噂と真実の狭間で
そんな噂が立った次の日は流石にお互いに自重しようと言う事になり、登校は一緒にするが手は繋がらない。 なるべく周りには気を遣う、と言った具合になった。 極論的な話が、いつも通りに過ごしていればいつか噂も風化するだろうという考えに陥ったのだ。
「俺達のやった作戦がこんな形で裏目に出るとはな。」
口にはしたくなかったが、どうしても洩らしてしまった本音に、フィーナ、芦原、引間が顔を向ける。
「仕方ないと思いますよ? 私たちもこうなるとは思っていませんでしたから。」
「情報の混濁などよくあることだ。 真実は嘘に隠れやすい。 そしてその真実を知るものは、当人以外を除けば、真実を述べていた者すらも疑惑の念を抱くもの。」
「こればっかりは噂だもの。 本人達から言わなければ「らしいよ」で終わっちゃうんだもんねん。」
三者三様の意見が飛び交う。 そうならないための行動だったんだがなぁ。
「ひとまずは今まで通りにしてみるんでしょ? それで元に戻りそうなのん?」
「俺達は噂を流した犯人捜しをするつもりはないからな。 自然に出来たなら自然に終息させるのがいい。」
「そうだな。 むしろここで反論する方が、状況を悪化させる可能性もある。 災いは口からとも言うように、今はなにもしない方が正しいだろう。」
「ああ。 ただ・・・」
「どうかしましたか?」
「いや、今のところはなにも言ってきてないが、そろそろな気がするんだよなぁって思ってさ。」
今はここにいない人物の事を思い出しながら俺は小さくため息をつく。 その事に他のみんなは、誰一人として分かっていなかった。
そして部活を終えてフィーナと時間を合わせて帰ろうとして正門を抜ければ
「おいカズマ! お前達が噂になってるって本当か!?」
そんな声と共に現れた帆山に、耳を抑えながら俺は言った。
「よし、落ち着くんだ帆山。 とりあえずどこまで聞いたか覚えてる範囲で教えてくれ。」
隣にいたフィーナもなんとなく状況や昼間に俺が言ったことを察したようで、多分心の中で合掌しているのが見えた気がした。
「ええっと、お前達が付き合ってるって聞いて・・・」
そこは間違っていない。
「それで、なんか、学生として一線を越えたって・・・」
そこは間違いだな。
「でもなんかそう言われてる割には、全然騒がしくなかったって言うか・・・ 噂してるやつもそんなに多くなかったって言うか・・・」
帆山の話を聞く限りでは、噂が勝手に独り歩きしてる感じかもな。
「帆山。 その噂はそれ以上聞くな。 俺達ももう気にしてないから。」
「え? でもよ・・・」
「帆山さん。 ここは数馬君の言うことを聞いてください。 いいですね?」
「お、おう・・・」
俺の言葉の後にフィーナに言われてそのまま押し黙る帆山。 底知れぬ圧を感じたのかもしれない。
帆山も流石に俺達2人がいるのに一緒に帰るわけにはいかないと思ったのか、そのまま帰っていった。
「噂に関してはどうにかするしかないのか?」
「しかし発生源が分からないのでは、下手に動けませんね。」
その辺りを踏まえた上で、どうしていくかも考えなければならないようだ。 どうやらまだあの夢の事態は終息していないみたいだ。




