、俺達はバルコニーに避難する事が出来た。


「……スタンピードみたいだった」


 ユリナがポツリと言った。


「そうだな」


 俺が返答する。


「少し、よろしいかしら?」


 基本的には、バルコニーに居る人には話し掛けるのはマナー違反だが、誰だ?


「初めまして。 私は、この都市の領主ラザリマナ侯爵が次女ニドリーナ=アヤサ=ラザリマナよ」

「初めまして。 冒険者パーティ『星屑スターダスト』のリーダーのライカで、彼女達はパーティメンバーだ」


 俺がそう言うと、ユリナ達も軽く自己紹介をした。


「休憩中の所、ごめんなさい。 実はお話したい事がありますの」

「この様な『場』で、話す内容か?」

「ええ。 実は……」

「待て。 言っておくが、話す内容を聞いても俺達が断わる場合がある事を承知して貰う」

「勿論ですわ。 断わる場合がある事も認めますわ」

「それならいい。 話してくれ」

「実は……」


 話の内容は、俺が予想した中では一番くだらないものだった。


「その話、断わる」

「……な!?」


 彼女は美辞麗句を並び立てていたが、簡単に言えば「私の配下になりなさい」だ。

 つまり、彼女はこんな良い話を断わる訳が無いと思っていた訳だ。

 都市をスタンピードから救った英雄であろうとも、所詮は冒険者。

 貴族と平民の間には大きな開きが有る。

 だから、この「話」を断わる訳が無いと思っていたのだろう。


 俺が断わると、彼女は驚愕の顔を浮かべる。


「何故です!」

「俺達は冒険者だ。 それ以上も、それ以下の理由も無い」

「わ、私の……お金だって金貨で……」

「やろうと思えば、1週間もあれば白金貨1枚以上を稼ぐ事が出来る」

「白金貨1枚以上!? でも、地位は……」

「冒険者に、地位は必要無い」

「貴女達は……」

「嫌よ」

「私には必要ありません」

「我が主はライカだけなのじゃ!」

「私には必要無いわ」

「お断りだよ」

「そう言う事よ。 私達はライカだからこそ一緒にいる。

 その私達がライカから離れて、高が金貨数枚程度で頷く訳が無いわ!」

「そう言う事だ。 では失礼」


 呆然とする彼女を置いて、俺達は会場に戻ったのだが、一難去ってまた一難来るとは、ぶっちゃけ思わなかったな。

 次女ニドリーナ=アヤサ=ラザリマナから受けた話を、そのまま三男クールガル=アヤサ=ラザリマナからも受けるとは思わなかった。


 だから、一字一句同じ台詞せりふで俺達は断わった。


 その後は、慰労会は無難に終わり、俺達は領主館に泊まる事になった……が、夕食も風呂も雑談や遊戯も終わり就寝して数時間後に、俺を狙った暗殺者が現れた。


 ……勿論、毒付きの短剣から無傷で躱して暗殺者を拘束して、尋問を始めた。


「お前に餌を与えたのは誰だ?」

「……」

「言わないか……」


 俺は部屋に遮音の魔法を掛ける。

 これで、どれ程の大声を出そうとも、扉に耳を付けて盗聴しようとも部屋の外に居る者に聞かれる事は無い。


「……ぎ、ぎゃあああーーー!」


 暗殺者の肘に、自前の安物の短剣を刺してグリグリする。


「話す気になったか?」

「……」


 暗殺者が意地で無言を貫く。


「とりあえず、小治癒ヒール」 

「……!?」


 俺はグリグリした自前の短剣に、とある毒草から捻出した液体を塗ると、治癒された肘に再び刺す。


「ぎぃ……ぐがぁあああーーー!」

「痛覚を約10倍にする毒液を塗ったんだ。

 初めて味わう痛みだろう?」

「ぎぃいいいーーー!」

「話す気になったか?」

「……」


 暗殺者は無言ながら頷くと、俺は解毒薬を飲ませて尋ねた。


「では、話して貰おうか」

「依頼人は……」


 俺は、依頼人の名を聞くと小さく口から漏れた。


「……やっぱりな」




厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ