海月師匠の最初の修行……
海月師匠による最初の訓練は、葉留花の「大人の余裕・落ち着き・魅力」を身につけるための、「まずは基本から」というコンセプトでスタートした。
場所はいつもの悠真のアパートのリビング。
みんなが布団に座って見守る中、海月は眼鏡をクイッと上げ、葉留花の前に立って静かに宣言した。
海月「最初の訓練は……『落ち着いて話す』ことよ。
いつも『えへへ〜!』って笑いながら話すけど……それじゃあ、大人の余裕は出せないわ。
まずは……『えへへ』を一切言わずに、落ち着いた声で自己紹介をしてみて」
葉留花「わ、わかった!えへへ……あっ! 言っちゃった、つい……
ごめん、海月師匠!もう一回!」
海月「……ふふ。いいわよ。ゆっくりでいいから……深呼吸して……
『私は葉留花です。よろしくお願いします』って、落ち着いて言ってみて」
葉留花は大きく息を吸って、目を閉じて集中。
そして、ゆっくり口を開く。
葉留花「……わ、私は……は、葉留花です……よろしく……お、お願いします……」
声が震えすぎて、最後の「お願いします」が完全に「お願いしましゅ……」になってしまった。
瑶季「……ぷっ……お願いしましゅ……!葉留花さん、可愛すぎる〜!」
理央「ふふ……葉留花さん、がんばってるわね……でも、震えすぎて……大人の余裕どころか、子猫みたい……」
すみれ「えへへ……葉留花先輩、すみも応援してるよ……がんばって……♡」
夏菜実「……あたし、笑い堪えるの限界……お願いしましゅって……あははは!」
悠真「……葉留花さん、がんばってるよ……もうちょっと、ゆっくりでいいから……」
葉留花「……うぅ……みんな、笑わないで……あたし、ほんとにがんばってるんだから……海月師匠……もう一回……いい?」
海月「……ふふ。もちろんよ。今度は……目を閉じずに、私を見て……
落ち着いて、ゆっくり……『私は葉留花です。よろしくお願いします』」
葉留花は海月の目を見つめ、深呼吸を3回。
そして、ゆっくり、震えながらも声を抑えて。
葉留花「……わ、私は……葉留花です……よろしく……お願いします……」
今度は「お願いします」が「お願いしゅます……」になった。
全員「……ぷっ……」
葉留花「……またやっちゃった……うぅ……あたし、ダメだ……
海月師匠……ごめんなさい……あたし、やっぱりポンコツすぎて……大人の余裕なんて……無理かも……」
海月は静かに葉留花の頭に手を置き、優しく撫でながら、
「ふふ……葉留花ちゃん。大人の余裕って、完璧になることじゃないのよ。
自分の弱さを認めて、それでも前に進もうとする……その気持ちが、大人の余裕の第一歩だわ」
葉留花「……海月師匠……」
海月「……あなたはポンコツでも……みんなを笑顔にできる子よ。
それが、あなたの魅力。
だから……始めにああは言ったけど、無理に『えへへ』を消さなくていい。
そのままのあなたで、少しずつ……落ち着きを身につけていけばいいの」
みんなが頷き、
瑶季「そうだよ! 葉留花さんのえへへがなくなったら……あたし、寂しいもん!」
理央「ふふ……葉留花ちゃんのポンコツが、私たちを和ませてくれるのよ」
すみれ「えへへ……葉留花先輩のままが……すみれ、一番好き……♡」
夏菜実「……あたしも……葉留花のポンコツ……なんか、守りたくなる……」
悠真「……葉留花さん。俺たちは、葉留花さんのそのままが好きだよ。
だから……自分のペースで、がんばってね」
葉留花の目からまた涙がこぼれ、
「……みんな……ありがとう……
あたし、がんばるね……!
海月師匠の教えをちゃんと、受け止めて、少しずつ……
みんなの支えになれるように……えへへ……あっ! また言っちゃった……」
みんなが一斉に笑い、部屋は温かい笑顔で満たされた。
葉留花の修行は始まった。
ポンコツなまま、でも少しずつ大人の余裕を身につけていく。
みんなはそんな葉留花を温かく、笑いながら見守り続ける。
七角関係は、葉留花の「えへへ」と海月の「ふふ」で、
さらに深く、温かく、続いていく。




