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始業式早々

「いつも通りの朝にしては寒いよなぁ・・・うぅ・・・」

「寝ぼけているのなら丁度いいじゃないか。 ほら、早くしないと遅れるぞ?」

「全然余裕な時間に家を出ておいてなに言ってるんだ。」


 一緒に登校している姉さんに微妙な悪態をつきつつ、俺は始業式が始まる学校へと向かっていた。


 姉さんは生徒会の仕事もあるので早く、俺は俺でそこまで家に居残る理由も無かったので、こうして珍しく一緒に登校しているのだ。


「入学式以来か? カズとこうして並んで登校するのは。」

「そうじゃないか? 姉さんはなにかと生徒会で忙しいだろうし。」

「お前も生徒会に来れば分かるさ。」

「俺は指導者にゃ向かねぇと思うけどな。 誰かを動かすって言うの性に合わないし。」

「なにもそれだけの仕事ではないぞ? まあやりたがらない仕事をやるという意味では間違ってはないだろうがな。」


 それも含めての生徒会なのだろうなと思いつつ、俺は姉さんと登校を続ける。


 そしてある程度学校に近付けばそれなりに生徒が集まってくるもので、見慣れた制服が多く見られた。 勿論俺自身は交流が広いわけではないので、挨拶などは交わらないが。


 正門まで近付いてきた辺りで、なにやら騒がしいことに気が付く。 具体的に言えば正門前で人々が群がっているのだ。


「なんだ? なにか集まる行事とかあった?」

「いや、今日は始業式だけのはずだが・・・ 生徒会だ! そのままでは校門を通ることが出来ないだろう! すぐに校舎に向かうんだ!」


 姉さんが叫べば正門を通れる程度に道が開け、そしてその集まっていた原因が見えてくる。


 そこにいたのは俺達と同じ制服を着た男子生徒。 背と鼻が高く、なにより振り撒いているオーラが違う気がする。 よく見れば周りは女子ばかりなのも頷ける程の美男子、と言った具合だ。 ただ見ている限りではちょっとナルシスト寄りな感想ではあるが。


「・・・おっとこれは失礼。 新しい学校に来たのはいいが、どこに行けばいいか分からず立ち止まっていたら、みんなが集まってきてしまっていたんだ。」


 いちいちそれっぽいポーズをしなければ気が済まないのか、姉さんに対して態度を崩すような事はしなかった。


「そうか。 転校生だというのならば職員室に行くといい。 案内しよう。」

「これはご丁寧に。 是非ともこの蘇我 卓士(そが たくじ)を職員室に連れていって下さいな。」


 その口調が微妙に癪に障ったようで、姉さんは眉間を少し歪めながらも、案内するために動き出した。 そして蘇我と呼んでいた人物も動き出すかと思えば、また止まってしまう。


「どうした? なにかあったか?」


 姉さんが呼び掛けるも、蘇我は逆方向、つまり正門側に歩いていき、そしてその先にいた、たまたまこの時間に登校したフィーナのところまで行って手を取り


「麗しきマドモアゼル。 僕の婚約者になってくれないかい?」


 そんな爆弾発言を投下した。

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