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『属性適性なしの学院最下位、迷宮で見捨てられた僕は七罪の魔神と契約する ~最強英雄になった幼なじみに追いつくまで~  作者: ドキツトム


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第197話 五人の団長

「この場面を挿絵で見たい!」と思った箇所がありましたら、挿絵希望度を★1〜5で評価し、場面と一緒に感想欄で教えてください!


例:『〇〇と△△が対峙する場面/★★★★★』


皆さまの声を、今後の挿絵制作の参考にさせていただきます!



アーサーの命令が落ちると同時に、四人の団長が、第七階位の召喚詠唱を重ね始めた。


「第八、第九階位は禁止する。ここは王都の手前だ。レイシアを殺すな」


四人とも第九階位へ届く魔法騎士だ。


けれど、高階位になれば威力だけでなく、範囲も構造も桁違いになる。王都の城壁を望める距離で使えば、私を拘束する前に街道や避難民まで巻き込む。


それでも第七階位が四つ。


一つでも、並の騎士団では受け止められない。


私は地を蹴った。


召喚を完成させる前に、四人の間を抜ける。傷つけず、詠唱の集中だけを崩せばいい。


だが、銀青色の水圧をまとった私の正面へ、聖剣エクスカリバーが滑り込んだ。


「行かせない」


アーサーの金髪が、巻き上がる水飛沫の中で翻る。


私が進路を右へ変えれば、切っ先も右へ動く。地表すれすれへ沈めば、白銀の甲冑が半歩先に踏み込んだ。


水圧を正面から当てれば、アーサーを詠唱中の四人へ叩きつけられる。


それだけの出力はあった。


けれど、殺さずに済む保証はない。


一瞬の躊躇を、アーサーは見逃さなかった。


「あなたも、私たちを殺せない」


「邪魔をしないで」


「それはできない」


エクスカリバーの腹が水圧を斜めへ流す。


その間にも、四つの詠唱は途切れなかった。


最も低く、揺るがないゴウセルの声が、大地へ沈んでいく。


「眠れる山よ、夜を背負う黒き甲よ。千の雨が谷を削り、万の軍靴が野を踏もうとも、沈黙の底でなお揺らがぬものよ。大河を腹に抱き、帰る者の道と進む者の道をその四肢で分かて。深き土の記憶より目覚め、我が呼び声へ応えよ――第七階位・土召喚魔法《玄武》」


荒野が鳴った。


裂けたのではない。圧縮された土が隆起し、黒緑色の巨大な亀型召喚獣が、地中から山のような甲羅を現した。


それに重なるイグナシオの声は、朝の空気そのものを熱へ変えていく。


「灰の褥に眠り、暁ごとに黄金の翼をひらくものよ。沈む陽を喰らってなお消えず、凍える空へ最初の熱を運ぶ不滅の鳥よ。焼くべきものと守るべき命を炎の瞳で見分け、天へ昇る赤き道を我が前に描け。燃え尽きぬ誓いの名において来たれ――第七階位・火召喚魔法フェニックス


赤金色の炎が空へ駆け上がり、その中心で巨大な不死鳥が翼を広げた。


熱風が銀青色の鱗を撫でる。背中の水流外套から、白い蒸気が立ち始めた。


さらに高く、誇りを隠さないシルフィの声が風を束ねる。


「雲海の王よ、朝焼けを裂く白き翼よ。獅子の胸に嵐を抱き、鷲の瞳で地平の果てを測るものよ。東西の風を爪に、南北の空を翼に集め、逃げる流れと追う流れを高天で選び取れ。青き自由の頂より、我が呼び声へ舞い降りよ――第七階位・風召喚魔法グリフォン


雲一つなかった空へ、白緑色の巨影が生まれる。


獅子の胴と鷲の翼を持つグリフォンが咆哮し、左右から風を巻き取った。


最後まで澄んでいたのは、ギルバートの声だった。


「光の届かぬ深層で、なお白金の鱗に誓いを映す古き竜よ。積まれた宝より一つの命を重んじ、破られた盟約を鎖として胸に巻くものよ。進む力をその鱗で受け、奪う刃をその鎖で眠らせよ。責任を負う者の名に応え、封じる光とともに顕れよ――第七階位・光召喚魔法ファフニール


王都側の空に白金色の光が集まり、巨大な竜型召喚獣が降り立った。


四体の召喚獣と、四人の団長。


契約者同士の呼吸が重なる。


玄武の巨体が黒緑色の甲羅状魔力へ崩れ、ゴウセルの全身を覆う。


召喚獣全身換装《玄武》。


フェニックスは赤金色の炎羽へ変わり、イグナシオの肩、胸、両腕へ燃え移った。


召喚獣全身換装フェニックス


グリフォンの白緑色の羽毛と風圧が、シルフィの人型へ密着する。


召喚獣全身換装グリフォン


ファフニールは白金色の竜鱗と光の鎖へ変わり、ギルバートの全身へ巻きついた。


召喚獣全身換装ファフニール


四人の呼吸は乱れていた。第七階位の召喚と全身換装を続けて行使した負荷は隠せていない。


それでも、誰一人として構えを崩さなかった。


「封鎖する」


ゴウセルが片足を踏み込む。


「換装固有技《玄武鎮路》」


黒緑色の魔力が地中へ沈み、荒野の地盤を一枚の岩盤へ変えた。


私の足元を走っていた水が、土の隙間へ潜れなくなる。地表を滑る流れも押し返され、後方には甲羅を思わせる土壁が連なった。


「上は俺が塞ぐ!」


イグナシオが両腕を広げた。


「換装固有技《鳳炎昇界》!」


赤金色の熱が空へ立ち昇る。


上昇流に乗ろうとした水圧が、白い蒸気へ削られた。背中の水流外套がみるみる薄くなり、魔力と水分が熱に奪われていく。


「左右も空も、わたくしの領域よ」


シルフィが宙へ浮いた。


「換装固有技《獅鷲風檻》」


白緑色の風が、上空と左右へ幾重もの壁を作った。


触れた水流が細かく切り分けられ、銀青色の飛沫となって荒野へ散る。


正面ではギルバートが両腕を交差させた。


「換装固有技《竜鱗光鎖》」


白金色の鱗が壁となり、王都へ続く進路を塞ぐ。


そこから伸びた光の鎖が私の右腕、腰、両脚へ巻きついた。締めつけるのではなく、水圧の流れだけを拘束する精密な制御だった。


地面は玄武。


上空はフェニックス。


側面はグリフォン。


正面はファフニール。


その中央をアーサーが走り、四つの領域の隙間へエクスカリバーを差し込む。


私は正面へ水圧を集中させた。


銀青色の激流が鱗壁へ衝突する。


白金色の鱗は軋み、ギルバートの足が地面を削った。それでも光の鎖が水流を左右へ分け、その先をグリフォンの風が切り裂く。


上へ逃がした水は炎に焼かれ、足元へ戻した水は玄武の固定した地面に弾かれた。


押し切れない。


真正面から五人を破るには、私も相手を殺し得る出力を使うしかない。


そんな時間も、意思もなかった。


アルトは今も、処刑命令の中にいる。


五人の役割は明確だった。


だから、五人が捨てられない役割を同時に増やす。


銀青色の鱗の奥で、リヴァイアサンの魔力が強く脈打った。


私は短く息を吸い、全身を覆う水圧だけを解き放つ。


「換装固有技《潮身分流》」


私の肉体は一つのまま。


その外側にあるリヴァイアサンの水圧装甲が、四つの高密度水流へ分かれた。


第一の流れは地面へ食らいつき、玄武の固定した岩盤を押し割ろうとする。


第二の流れは蒸気を巻き込み、フェニックスの上昇流を逆に駆け上がる。


第三の流れは左右へ分かれ、グリフォンの風檻を外側から押し広げた。


そして最大の第四流は、正面の鱗壁へ激突した。


どれも虚像ではない。


放置すれば、本当に封鎖線を破る。


「地表は通さん!」


ゴウセルが身体を沈め、玄武の甲羅状装甲を地面へ接続した。


「その蒸気を上げるな!」


イグナシオが赤金色の翼を広げ、上昇する水流へ向き直る。


「左右とも押さえなさい!」


シルフィが風檻を拡張し、二つに分かれた側面流を追った。


「正面を維持する!」


ギルバートは光鎖を増やし、最大の激流へ白金の鱗を重ねる。


四人は騙されたのではない。


私が生んだ四方向の圧力を、どれ一つとして無視できなかった。


封鎖線が四方へ引き伸ばされる。


私は残った薄い水圧を足元へ集め、地表から斜めに浮く流路へ身体を乗せた。


四人の領域が交わる、ほんの僅かな隙間。


けれど、その先にはアーサーがいた。


青い瞳は、四つの水流ではなく、最初から私だけを追っている。


「本体はそこ!」


エクスカリバーが白銀の線を描いた。


避ければ、四人が戻る。


受ければ、止まる。


私は避けなかった。


刃がそのまま走れば、肩から胸を断たれる軌道へ踏み込む。


アーサーの青い瞳が見開かれた。


「レイシア!」


殺さずに拘束する。


その命令を守る限り、アーサーは振り抜けない。


エクスカリバーの刃が、ほんの僅かに返った。


私はその内側へ滑り込む。


それでも聖剣は止まらなかった。


刃が左肩の銀青色の鱗を裂き、脇腹を覆う水圧を削り、背中の外套まで深く切り崩す。


熱い血が外套の下を伝った。


同時に《玄武鎮路》が脚部の鱗を割り、《鳳炎昇界》が背中の水流を蒸発させる。


《獅鷲風檻》が左脇の水圧装甲を切り分け、《竜鱗光鎖》が右腕と胴の鱗をまとめて剥ぎ取った。


全身を包んでいた銀青色が、一気に薄くなる。


息が詰まり、魔力経路へ焼けるような痛みが走った。


それでも、私の身体はアーサーの横を抜けた。


背後で四つの激流が崩れ、荒野へ大量の水飛沫が降る。


「再封鎖! 追うぞ!」


アーサーの声が飛んだ。


振り返らない。


五人は倒れていない。四人の全身換装も維持され、アーサーのエクスカリバーにも傷一つない。


私が得たのは勝利ではなく、彼らが散った数瞬だけだった。


脚部の鱗が砕けるたび、露出した足へ石が刺さる。


半分を失った水流外套では、先ほどまでの速度を出せない。右腕の装甲は剥がれ、脇腹の傷から血が流れ続けていた。


それでも王都の城壁は、もう遮るものなく正面に見えている。


「待ってて、アルト」


返事はない。


それでも私は、残った銀青色の水圧を両脚へ集めた。


五人を倒すことなく封鎖線を抜けた代償に、召喚獣全身換装リヴァイアサンの銀青色の鱗は半ば以上を失い、それでも私はアルトのいる王都へ走り続けた。

 「面白かった!」


 「続きが気になる、読みたい!」


 「今後どうなるの!!」


 と思ったら


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 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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