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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
42.ラロスゼンロ決着

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その20

 ただ、現場での指揮を執ることになったのは、エルドラン侯であった。


 シルフィラン侯が気を遣ったという側面もない訳ではないが、戦術指揮官としての技量は、経験数からいってもエルドラン侯の方が上であったからである。


 シルフィラン侯の方は、ラロスゼンロに残り、今後の対応に注力することとなった。


 マイラック公の方も、ラロスゼンロに残ることした。


 これは、ここにいた方が、情報が集まりやすいということであった。


 と言う事で、帝国軍の方からは、リーラック伯が指揮する部隊が参加することとなった。


 ただ、エルドラン侯は、第1軍と帝国軍が加わる前に、シーサクの拠点への攻撃を命令していた。


 これは、性格が問題というより、現場に出向いてみて、指揮官としての空気感から下した命令だった。


 エルドラン侯は、これまで前線視察を行ってきていた。


 そして、その時と明らかに違う空気を感じていた。


 恐らく、長年戦場に出ていないと、この空気の違いは分からない。


「父上、よろしいのでしょうか?」

 即時攻撃命令の意向を示したエルドラン侯に対して、まず、息子であるバメグラッド伯が確認をしてきた。


 参謀長であるラーケイが、ジッとその様子を見守っていた。


 意見としては、バメグラッド伯と同じなのだろう。


 ただ、2人共、何が何でも反対といった雰囲気ではなかった。


「グルフ、お前から見るとどうなんだ?

 私から見たら、敵に動揺が見られるのだが?」

 エルドラン侯は、逆に、息子に質問した。


 バメグラッド伯は、長くこの戦場にいるので、その変化を一番良く察していると感じていると思ったからである。


「確かに、明らかに、敵の動きがおかしいと思われます。

 したがって、今攻めるというのは、確かに好手であると思われます」

 バメグラッド伯は、自分の感じているままを答えた。


 だが、まだ、完全に賛成と言った訳ではなさそうだった。


 何やら気にしていることがあるようだった。


「援軍がやって来るのだから、抜け駆けに見られないかという事だな」

 エルドラン侯は、何故か満足そうな表情になっていた。


 父親として、息子の気遣いに満足したのだろう。


 エルドラン家の跡継ぎとしては、そう言ったことに気が付かないといけないのである。


「仰る通りでございます」

 バメグラッド伯は、父親の指摘に頷いた。


「その点は、大丈夫だ。

 現場指揮を全て託されているからな」

 エルドラン侯は、一応、事前に対応していたようだ。


 だが、実は、自身、現場に来るまでは、このような空気感になっているとは思っていなかった。


 とは言え、戦いには機というものがある。


 数々の経験から、今は攻撃するべきだという判断に至っていた。


「分かりました、父上。

 その点で問題がなければ、確かに今攻める時でしょう」

 バメグラッド伯は、父親の意見に賛同した。


 元々、攻めるべき時だと感じていたのだろう。


 諸条件から、それを躊躇っていたのだが、それがないとなると、賛成するのは当然だった。


「よし、それならば、グルフ、そなたに先陣を任せる。

 直ちに、準備せよ」

 エルドラン侯は、早速命令を下した。


「はっ」

 バメグラッド伯は敬礼すると、直ちに準備に取り掛かるべく、陣幕を飛び出ていった。


「フルイ、全軍に出陣の準備をさせよ」

 エルドラン侯は、次の命令を下した。


「畏まりました」

 副官フルイも、敬礼すると、各所への伝令の為に、飛び出ていった。


 援軍の到着前に、こうして、第2軍は、シーサクの拠点への攻撃を開始したのだった。


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