2-13
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「「夜を渡る雁」に届ける染めた岩羊毛。「野辺の狐」に届ける白髪染め。「巫女の集い」に届ける茶の包み」
忘れ物はないな、とばば様は確認していく。
部族に頼まれたものを届けに、一緒に山を下りるのだ。
「そのうちに、使いを頼むようになるからの。
品物と届け先を、しっかり覚えておくのだぞ」
そしてミーアは、叔母ちゃんの家で一泊のお泊りをするのだ。
夕ご飯を手伝って、夜は叔母ちゃんの隣に寝て、たくさんおしゃべりをするのだ。
お土産は、ミーアが摘んだお茶。
まだ魔力を使っては摘めないけど、いつも飲んでるお茶よりおいしいよ。
そして編んだポシェットを見てもらうのだ。
肩掛けの小物入れじゃろ、と言われたけど、誰かがポシェットって言ってた気がする。
叔母ちゃんが紡いだトトの毛に、ばば様に分けてもらった赤と青の貴重な色糸を使って模様を作り、大事なターロ板を入れる大きさに編んだ。
ターロ織りの紐も、そろそろ叔母ちゃんに及第点をもらえそうだ。
そしたら、叔母ちゃんのターロ織りと一緒に、売ってもらう事が出来る。
ミーアの作った紐が、隊商と一緒に部族の外に出ていくかもしれない。
ミーアはわくわくする。
「では、留守をたのんだぞ、オック」
「いってきまーす」
「ック」




