【19話】巻き戻していくよう
【19話】
私はどう説得しようか考えた末、LINEやメールは正直めんどくさいという結論に至った。
「あ~もうめんどくさい。いーや別に。私は別に好きで何でも無いんだし、一発電話した方が早く済むかもしれない。」
そう思って、私は携帯を手にして電話をする事にした。
発信ボタンは思ったよりあっさりと押すことができた。心の底で里見君が出ませんようにと祈ったが、割とすぐに出た。
「はい」
「分かってんでしょ。」
「なんなの、何のようなの?」
なんでだかかったるそうに答えているけれど、こっちだってこんなくそめんどくせぇ事したくねぇし、こっちがかったるそうにしてやりたいぐらいだった。でもなんとしても球技大会に来ることを説得しなければならないから、それは言わなかった。
「球技大会。サッカー部だったらしいじゃん」
「誰から聞いたんだよそんな事」
「しらないよ。てかさ、そんなことより来たら?もうラストじゃん」
「元木だな。なんでよ。俺いなくても誰も困らねえだろ。」
困るんだよ、あたしが。
「でもさ思い出づくりになるでしょ?」
「そもそも友達いねぇって」
「いや、でも少しでも戦力になるじゃん」
「ならねぇって」
「なるって」
「ならねぇって」
「なるよ」
「なんねぇ」
ことごとく呆れた。こいつこんなめんどくせぇやつだったか?とりあえず来いと伝えようとしたとき
「てか、もう切る。勉強するから。」
「…。明日学校は」
「朝の気分」
「このゆとりモンスター」
「フフ」
そして電話は切れた。だけど微かに笑い声が聞こえた。微かに…。
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朝、あいつが学校に来ることをただそれだけを願って学校に向かう。そのため星柄君の話の内容は全く入ってこない。
教室に入るなり私はあいつの席に座って待つことにした。もう神谷の邪魔はさせない。星柄君に無駄な心配もかけないためにこの戦を早く終わらせなければならない。
あいつの席に足を組んで今か今かと待っていると神谷と一緒に教室に入って来た。
里見君は私を、いや自分の席に堂々と座る私を見るなり驚いて私の目の前にきた
「なんだよ」
「なんだよじゃねんだよ。このゆとり男」
彼は笑いながら荷物を机の横にかける
「どいてくんね?」
「球技大会に来い」
「いかねぇって」
「じゃどかない」
「なんでだよ」
「そもそもおかしくない?みんなあんたを期待して待ってんの。勉強?ふざけたこと言わないで、1日2日で結果に出てくるようならあんた自分の頭の悪さを恨みな。」
「ほんとに俺いてもいなくてもかわらねぇんだって。」
「も~ほんとにどかない。ぜったいどかない。」
「…。予備校の講座申し込んだんだよ」
「…。」
えええええええええええええええ。これ私の説得の意味わけわかんなくなってきたし、無意味さを感じた。
「ふ、二日間どっちも?」
「初日」
「じゃ、二日目きなよ」
「最初からそのつもりだよ」
ええええええええええええええええ。私の時間返してと言いたくなったがそこはこらえた。
「ふーんじゃ、もういい」
と自分の席に戻ろうとしたらみんなが私を見ていた。やばいと気付く。すべてみんなの前でやってしまっていたようだった。
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「さっきの立川かっこよかった」
「ゆりちゃん、すごいね」
「仲良いんだねやっぱり」
といった言葉を1日中言われ続けた。それ以来里見君は私に気軽に話しかけてくるようになった。
「立川さん、今日」
「おーい立川。」
星柄君が話しかけてくるのを今のようにかき消すことが増えてきた。
「ごめんね、星柄君。あとで聞くから」
「あ、うん、きにしないで」
私は星柄君に悪いなと思いながらも、里見君とはじめて出会った頃のように、またそれと同時に電話もよく来るようになって仲良くなっていった。それは嬉しくなっていた自分もいた。
そうそのときはただ嬉しくて楽しかっただけだった。




