第5話
(現実?)
「はっ!」
何だ今の夢は!? 何が起きたんだ!? 何であんな、まるで誰かの一生を見届けるような夢を……しかも本人の視点から? 何なんだ?
「……落ち着け、まずは状況の把握だ。僕は確か転生魔法を使ったんだ。その後は……家に帰ろうと思ったら眠くなって階段で足を……え?」
ヤバいな。記憶が混濁している。寝起きだからか? それにしては嫌にリアルで他人事のように思えないような……? 夢だよな?
「ん? 寝起きってどういう……え? ベッドの上?」
んん? 僕はベッドに寝てたのか? 何で? 誰かが運んだのか?
「病院に運ばれたのか? それとも治療院?」
いや待て。治療院は分かるが病院ってなんだ?
それにしても、何でか懐かしい気がするのは何故だろう。見覚えがあるような気もするし、辺りをよく見てみよう。
「このベッドに部屋からすると男爵家の屋敷くらいのものか」
僕の実家と同じくらいか。道理で懐かしいわけだ。どこの家の貴族だろうか。会って見ないと始まらないな。
「転生魔法は失敗して、誰かにここまで運んでもらったってわけか。はぁ~、やっぱり失敗したか。……あれ?」
残念そうに思って手で頭をさすると、僕の身に起こった大きな変化に気付いた。
「……この手は何だ?」
僕の手がまるで十歳くらいの子供のように小さくなっていたのだ。驚いた僕はベッドから起き上がって体を隅々まで見てみると……もっと驚くべきことが分かった!
「ち、縮んでる! 僕、子供になっちゃった!」
何だよこれ、何だよこれ! 幻覚か? 何かの魔法? ロストツールの効果か何かか?
「どういうことだ、失敗の副作用か何かか!? いや、これからどうすればいいんだ!?」
何てことだ! 新しい人生を望んだがこんな形では断じてない!
確かに貴族から兵士になって働かされたり、ブラック企業でゲーム作りされてたから、スローライフを望んだけど、子供になってやり直すつもりはなかった!
「くっ、落ち着け! 喚いていても意味はない!」
……本当は叫びだしたいくらいだけど、そんなことしても意味はない。とりあえず今は情報収集だ。
服を見れば子供の服に着替えさせてくれていることが分かる。つまり子供を助けるような人だということだ。
それに部屋をよく見れば、客人用ではなく身内の部屋に寝かせられたようだ。貴族がよその者をそんな部屋に寝かすということは、屋敷の主はよほどの子供好きかお人よしだろうな。
もしくは、子供を利用して何かを企んでいるのか……。
「にしても、見れば見るほど僕の子供の頃の部屋に似ているな。家具の位置まで一緒じゃないか」
本棚も見てみよう。流石に本まで一緒ということは……驚くほど一緒だった。




