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提案

 始業式はなんとか終わり、そのまま帰ることになった俺達だったが、今朝の事もありフィーナと共に蘇我に見つかる前に退散することにした。 芦原もその様子を見ていたのか軽く頷いていた。


「数馬君はこのままお帰りになられるのですか?」

「フィーナ。 時間があるならファミレスに行かないか?」

「お時間は大丈夫ですが・・・珍しいですね?」


 そう、基本的になにもなければすぐに帰るが、今回は話が違う。 今後の事も含めて相談と提案をしなければならないのだ。


「いらっしゃいませ。 2名様でよろしいですか?」


 店に入ってすぐに店員から声をかけられて、丁度店が混む前だったので、スムーズに席に案内された。


「とりあえずなにか頼もう。」

「そうですね。」


 そして注文を適当に済ませて水を取りに行った後、フィーナに面と向かう。


「フィーナ。 今朝の事なんだが・・・」

「私は気にしていませんよ。 向こうの態度は少々驚きましたが。」


 俺が気にしているようなことを先に否定してきた。 気分を害しているわけではないようでよかった。


「それに私があのような人が苦手なのは知っているでしょう?」


 それはそうなんだがな。 まあいい。 そう言うことなら話は早く済みそうだ。


「なぁフィーナ。 これはフィーナが嫌ならやらない前提で話すんだが。」

「はい。」

「その、もう少しだけ、恋人らしい行動をしてみないか?」

「・・・はい?」


 うん。 フィーナの疑問も分かる。 だからこそここからは説明が大事になる。


「フィーナが今朝、蘇我にいきなり声をかけられて、しかも婚約者になってくれないか? なんて言われただろ?」

「そうですね。 唐突過ぎてなにを言っているのかは分からなかったですが。」

「でな、その時に俺は、なにも出来なかった、というよりもフィーナが取られるかもってことに、なんの疑問も感じなかったんだ。 それってさ、俺がまだフィーナの恋人だと認識してないからなんじゃないかと思ってな。」


 今の俺はフィーナを恋人としてではなく、友達の延長線としか見えてないのではと思ったのだ。 芦原に言われなければそもそもこんな提案もしなかっただろうしな。


「具体的にはどのように行動するおつもりですか?」

「一緒に登校したり手を繋いだり、教室で弁当を食べあったり?」

「常識的な行動でなによりです。」


 そりゃあまあ、校内なんだからやれることなんて限られるだろうし、そもそもそんなものを見せられる側になったら、さぞツラいだろうし。


「分かりました。 では私も出来る範囲でやらせていただきますね。」

「・・・一応フィーナを守るためだってことは言っておく。」

「心配いりませんよ。 私が好きなのは数馬君ですから。」


 その言葉に照れながら、運ばれてきた料理を口に運んだのだった。

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