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おせち料理

「本当に待ってる方がいいことあるんだなぁ。」

「どうかされたのですか?」


 独り言を呟くと不思議そうにフィーナが聞いてくる。 大したことでもないので、そのまま返事をする。


「おみくじの結果でな。 待っている方がいいことあるって書かれてたからその通りにしただけの話だよ。」

「ああ、おみくじ。」


 そう言ってフィーナはおみくじ売場の方を見る。


「フィーナはあんまり信じない方か?」

「私だっておみくじはやりますよ? それでも今年の運気を占う、というのは流石に誇張が過ぎると思ってしまうので。」


 言われてみればその場かぎりの事なのに、来年の事まで言われてしまうと疑問には思うかもしれない。


「おや、西垣君ではないか。」


 フィーナと会話をしていると、姉さん達が戻ってきた。 手には甘酒と思われる紙コップが握られていた。


「明けましておめでとうございます。 皆様。」

「はい、明けましておめでとう。 親御さんは?」

「家にいますよ。 初詣には別日に行くつもりのようです。」


 文化の違いなのか人混みが苦手なのか。 とにかくフィーナの両親はいないようだ。


「そうだ。 折角だからうちのおせち食べていかない?」

「え?」

「そうだね。 おせち料理はあまり馴染みがないだろう? 味わっていくといい。」

「ええっと、お、お邪魔になります?」


 変な成り行きで家に招待されるフィーナ。 困ってはいたものの嫌がっているようではないみたいだった。


「ところでその甘酒ってまだあるの?」

「これはアルコールが入っているから、未成年は飲ませて貰えないよ。」

「あ、分けられてないんだ。」


 それなら仕方ないと一緒に家に帰ることにした。


 そして家に到着してフィーナも含めて玄関で靴を脱ぎ、食卓に向かう。


「そう言えば西垣君が家に来るのは2回目かな?」

「だと思う。 風邪の時には確実に来てたし。」

「まさか看病をしに来るとは思っても見なかったがな。」


 姉さんの言葉に俺も頷いた。 あの時はまだ付き合う何て言う段階にいなかったため、そう思ってしまうのも無理はないだろう。


「ところで西垣君。 おせち料理と言えば何を思い浮かべる?」

「え? ええっと、黒豆とだし巻き卵、かまぼこと海老とあとは栗きんとん、でしたっけ? あの黄色いペースト状のものなんですけれど。」

「どれも正解だ。 ではそれについての意味なんかも交えながらおせち料理を楽しんでみるのも良いとは思わないかい?」

「あ、確かおせち料理にはそれぞれ意味があるというのは聞いたことがあります。」


 フィーナは多分姉さんの知恵袋と母さんの味の感想に負われるだろうなと思いつつ、俺は母さんが持ってきたおせち料理を前に手を合わせる。 隣を見れば父さんも同じ作法をしていた。


「では我々は先にいただくとしよう。 冷めても美味しいのがおせち料理だが、目には毒だからね。」


 そう言いながらみんなでおせちをつつきあったのだった。

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