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ある日、日常がハーレムになりました  作者: ネロ


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第4の女・海月

2月、桜がまだ遠い研究室の片隅。

悠真は研究室のゼミ発表のデータ整理で夜遅くまで残っていた。

誰もいなくなった部屋に、静かな足音が近づいてくる。

「まだやってるの? 悠真くん」


振り向くと、そこにいたのは2学年上の先輩・海月だった。

研究室では「海月さん」と呼ばれることが多い、落ち着いた大人の女性。

長い黒髪を緩くまとめ、眼鏡の奥の瞳はいつも少し眠そうで、でもどこか優しくて。


「先輩……お疲れ様です。もう帰られるんですか?」

海月は悠真の隣の椅子に腰掛けて、自分のマグカップをスッと差し出す。

「これ、飲んで。ハーブティー。カフェイン抜きだから、夜でも大丈夫よ」

悠真が受け取ると、海月は自然に悠真の肩に手を置いて、

「肩、凝ってるね。ちょっと貸して」

そのまま、指先で優しく肩を揉み始める。

力加減が絶妙で、痛いのに気持ちよくて、悠真は思わず「はぁ……」と息を漏らした。

「ふふ、こんな顔するんだ。可愛い」

「……先輩、からかわないでください」

「からかってなんかないわよ。本気で可愛いと思ってる」

その声は、甘いのにどこか落ち着いていて、瑶季の全力感情、理央の甘い献身、すみれのとろける天然——どれとも違う、静かで深い大人の甘やかしだった。


それからというもの、海月は悠真を「甘やかす」ようになった。

・研究室で疲れていると、隣で静かに頭を撫でてくれる

・「今日はもう帰りなさい」と言いながら、悠真の荷物を自然に持ってエレベーターまで送ってくれる

・帰り道に「寒いから」と自分のマフラーを悠真の首に巻いて、

「返さなくていいわ。似合うから」


そんな海月の行動は、悠真をどんどん溶かしていく。

そして当然、その噂はすぐに他の三人にも届いた。


3月某日、大学のカフェテリア。

瑶季・理央・すみれが何故か悠真を囲むように座っていると、海月がトレイを持って近づいてきた。

海月「悠真くん、ここにいたのね。これ、さっき買ったプリン。君の好きなカラメル多めよ」

悠真「え、あ、ありがとうございます……」

瑶季「……先輩?」

理央「……海月さん?」

すみれ「……え、悠真くんのこと、こんなに知ってるの……?」

海月は三人を見て、穏やかに微笑む。

「みんな、悠真くんの大事な人たちよね。よろしくね」

そう言って、悠真の頭を軽く撫でてから、

「じゃあ、私はもう行くわ。悠真くん、夜更かししすぎないようにね」

悠真「……はい」


海月が去った後、残された四人(悠真+三人は沈黙)。

瑶季「……あの人、ヤバい」

理央「……大人の色気ってああいうのを言うんだね」

すみれ「……すみれ、負けそう……」

悠真「いや、誰も勝負してないだろ!?」

瑶季「してるよ! 私たちの中で一番甘やかしてるの、あの人じゃん!」

理央「確かに……私たちの甘え方って、結局『攻め』なんだよね。あの人のは完全に『受け止めてあげる』系……反則」

すみれ「私も……もっと甘やかせるようになりたい……」

悠真「だから勝負じゃなくてってば……!」


それでも、三人はどこか楽しげに目を輝かせていた。

瑶季「よし! 次は私たちも大人の甘やかしを研究するぞ!」

理央「ふふ、悠真くんを甘やかし大会にしちゃおうか」

すみれ「えへへ……私、悠真くんの膝枕練習する……♡」

悠真「……俺、もう逃げられないんだな」

研究室の先輩・海月という新たな存在が加わったことで、関係はさらに複雑に、甘く、深く、絡み合っていく。

瑶季の全力、理央の献身、すみれの天然、そして海月の大人の余裕。

四つのベクトルが悠真を中心に渦を巻く。

でも、誰も本気で傷つかない。

むしろ、みんなが「もっと悠真を幸せにしたい」と思いながら、笑いながら、甘やかしながら、奪い合いながら——

このカオスは、きっと永遠に続きそうな気配だけを残していた。


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