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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
41.亡命騒ぎ

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その24

 月が改まった太陽暦538年7月、5人の亡命者達が王都に送られてきた。


 これまでの調査で、5人の安全性は確認済みであり、今後の処遇をどうするかに焦点は移っていた。


 そこで、個人面談となった。


 まずは、フランデブルグ元伯である。


 元伯は、エリオの執務室へと通された。


 執務室には、エリオの他に、副司令官であるライヒ子爵、海軍総参謀長マイルスター、副官のシャルスの4人がいた。


 元伯は、勧められるがままに、ソファに腰掛けた。


(知っている人間が3人、と言う事は、この人がライヒ子爵か……)

 元伯は4人を見ながらそう思った。


 事前に、参加者する人間は知らされていた。


 なので、そういった結論に達した。


(それにしても、戦場と印象が大分違うな……)

 元伯は、勿論、言うまでもなく、間違いなく、エリオを見てそう思った。


 エリオは平時なので、いつもの表情だった。


 あっ、まあ、戦時でも同じかもね……。


「ええっと、フランデブルグ元伯爵……」

 エリオは、書類から目を離し、元伯にそう呼び掛けた。


「はい、殿下……」

 元伯は、ちょっと嫌そうな表情をした。


 だが、直ぐに真面目な表情に戻った。


 機嫌を損ねたら、不味いと感じたのだろう。


 その辺の所は、流石である。


 ただ、エリオの方は、その表情が気になった。


 ……。


 エリオの余計な気になり≪・・・・≫のせいで、沈黙が流れてしまった。


(何か、不味い事をしたか?)

 元伯は、パニックになり掛けていた。


 何かした覚えはないが、元伯の性格からすると、危機に敏感なのである。


 そして、その分、危機回避能力が抜群に優れている。


 だが、しかし、今回の場合は、どうにもこうにもだった。


「元伯……」

 そこに、エリオが追い打ちを掛けるように、再び呼び掛けた。


 この辺は、煽り迷人のエリオの方が一枚上だったようだ。


「はい、殿下……」

 元伯は、再びちょっと嫌そうな表情をした。


 そして、直ぐに真面目な表情に戻った。


「!!!」

 エリオは、それを見て、得心したようだった。


「???」

 当然、元伯の方は、戸惑いと緊張感が広がるのだった。


「さて、伯、貴官を中佐待遇で、招こうと思う。

 如何か?」

 エリオは、ある部分を強調しながらそう言った。


 他の3人が、何故か「えっ?」という表情をしていた。


(大佐じゃなかったけ?)


「はい……」

 元伯はそう答えたが、それは承諾とはとても見えなかった。


「貴官は、先の戦いの責任を問われて、爵位だけではなく、軍籍まで剥奪されている。

 それを勘案すると、かなり、厚遇していると思うのだが」

 エリオは、何時になく高圧的に話した。


(これは試されている!)

 危機回避センサーが思いっ切り反応している元伯だった。


 ただ、エリオの取り巻きの3人は、かなり困惑していた。


 どう考えても、エリオが碌でもない事を考えていると感じていたからだ。


 そして、元伯に同情したのだった。


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