……勘弁してくれ
ちょっと短いです。
俺は、短距離の五輪のレコード以上の速さで駆けてユリナ達の下に駆け付けたが、胸に沸く心配は杞憂だった。
「お帰り、ライカ」
「ただいま。 無事で良かった」
「ありがとう」
この後、お互いの報告を済ますと防衛ラインに戻る事にした。
……スタンピードが終結して、被害内容だが死者3名、重傷者7名、軽傷者31名で、スタンピードの規模を考えれば被害内容は軽微といえる数字である。
……俺が7割も削れば、そうなるわな。
スタンピードの諸々の事後処理が終わると、冒険者ギルド内にて戦勝会という名の祭が開催された。
そして、祭りは参加してこそ意義がある。
その言葉に従った結果、冒険者ギルド内には屍の如く床に倒れている冒険者で溢れていた。
……原因は勿論、戦勝会の祝い酒だ。
俺達も、ゴブリン等の下位モンスターの討伐報酬は戦勝会の酒に変えて皆に振る舞い、オーガ等の中位モンスターの討伐報酬は家族を喪った遺族に分配して、地竜等の上位モンスターの討伐報酬は自分の懐に入れた。
「……まだまだだね」
種族が「鬼神」になった所為か、酔うが泥酔にはならない様になった。
3日間、完全休日にして4日目にカイジルのエレグレズ商会に行ってみる事にした。
「ようこそ! 英雄の星屑の皆さん!」
「……英雄?」
「ご存知ではないのですか?」
「全然」
「そうですか。 ライカ様を筆頭に皆さんが、この都市をスタンピードから救ったと、噂になっていますよ」
「カイジルさん、そうなのか?」
「はい」
それを聞いたユリナ達は……
「英雄ライカ……悪くないわね!」
「はい。 その通りだと思います」
「のじゃ!」
「確かに悪くないわね」
「そうだね」
「その通りだわ!」
「……勘弁してくれ」
「「「「「「……あははは」」」」」」
話にオチが付いた所で買い物を始めた。
「……合計で、大金貨1枚と金貨7枚に、大銀貨2枚と銀貨9枚になります」
「分かった」
因みに、この合計金額は3割引きされた後の金額だ。
これが、4割引きや、ましてや半額とか言われたら心配になるが、3割引きなら好感が持てる。
「お買い上げありがとうございます。
次回からは通常価格になりますが、ライカ様達がお越しになられるのを心よりお待ちしております」
エレグレズ商会を後にした俺達は、宿屋に戻ると領主からの使者が待っていた。
「冒険者パーティ『星屑』の皆様ですね?」
「そうだ」
「主より御手紙を預かっております。
そして、星屑の皆様から返事を頂くように言われております」
俺は、手紙を受け取ると内容をしっかり読むと返事をした。
「分かった」
「畏まりました。 では明後日の午前9時にお迎えに参ります」
使者は宿屋から出ると、俺は持っていた手紙をユリナに渡した。
ユリナは、一通り読むとリンに渡す。
この後、リレーで全員が手紙を読むとユリナが言った。
「領主館で慰労会か」
「……そうだな」
クズな四男を放置している事から、少々不安だ。
それは、ユリナ達も同感みたいで神妙な顔をしている。
「最悪、王女から預かった『短剣』を使おう」
「そうだね」
……2日後の今日、使者が宿屋に迎えに来た。
因みに、ソフィア達の提案で、相手の失礼にならない程度に香水を掛けている。
「ソフィア達のお陰で良い買い物が出来たわ」
「同感です」
「悪くないのじゃ!」
「それは良かったわ」
……昨日の買い物は、俺にとっては戦場だった。
「5件以上、廻った……」
「何か?」
「いいえ、ユリナさん」
「それならいいわ」
そんな他愛もない会話をしていると、馬車は領主館に到着したみたいだ。
「ようこそ。 執事のヤルザでございます」
そして、出迎えに来ていた執事ヤルザに案内されて定番の応接室に入れられて「暫くお待ちください」と言われ、メイド1人を残して退室した。
メイドは、紅茶とお菓子を俺達に出すと壁の花になった。
ちょっと前まで、それが日常だったソフィア達は流れる様に紅茶で喉を潤わせ、お菓子を口にする。
……それから、約1時間後に扉をノックする音が部屋に響いた。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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