メガネか、コンタクトか……
ある週末の夜、いつものように六人で悠真の部屋に集まって、テレビをぼんやり見ながらゴロゴロしていた。
流れていたのは、深夜のバラエティ番組。
テーマは「メガネ女子 vs コンタクト女子、どっちがモテる?」
瑶季が突然立ち上がった。
瑶季「これ! これ絶対面白い!みんなで討論しようよ!メガネ派? コンタクト派?」
理央「ふふ……急にどうしたの?でも、確かに気になるかも」
すみれ「えへへ……すみれはどっちも好きだけど……メガネの子って、なんか知的に見えてドキドキするよね……♡」
夏菜実「あたしはコンタクト派かな。メガネって……なんか邪魔じゃない?」
海月はソファの端で膝を抱え、静かにテレビを見つめていたが、みんなの視線が自分に集まっていることに気づき、小さくため息をつく。
海月「……私、メガネよ」
一同「知ってる!」
瑶季「じゃあ、海月さんはどっち派なの?メガネ? コンタクト?」
海月は眼鏡を軽く指で押し上げ、少し照れくさそうに、でも真剣な顔で答えた。
海月「もちろん、メガネ一択」
理央「え〜、意外と頑固!コンタクトの方が楽じゃない?視界も広いし」
海月「楽かどうかは関係ないの。メガネには……意味があるから」
みんなが「え?」と首を傾げる中、海月は静かに語り始めた。
海月「私、メガネをかけ始めたのは中学生の頃。
最初はただの視力矯正だったけど……ある日、眼鏡を外してコンタクトに変えてみたの。
そしたら、周りの反応が変わった。
『海月ちゃん、今日はなんか可愛い!』って。
コンタクトの時の方が、褒められることが多かった」
すみれ「え……それって、いいことじゃない?」
海月「いいことなんだけど……なんか、悔しかったの。
『眼鏡の私』じゃなくて、『コンタクトの私』が可愛いって言われるのが。
眼鏡をかけた私を、そのまま好きになってくれる人がいたらいいのに……って」
部屋が少し静かになる。
海月「それから、ずっとメガネを選ぶようになった。コンタクトはもう何年も使ってない。
眼鏡の私を、そのまま受け入れてくれる人たちと、一緒にいたいから」
悠真「……海月さん」
海月は眼鏡を外し、裸眼の少しぼんやりした瞳でみんなを見つめる。
いつもより無防備で、少し幼く見える。
海月「みんなは……どっちがいい?眼鏡の私? それとも……眼鏡を外した私?」
悠真は少し考えて、優しく微笑んだ。
悠真「どっちも、海月さんだから……どっちも好きだよ。
でも……今、眼鏡外してる海月さんも、すごく可愛い」
海月「……ずるいわね、そんなこと言うの」
彼女は眼鏡をかけ直し、少し頰を赤らめて、みんなに向き直る。
海月「だから……私はメガネ派。これが、私の『本当の姿』だから。
みんなには、このままで好きでいてほしいの」
瑶季「海月先輩……なんか、かっこいい……!私も、メガネかけてみようかな!」
理央「ふふ……私も、たまにはコンタクト外してみようかな。
悠真くん、どっちも好きって言ってくれるなら……」
すみれ「えへへ……すみれ、メガネかけてみたら……
悠真くん、ドキドキしてくれるかな……?♡」
夏菜実「……あたしも、たまにはメガネかけてみようかな。
悠真くんが『可愛い』って言ってくれるなら……」
悠真はみんなに囲まれ、困ったように笑う。
悠真「……俺、みんなの全部が好きだから……メガネでもコンタクトでも、
そのままのままでいてくれれば、それでいいよ」
六人は一瞬静かになり、そして同時に、悠真に抱きついてきた。
瑶季「悠真くん、ずるい!」
理央「ふふ……甘いこと言うの、やめて?」
すみれ「えへへ……悠真くん、大好き……♡」
海月「……ありがとう、悠真くん」
夏菜実「……あたしも……好きだよ」
部屋は再び甘い笑い声で満たされた。
テレビのバラエティはもう誰も見ていない。
ただ、みんなでくっついて、メガネ論争は、結局「みんなの好きな方でいい」という結論で終わった。




