表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、日常がハーレムになりました  作者: ネロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/27

瑶季に異変……?

1月某日、週末の泊まりパーティー。

場所はまたしても悠真の1Kアパート。

今回は「新年最初の全員集合!」という名目で、瑶季が張り切って企画したものだった。

昼間からみんなで鍋を囲み、ゲームをし、笑い転げ、夜遅くまで騒いで……


ようやく、午前2時を回った頃。

理央はこたつに突っ伏して寝息を立て、すみれはクッションを抱きしめて小さく丸まり、海月はソファの端で静かに目を閉じていた。

部屋はようやく静かになった。

悠真は片付けを済ませて布団を敷き直そうとしていたが、ふと気づく。

瑶季が、ベランダの小さな窓辺に座って、外の夜景をぼんやり見つめている。

いつもなら一番騒がしい瑶季が、こんな時間に一人でいるなんて珍しい。

悠真「……瑶季? どうした?」

瑶季は少しびっくりしたように振り返って、無理に笑顔を作ろうとしたけど、すぐに崩れてしまった。「……ごめん。起こしちゃった?」

悠真は首を振って、瑶季の隣に腰を下ろす。

ベランダは狭くて、肩が触れ合う距離。

外は冷たい風が吹いているのに、瑶季の声はもっと冷たく感じた。


瑶季「……私さ。ずっと、みんなを巻き込んでるんじゃないかって思ってて」

悠真「巻き込んでる?」

瑶季「うん。最初はただ、私が悠真くんのこと諦めきれなくて……

それで理央に喧嘩売っちゃって、すみれも巻き込んで、海月さんまで……

みんな、私のせいで、こんな変な関係に……迷惑、かけてないかなって」

声が少し震えていた。

いつも明るく、感情を全部表に出す瑶季が、こんなに小さく縮こまっているのを見るのは初めてだった。悠真は少し考えてから、静かに言った。

「……迷惑なんて思ったこと、一度も無いよ」

瑶季「……嘘」

「本当。確かに最初はパニックだった。でも今は……違う。

みんながいるから、毎日がこんなに賑やかで、こんなに温かくて……

俺、こんなに幸せでいいのかなって思うくらいだよ」

瑶季は目を伏せて、膝を抱えた。

「……でも、私がいなかったら。みんな、普通に幸せになれてたんじゃないかな。

理央ちゃんと悠真くんは、もっと穏やかに付き合えてたかも。

すみれちゃんは、もっと素直に甘えられてたかも。海月先輩だって……」

悠真は瑶季の肩に、そっと手を置いた。

「瑶季がいなかったら、俺は今みたいに笑ってなかったと思う。中学高校の6年間、毎日瑶季の笑顔見て、『この子のこと、ずっと守りたい』って思ってた。

それが、全部無駄じゃなかったって証明してくれてるのが、今のこの関係だよ」

瑶季の目が、じわじわと潤み始める。

「……悠真くん」

「だからさ。巻き込んだ、なんて思わないで。俺たちはみんな、瑶季のせいでここにいるんじゃない。

瑶季が好きだから、ここにいるんだよ」

静かな夜に、瑶季の小さな嗚咽が漏れた。

「……ずるい。そんなこと言われたら、泣いちゃうじゃん……」

悠真は苦笑して、瑶季の頭を自分の肩に引き寄せた。

「泣けよ。俺、ずっとここにいるから」

瑶季は、悠真の胸に顔を埋めて、小さく、でも確実に涙を零した。

どれくらい時間が経っただろう。

瑶季の肩の震えが止まって静かになった頃、彼女は少し照れくさそうに顔を上げた。

「……ありがと。なんか、ちょっと……救われた」

悠真「よかった」

瑶季「……ねえ、悠真くん。私、まだ諦めないからね。みんなと一緒に、悠真くんのこと、もっと幸せにするから」

悠真は小さく笑って、

「……うん。俺も、みんなのこと……幸せにしたい」

二人はそのまま、肩を寄せ合って夜空を見上げた。

部屋の中では、他の三人が穏やかな寝息を立てている。

誰も傷ついていない。

誰も、置き去りにされていない。

この奇妙で甘い五角関係は、こんな夜更けの静かな時間も含めて、きっと、ずっと続いていくのだろう。瑶季が、ぽつりと呟いた。

「……来年も、再来年も、みんなでこうやって、年越しして、初詣して、泊まり会して……いいよね?」

悠真「……ああ。いいよ。ずっと、な」


外の風が少し冷たくなったけど、二人の間は温かかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ