独占?
「それで、そのままなにもせずに終わった、と?」
「なにもしてないって言うか、フィーナがひとりでに切り抜けただけって事だよ。」
教室につき、事のあらましを知らない芦原から、なにがあったのか聞かれたのでその時の事を話した。
突然の告白があり、周りは大騒ぎになったものの、肝心のフィーナはと言えば
『ごめんなさい、言っている意味がよく分からないのですが?』
と、とぼけた振りをしながらアイルランドの言葉で返していた。 その返しに蘇我はと言えば
「・・・なるほど、確かにいきなりの事で驚いたのか。 だが心配することはないさ。 僕の魅力は世界を越えるからね。 今は分からなくても、ちゃんと僕の事を見てくれるようになるさ。 それではマドモアゼル。 また学校のどこかで。」
そんな風に一方的に理解して去っていった。
「それでその蘇我というものは?」
「俺達と同じ1年だとよ。」
「ふむ。 ということはいつかは衝突があるということだな。 その時の備えは万全か相棒?」
「備え・・・ねぇ・・・」
つまるところフィーナは再びあいつに狙いをつけられる。 その時に俺がフィーナのことを守ってやれるのかどうか、という事だろう。
「なるべくなら穏便に済ませたい所だが・・・」
「ああいった輩はヒステリックになりやすいとも言う。 相棒が戦いに不向きなのは分かるが、男らしく守ってやらねば、女神も不安になるだけだろう。」
それはそうだろうと思っている。 学校にいる以上は避けられない。 だが奴以上になにか武器(物理的にではなく)があるわけでもない。 どうするべきかと悩んでいた。
「とは言え別段なにか変える必要もないだろう。」
「解決策があるのか?」
「要は其奴が女神を諦めるように仕向ければいい。 つまり女神には既に心に決めたものがいて、その者と常にいることを証明させれば、引き摺りはするだろうが手出しはしないと我は踏んでいる。」
「・・・つまり?」
「他のものから憎まれ口を叩かれようとも、女神は自分の物だと知らしめてやればいい。」
俺は芦原の物言いに頭を抱えつつも、それが一番手っ取り早いのかと考えていた。
「それに一度言ってしまえば開放的になると言うものだ。」
「・・・そんなに見境なくなると思うのか? 俺とフィーナが。」
「いや、我が言っているのは周りの人間だ。 相棒は知らぬと思うが、なんだかんだと汝達の姿を見て「早く付き合え」と思っている者達もまあまあ存在していると知識の女神から情報がある。」
聞きたくなかった情報を叩き込まれて耳が痛くなる。
「どっち道逃げ場は無いってか。」
「堂々としているのも、割りと気が付かれないものだと思うがな。 それに独占欲はある意味では人間の性だろう。」
「独占欲ねぇ・・・」
考えてもいなかったことだが、フィーナの安心の為にも相談だけはしておくか。




