その33
「よろしかったのですか?」
マイルスターは、和やかな表情でエリオに尋ねた。
いつもの和やかさに微笑ましさが加わってたことは言うまでもなかった。
「よろしいも何も、家族間のいざこざに巻き込まれたいか?」
エリオは、溜息交じりにそう言った。
「ははは……」
マイルスターは、失笑するのみであった。
まあ、そうですよねという同意なのだろう。
「それより、マイルスター、訓練兵の空きがあるか、確かめてくれ」
エリオは、マイルスターを恨みがましく思っていたが、いつもの事として、仕事を進めた。
「いえ、調べるまでもなく、問題ないと思います」
マイルスターは、即答した。
この辺は流石である。
そして、この答えに、ライヒ子爵は再び安堵するのであった。
「ただ、一般の訓練でよろしいのですか?」
マイルスターは、確認してきた。
「相手は12歳の少女だぞ。
父親と同じ訓練とは行かないだろう」
エリオは、呆れたようにそう言った。
「ああ、そうでしたね」
マイルスターは、今度は苦笑いしたのだった。
それ程、リオナの体格は大人として通用出来そうだったのであった。
「この件は、これにて終了だな」
エリオは、マイルスターの勘違いを他所に置いて、終了を宣言した。
「殿下、仕事したくないのは分かりますが、そうは行かないでしょう」
マイルスターの方が、今度は呆れた。
「ん?」
エリオが固まったのは言うまでもなかった。
これだけフランデブルグ一家に引っかき回されたのだ。
もう終わりでいいよねと言う気持ちがあったのであった。
「シーサク王国側の対応がまだですよ」
マイルスターは、更に呆れた。
「うっ、そうだった……」
エリオは、世の中の不幸を一身に背負った気分になっていた。
仕事がまだ残っている時に示すエリオの反応だった。
それを見て、他の3人はいつも通り、やれやれと思うのだった。
「いや、しっかし、何でこんなに反応がないのだ?」
エリオは、自分が忘れていたのはシーサクのせいにしていた。
……。
とは言え、この質問には他の3人が誰も答えられなかった。
なので、沈黙してしまった。
仕方がないので、エリオは、シャルスの方を見た。
シャルスは、俺?と言う反応だった。
まあ、指名されてもどうしようもないからだ。
「殿下、報告が上がってきていないので、何とも言えませんよ」
シャルスは、無理矢理指名されたので、現状をそう告げた。
「シーサク王国の能力って、その程度なのか?」
エリオは、愕然としていた。
ヤンヤヤンヤ言われるのは、慣れているエリオである。
ただ、こう言う時に反応がないのは、滅多にない事である。
なので、対応に苦慮してしまっていた。
「現状を分析しますと、そうなりますね」
シャルスは、仕方がないので、再び現状を告げた。
「となると、誰かが知らせないと分からないという事か?」
これは、エリオの質問ではなく、結論だった。
……。
他の3人は、同意する訳でもなく、否定する訳でもなく、ただ沈黙する他なかった。
こっちもどうしようもないからだ。
「とは言え、我々でなくとも、誰かが知らせる事となるか……」
エリオは、かっこ良く意味深の発言をしたのだった。




