【22話】運命の扉
【22話】
星柄君と別れてから、里見君と何か発展している訳でも無くむしろ接点は少なくなっているようなそんな状態が続いていた。
「あんた一発告白したらいいんじゃない?」
「無理でしょ。」
「なんでバレンタインは?」
「あげようとはおもってるよ。」
あんなに今まで私はうじうじしてきたけれど、もう一度悲しい思いはしたし、悔いのないように卒業できればいい。そう考えていた。
「バレンタインかぁ。。。」
バレンタインあげる気ではいるけれど、1つ気がかりなことがある。それは里見君の受験に思いっきりかぶってしまっていること。
「受験かぶってると思うんだけど。どうしたらいいかな。。。」
「そんなの、本人に聞いてみれば?いつ終わるか。」
「聞けないよ。そんな狙ってる感すごいじゃん。」
「あんたね、考えすぎだって。」
しかも2月は家庭学習期間に入る。そのため、あげるには時間と場所を約束して会う必要がある。
「約束を取り付けるにも、早くしないと、神谷とかぶるよ。」
「そんなあ」
「あんた最近神谷の存在が薄くなって来たからって完全に油断してるでしょ。全然薄くなってないからね言っておくけど」
紗英はベランダから下を見る。
下では神谷と里見君が仲良く話しながらお昼ご飯を食べている。
「えぇぇぇ。そんなぁ。」
「そんなぁじゃないの、先手必勝。里見馬鹿だし先に声かけられた方にヒョイヒョイ行くのなんて当たり前。」
確かに紗英の言うとおりだって事は分かっている。しかし、それでもやっぱり、声かけるのは恥ずかしい。
「ま、どっちにしても、卒業というリミットは延長なんかしてくんないんだから、思った事は言った方がいいね。」
その日一日中考えて、帰ってきてもまだ考えているけれど、やっぱり勇気は出てこない。
今までの悔しい事悲しかった事をふと思い出す。神谷に嫉妬してた日はほんと精神がガリガリ削られてたな。。。
思い出せば思い出すほど涙が溢れてくる。その後は気が済むまで泣いて泣いて泣きわめいた。
でもやはり泣いても泣いても勇気は湧いてくるどころか、怖くなってくる。そうして「明日また考える」と言って後回しにしてとうとうバレンタイン3日前になってしまった。
「連絡した?」
紗英は連絡しただろうと、軽く聞いてきた。
「。。。」
「どーすんのよ。頑張るって決めたんじゃなかったの」
「怖くて」
「応援したいよ。だから、私はいつもあんたの協力をする。それがダメだったのかな~」
紗英は呆れてため息をつく
「違うの、私が意気地なしなだけ」
「はぁ~。これが最後だから、あんたがもし聞けなかったらって思って、私がさりげなく聞いといた」
「え、どういうこと?」
「2月の14日が最終試験。つまり、夜とか会おうと」
優梨奈は紗英のやさしさに感動した。
「ありがと。私、もう絶対連絡する。」
そしてその日の夜、LINEを送る
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14日が最終試験らしいね。応援してる。
そして、その後予定を空けられないかな~
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送っただけで勝手に舞い上がって何を作ろうかるんるんに考えている。そして会う日の服装はどうしようか。たくさん考えたし、たくさん調べた。その時間はまるで魔法にかかっているように体が軽かった。
しかし1日経っても返事は来ない。むしろ既読すら付かない。不安は膨らんでいく。膨らんで膨らんだ後、後悔と切なさが私を包む。
「優梨奈~、スーパー行くんでしょ?」
「う~ん」
きっとテスト前で勉強してるだけよね。。。。
その後いくら待っても来なかった。そして当日。
大丈夫、そう信じて私は作り始める。渡すときのドキドキと、上手に出来るかでドキドキして一つ一つの作業がやたら丁寧になり、時間がかかってすっかり夕方になってしまった。
さすがに連絡が来ただろうと携帯を開くと、
『ごめん。次の日も試験があるから、会えない』
そうLINEが入っていた。
早く言わなかった自分も悪いし、勝手に乗り気になっていた私が悪かった。けど、全て用意して支度もしていただけにショックは大きかった。
作ったものも全て台所に置いたままで、自分の部屋にこもる。一人でずっと泣いていた。どのくらい泣いたかは覚えていない。ただ顔を出していたはずの太陽はもういなくなり、月が顔を出していた。
そこからはもう吹っ切れた。どのみち無理な相手だったんだと。
そして、もう頑張る活気は湧いてこなかった。家庭学習期間に入っていたため、誰にも合う事なく。携帯の電源も消して、毎日毎日ボーッとして過ごした。
しかし家庭学習期間でも3年生を送る会という日があり、その日は優梨奈もさすがに重たい体を起こして学校に行った。紗英からは心配されたけど話す気にもならなかった。
そして何より救われたのは、その日に里見君は学校に来ていなかった。
その登校日から何もやる気も起きず、相変わらず携帯は電源を落としたまま。
ついに卒業式が来てしまった。




