その27
そして、最後の犠牲者である。
それは、イーグである。
イーグも部屋に通され、一連の儀式が終わると、エリオの前のソファに着席した。
「さて、貴官の処遇だが、中尉待遇で受け入れる事とする」
エリオは、またしても結論から入った。
このイーグや先のサズーに対して、舐めている訳ではないが、駆け引きをする人物ではないと思っていた。
まあ、面倒な事が嫌いなエリオである。
出来れば、そう言う掛け引き的なものは使わないのが本筋なのである。
(あれ?)
だが、傍らにいる3人は、何か違うぞといった表情になっていた。
ただ、今回の場合は、決定事項と同じだったからだ。
なら、何故?
まあ、考えても仕方がない事なので、3人は即座に思考を停止した。
後で聞けば、済む話だからである。
この辺が、エリオの下で上手く立ち回る、いや、ストレスなく働く為の必須条件なのやも知れない。
「謹んで拝命致します」
イーグは、サッと立ち上がると、直立不動で敬礼した。
対応としては、上々である。
ま、エリオは、少々驚いていたが……。
「ただし、我が海軍の訓練を修了して貰わなくてはならない」
勝手が違うなと思いながらも、エリオは、今回も後出しジャンケンをしていた。
「畏まりました」
イーグは、直立不動のまま、即答した。
エリオを含めた4人が、唖然としたのは言うまでもなかった。
どう見ても酷い目に遭わされるシチュエーションである。
それを迷いなく即答したからである。
「訓練に対する不安とかはないのか?」
エリオは、心配になって聞いてみた。
この辺が、エリオの考えが浅はかな所だろう。
周りの3人は、それをやれやれ顔で見ていた。
完全に自分のペースで話が進んでいるのに、相手に合わせる必要がないからだ。
「大丈夫です。
上官、いえ、元上官に鍛えられましたから」
イーグは、ハキハキとそう答えた。
(逸材だ!)
周りの3人は、同時にそう確信した。
「そうか……」
エリオは、どう答えていいか分からずに、そう言っただけだった。
(フランデブルグは、酷い上官だったのかな?)
エリオは、自分の事を完全に棚に上げでそう思っていた。
「はい。
ですから、訓練を通じて一日でも早くクライセン艦隊の一員になれるように努力致します」
イーグの方は、エリオの反応を他所に、ハキハキとそう続けた。
「ああ、頼むよ」
エリオは、イーグに対して何事もなかったようにそう言った。
万事エリオペースで進んでいた。
だが、イーグは、しなやかに、完全に合わせてきたのである。
中々のものである。
そして、折角やる気になってくれているのだ。
このままやって貰おうというエリオが気遣う発言でもあった。
(それにしても、士官学校出はよく訓練されているのだな。
共通の認識があるようだ)
エリオは、面接を通じてそう感じていた。
サズーとイーグの面接からこんな感想を持つとは、やはり、変なヤツである。
「お任せ下さい」
イーグは、エリオの反応など気にせずに、力強く言うのだった。
こちらの面接も100点満点であった。
そして、2人目のゲットという事になったのだった。
(2勝1敗と言ったところか……)
エリオは、ほくそ笑むのだった。




