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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
42.ラロスゼンロ決着

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その6

(うーん、あれ?どうして?)

 バンデリックを尊敬したフィルタが、首を傾げていた。


 ああ、バンデリックに対しての疑念ではないです。


「フィルタ、何か、あるの?」

 サラサは、先程の失点(?)を取り返すように、寛容さを見せた。


「よく分からないのですが、戦力的には、我が国単独で、拠点の一つは落とせるのではないですか?」

 寛容さを見せ付けられたフィルタは、尋ねなくてはいけないと思ったのか、素直に尋ねた。


 その言葉を聞いたサラサとバンデリックは、直ぐに顔色が変わった。


 蒼くなった訳ではなく、感心したような表情になったのだった。


「よく気が付いたわね」

 サラサは、感心した表情のまま、そう答えた。


 バンデリックも横でうんうんと頷いていた。


「はぁ……」

 フィルタは、思わぬ2人の反応に戸惑っていた。


 いや、褒められたいのではなく、理由が知りたいのである。


 その辺のチグハグさは、2人に伝わっているのだろうか?


「まあ、ぶちゃけると、前回の様な作戦が出来なかったのは、兵站の問題が主な理由ね」

 サラサは、勿体ぶる事なく説明を始めた。


 これには、フィルタは安心した。


 そう理由が知りたいのである。


 とは言え、今度は、まだ説明が足りないという表情になっていた。


「軍を動かすには、兵士の他に何が必要?」

 サラサは、?顔しているフィルタに質問した。


 それは、教官目線であったのは言うまでもなかった。


「兵糧などの物資ですか?」

 フィルタは、疑問形に対して疑問形で答えてしまった。


 言っていることは間違っていないと思うが、相手はサラサなのである。


 フィルタは、未だにサラサを変な事を言う怪物だと思っているのかも知れない。


「その通りよ。

 前回の作戦で、備蓄は底を突き、備蓄中だったのよ。

 その為に、軍の展開が間に合わなかったのよ」

 サラサは、溜息交じりにそう言った。


 どちらかと言うと猪突猛進型であると思われているサラサである。


 こんな事を言うとは、夢にも思わなかったのだろう。


 まあ、兵站を担っているのは、バンデリックである事は明らかであるのだが……。


 とは言え、兵站の重要性が分かっていない程、サラサは間抜けではなかった。


「成る程……」

 フィルタは、ある意味感心していた。


「なので、帝国軍の来援をずっと待つ事になったのよ」

 サラサは、更に深い溜息を吐くのだった。


「……」

 フィルタは、何故か固唾を呑んで見守るのだった。


「だけどね、何で、こんなに遅いのよ!」

 サラサは、今度は怒りが込み上げてきていた。


(ああ、結局元に戻っちゃったね……)

 バンデリックは、呆れてしまった。


 サラサを迷将と称する典型的なやり取りが展開されていた。


 だが、そこはそれ、あれはあれ、これはそうなるのである。


「まあ、色々とありましたが、帝国軍の来援、時間が掛かりましたが、兵站の拡充ができました。

 それにより、より多くの兵力で、敵の拠点を攻撃出来るのですから、良しとするべきでは」

 バンデリックは、サラサを宥めに掛かった。


 戦場では何がどうなるかが分からないものである。


 ならば、前向きの条件が揃ったのなら、それを素直に喜ぶべきであろう。


「結果的にはそうなったけど、全てそれで上手く行ったとは言えないわよね」

 サラサは、尚も愚痴っていたが、バンデリックの意見を受け入れたようだった。


「!!!」

 フィルタは、益々バンデリックを尊敬するのであった。


 これは、副官として、完全なる正解の見方である。


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