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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
41.亡命騒ぎ

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その28

「いやぁ、皆さん、お疲れ様」

 イーグが出て行くと、エリオが労いの言葉を発した。


 まあ、自分に対して一番労っていたのは言うまでもなかった。


 とは言え、エリオの一言で、場の空気が緩んだ。


 今回は結構な事案である。


 それをとりあえずは、上手くまとめた感があった。


 でも、まあ、大変なのはこれからである。


 それが分からない4人ではなかった。


「ライヒ子爵、ご足労をお掛けしました」

 エリオは、珍しく気が利いていた。


 事が上手く運び、まとめられたのに安心していたのだろう。


「いえ、副司令官代理としては、当然の事です」

 ライヒ子爵は、儀式張っていた。


 子爵としては、子爵の思惑があった。


 どうせ、訓練を任されるのは自分である。


 ならばと、早めに人物像を把握したかったのであった。


「殿下、それにしても、彼らの階級はあれで良かったのですか?」

 マイルスターは、和やかな表情で、真面目に尋ねてきた。


「うーん、訓練が無事に終われるか分からないからな……。

 そう考えたので、そうする事にした」

 エリオは、思い付きのままに行動した事を白状した。


「まあ、分からない訳ではないですが……」

 マイルスターは、反対はしなかったが、苦笑いしていた。


 ライヒ子爵とシャルスも同様な反応をしていた。


「では、イーグに対しては、何故打ち合わせ通りの階級に?」

 マイルスターは、尚も突っ込んできた。


 まあ、これが、彼の職責なのでそうなりますよね。


「流石に、少尉はないかな……と」

 エリオは、またもや思い付きを白状した。


「となると、訓練修了後は、フランデブルグは大佐、サズーは中佐、イーグは大尉となりますが?」

 マイルスターは、確認した。


「そうなるが、何か、不味かったか?」

 エリオは、逆に質問した。


「いえ、問題ないと思います」

 マイルスターは、一応安心した。


 思い付きでやってはいても、きちんと最後の着地地点は考えていた事にである。


 流石に、その辺はエリオであると感じていた。


 ライヒ子爵とシャルスも、同じく安心していた。


「あと、問題となるのは、シーサク王国がどう出てくるかだな……」

 エリオは、やれやれ顔で残された問題点を口にした。


 階級の話は、決着が付いたので、次の懸念点を直ぐに上げる所が、エリオらしい。


「現状、シーサク側からは、何の反応もありません」

 シャルスが、現状報告した。


「情報が全く漏れていないという事か?」

 エリオは、驚いていた。


「現時点では、そのように解釈出来ます」

 シャルスが、尽かさずそう応えた。


「うーん、でも、これは、こちらから発表するものではないよな……」

 エリオは、驚きから困った表情になった。


 ……。


 3人は、それに対して苦笑いで対応した。


 エリオ同様に、こちらから発表する義務がないと考えていたからだ。


 そもそも発表するメリットがあまり感じられない。


「と言う事は、まあ、発表はともかく、当分、放って置いて問題がないな……」

 エリオは、3人の沈黙が同意だと受け取って、そう結論を出した。


 サボりたいエリオにとっては、願ってもない事なのかも知れない。


「だが、今、シーサクの方はどうなっているんだい?」

 エリオは、そう結論を出しても、やはり、そう質問せざるを得なかった。


「フランデブルグが出奔したのは、把握しているようです。

 ただ、それ以上は、把握していないようです」

 シャルスは、エリオの問いにそう報告した。


「うーん……」

 エリオは、他国の事ながら心配になっていた。


 とは言え、それは、自分の仕事ではないので、直ぐに気持ちが切り替わった。


「と言う事で、シャルス、3人の訓練は任せたよ」

 エリオはそう言って、この件を締めくくる事とした。


「了解しました」

 シャルスは、敬礼をして拝命した。


 その隣にいたライヒ子爵が、肩透かしを食らった表情をしていたのは言うまでもなかった。


 でも、まあ、それ以上に安心していたのだった。


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