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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
42.ラロスゼンロ決着

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その22

 ラロスゼンロで報告を待っていたシルフィラン侯とマイラック公は、驚いていた。


 攻撃準備が整う前に、本格的な戦端が開かれたからである。


 驚いてはいるとは言え、現場指揮官の判断である。


 先走りの心配はあったものの、特に動くということはしなかった。


 だが、その日の夕方の速報には、更に驚かされていた。


「敵の拠点を制圧、敵は総崩れだそうです」

 シルフィラン侯は、報告書をマイラック公に渡しながらそう言った。


「何と……」

 マイラック公は、シルフィラン侯以上に驚いていた。


 まあ、侯より公の方が明らかに喜怒哀楽がはっきりしているからでもあった。


 とは言え、急報が届いた時には、マイラック公は不吉な予感しかしていなかった。


 恐らく、シルフィラン侯の方も同じだろう。


 それが見事に裏切られた格好になった。


 これまで散々苦労させられてきたのは、何だったんだと思わざるを得なかった。


「固いものは、同時に脆いという事ですかな……」

 シルフィラン侯は、現状をそう表現した。


「ふっ……」

 マイラック公は、苦笑いしただけだった。


 自分達にも思い当たる節がない訳でなかったからかも知れない。


 それにしても、亡命騒ぎがここまで大きく士気に影響するとは想像し難かった。


 それぞれの国の特徴や事情があるのだろう。


「ま、それよりは、戦は次の段階に移ったと言う事ですな」

 シルフィラン侯は、余計な事を言ったとばかりに、話題を変えた。


「次の段階ですと?」

 マイラック公は、この言葉に驚いていた。


 常識的に考えて、拠点を失ったのだから、これで終わりな筈である。


「シーサクの13貴族が関わっている戦です。

 これで、終わりという訳には、行かないでしょう。

 こちらとしては、終わりにしたいのですが」

 シルフィラン侯は、珍しく冗談を付け加えた。


 シルフィラン侯は、今回の戦いには嫌気が差しているのは明らかだった。


 いくら冷静沈着であっても、そうしていられるのには限度を超えたと言う事だろう。


(我が帝国も面子には、拘る方だが、これは異常だな……)

 マイラック公は、そう思いながら、状況を把握した。


「敵は、恐らく軍の士気の立て直しの為、ヒンデス侯爵が陣頭に出てくるでしょう。

 そして、決戦を挑んでくるでしょうね」

 シルフィラン侯は、確信を持ってそう続けた。


 と同時に、呆れてもいた。


「勿論、迎撃なさるのでしょ?」

 マイラック公は、興味ありげにそう聞いた。


 とは言え、こちらも、やはり呆れてはいた。


「そうですね、こちらとしては、奪取した西の砦を利用して、第1軍から第3軍まで、投入して迎え撃つことになります」

 シルフィラン侯は、そう答えた。


 第3軍は、ソルハ防衛と遊撃の任務に就いていた。


 それを止めて、こちらも決戦に備えようとしていた。


(数の上では、こちらが有利だな……。

 少なくとも2倍以上になる)

 マイラック公は、直ぐに兵力計算をした。


「ならば、我が方からも引き続き、リーラック伯の部隊を参加させます。

 微力ですが、お役に立つでしょう。

 それと、引き続き、東の砦の防衛はお任せ下さい」

 マイラック公は、兵力計算後に直ぐにそう申し出た。


「ありがとうございます」

 シルフィラン侯は、その申し出を素直に受けた。


 戦力はこれで、かなり増強された。


 なので、これで万全な迎撃態勢を整えることが出来たのである。


 だが、2人共、碌でもない戦いが続くことを憂慮せざるを得なかったのだった。


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