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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
42.ラロスゼンロ決着

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その23

 月が変わってからの変化がめまぐるしかったが、サラサとしては何も出来なかった。


 まあ、当事者ではなかったので、待つしかなかったのである。


 ならば、当事者だった場合はどうなるか?


 どうなるんでしょうかねぇ、難しい所である。


 それはそれとして、最後の決戦が行われ、決着した事を知らされたのは、月の半ばを過ぎていた。


 その報せを、サラサは宛がわれた自分の執務室で聞いたのだった。


「さて、決着が付いたから、漸くあたし達が動けるわね」

 サラサは、呆れながらそう言った。


 そして、その後、諦めの表情に変わった。


 これからやる仕事が、余っ程嫌なのだろう。


 報告したフィルタは、あからさまなサラサの様子を見て、どうしたもんかと思っていた。


 なので、バンデリックの方を見た。


 そのバンデリックは、やれやれ顔になっていた。


 その表情を確認したフィルタは、ここは、自分がやるべき行動は待ちだという事が分かった。


「出立の準備は整っております。

 明日でも可能ですよ」

 バンデリックは、敢えてニコニコしながらそう言った。


「……」

 サラサは、それを恨めしそうに見た。


(ええっと、仕事しましょうよ……)

 フィルタは、懇願するような表情になっていた。


 まあ、ここは、口には出さない方がいいという判断は正しいのかも知れない。


(まあ、確かにサラサには向いていない仕事かも知れないけど……)

 バンデリックは、同情しない訳ではなかった。


 だが、それはそれである。


 国防委員会の委員となった以上、やりたくない事もやらねばならない。


 世の中不思議なもので、権限が増えたからと言って、やりたい事が出来る訳ではないのである。


「サラサ、出立の挨拶の為、まずは、侯爵閣下の元に行きますか?」

 バンデリックは、手を替える事にした。


「はいはい、分かりました」

 サラサは諦めてそう言うと、扉に向かって歩き出した。


 それを見たフィルタは、慌てて扉に先回りした。


 そして、扉を開けた。


「ありがとう」

 サラサはそう言うと、自分の執務室を出た。


 その後に続いて、バンデリックも部屋を出た。


 フィルタは、2人が出たのを確認すると、自分も部屋を出て、扉を閉めた。


「結局、ラロスゼンロの最後の戦いは何だったのかしらね?」

 サラサは、いきなりラロスゼンロ攻防戦の話をし始めた。


 父親に会いに行くので、足取りは重くはなかった。


「シーサク側の最後の意地と言った所ですね」

 バンデリックは、サラサの横に並びながらそう答えた。


「うーん、それで、ヒンデス侯爵が討ち取られたんでしょ?

 割が合わない気がするけど……」

 合理主義のサラサには、やはり、この戦いが理解出来ないようだった。


「まあ、そうですね」

 バンデリックは、苦笑いしながらそう言った。


 サラサに毒されている分、言い分が分からない訳ではなかった。


 でも、これだけ戦いが長引いたのだ。


 要因として挙げられるのは、先に言った通りしか考えられないのだった。


「それにしたって、今回の損害を回復する為には、かなりの時間が必要になるわよね。

 兵も大きく損なったでしょうし……」

 サラサは、フィルタの方を振り向いてそう言った。


 詳細な報告を再度求めた格好である。


「損害は、投入兵力の4割近くと推定されます。

 また、爵位持ちの人間を3人程、捕虜にしております」

 フィルタは、そう報告した。


「成る程ね、その3人は、どうするのかしらね?」

 サラサは、そう聞いてきたが、あまり関心はなさそうである。


「前回の戦いでは、捕虜になる前に自害してましたが、今回はどうなんでしょうかね。

 フランデブルグ伯の件もありますし……。

 まあ、士気が落ち込んだのは、その件が原因でもありますし、どうなることやら」

 バンデリックは、シーサク軍の敗因を思い出していた。


 でも、まあ、何でこんなに急激に士気が落ちたのかは、もう少し検討してみる必要性を感じていた。


「それもあるけど、13貴族の内、2家が断絶状態になったのよね、これで?」

 サラサは、違う方が気になっていた。


「はい、その通りですね」

 バンデリックは、話題が変わったのに合わせて、そう答えた。


「シーサク側は、ちゃんとやっていけるのかしらねぇ」

 サラサはそうは言っているが、別に心配している訳ではなさそうだ。


「それは今後の出方次第となりますね」

 バンデリックは、呆れながらそう応えた。


「そうね。

 ならば、あたし達の仕事をやるとしますか」

 サラサはそう言うと、姿勢を正して立ち止まった。


 それに合わせて、バンデリックとフィルタも立ち止まった。


 3人が立ち止まったのは、オーマの執務室の前だった。


 扉番の兵が、3人に対して敬礼していた。


 3人は、それに対して、答礼した。


 漸く、サラサの新たな仕事が始まるのだった。


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