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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
41.亡命騒ぎ

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その32

「ええっと……」

 予想に反して、リオナは先程までのハキハキした感じはなかった。


 そして、困ったように母親の方を振り返った。


(うーん、嘘はつけないのは良い事なのだが……)

 エリオは、呆れていた。


 見た目はともかく、まだ12歳の少女である。


 なので、とりあえずは見守る事にした。


「よろしいでしょうか?殿下」

 頼られた母親リオラが、部屋に入って初めて口を開いた。


 表情は、ずうっとニコニコしており、言い方もおっとりした感じだった。


「どうぞ」

 エリオは、妨害して話が進まなくなるのも何々で、許可した。


 まあ、不穏な空気を感じない訳ではないのである。


「私共の許可は大丈夫です。

 主人とも先程会いましたし」

 リオラは、相変わらずニコニコしながらそう言ってのけた。


 ……。


 男性4人は、絶句してしまった。


 全員が、見ていないはずの光景が、脳裏に浮かんできてからだ。


 尻に敷かれている……。


 中心にいるはずのリオナが、両親から許可を貰った、特に父親から許可を貰ったという認識がないことは明らかだった。


 なので、そういった結論に達するのは、4人にとってかなり容易であった。


 と言うより、考える前にそういった結論に至っていた。


(クラセックがこの場にいないのは、そう言うことか!)

 エリオは、その理由に得心した。


 とは言え、そんな事もこんな事も今はどうでもいい。


 当主として、威厳のある決断が必要なのである。


「状況は理解した。

 正式な書類を揃えて、海軍府の事務方に提出するように」

 エリオは、そう言った。


 そして、早くこの件は終わりにしたいという事である。


「では、許可してくださるのですか?」

 リオナは、キラキラとした瞳に戻っていた。


「正規ルートで、書類が受理されたのなら、私としては特に言うことはない」

 エリオは、遠回しに特別扱いはしないと宣言した。


「ありがとうございます」

 リオナは、そう言うと深々とお辞儀をした。


 リオラの方も、同時にお辞儀をしていた。


 この母子は、礼儀作法はきちんとしているようだった。


「では、そのようにしてくれ」

 エリオは、この件の終了を告げた。


「ありがとうございます」

 リオナは、再び礼を言うと、母親共々部屋から出ていった。


 そして、扉が閉まると、歓声がこちらまで届いていたのだった。


(リーメイが、この案件をこちらに回してきたのはそういう事か……)

 エリオは、何だか急に疲れてしまった。


 いくらボスでも、人事面での裁決が出来ないので、当然といえば、当然である。


 エリオにして見れば、変な勘ぐりをしていたのは言うまでもなかったのだった。


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