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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
41.亡命騒ぎ

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その22

 御前会議である。


 議題の1つは、例の亡命問題である。


 関わった人物の引退など多少なりとドラマが生まれた事案である。


 勿論、御前会議の面々はそんな事は露とも知らない。


 しかしながら、社会的に影響を及ぼすのはこれからである事は間違いがない。


 情報収集に意外と難儀したが、何とか背後関係が分かる程度までは収集出来た。


 また、元伯の連れてきた妻と娘は本人に間違いな事が確認された。


 エリオは、その情報を女王、王嗣、海軍府、陸軍府、中務府と事前に説明に回っていた。


 その為、会議では、5人の処遇が話し合われる事になった。


 伯爵位を得ていた要人の亡命である。


 政府としてのコンセンサスを取っておく必要がある。


 まずは、会議の冒頭、エリオが一応概略の再説明を行った。


 事前に回ってはいたが、説明不足だと問題だからである。


「殿下は、どうなさるおつもりですか?」

 説明が終わった直後に、間髪入れずに、ロジオール公が尋ねてきた。


「特に、問題がないようですし、受け入れる方向で調整したいと思います」

 エリオは、いつもの調子でそう言った。


 当然、他のメンバー全員が、このお気楽め!と思ったのは言うまでもない。


 そう、問題がない訳がないのである。


 こういう問題は、必ずメリットとデメリットがあるのである。


 それを両天秤に載せてから、結論を出すものである。


 その点が抜けているのではないかと、他のメンバーは思っていた。


 だが、同時に、エリオの事だから、その事はもう織り込み済みで、すっ飛ばしているとも取れるのだった。


 ……。


 なので、呆れたような、どうにもリアクションに困った沈黙が流れてしまった。


 まあ、いつもの事か!


「ええっと、それじゃあ、どこか、欲しい所はありますか?」

 エリオは、妙な空気の中、遠慮勝ちに聞いた。


 流石のエリオでも、この後の事は予想が出来ていた。


 聞かれた事に対して、ロジオール公はエリオとは絶対に目を合わせようとしなかった。


 仕方がないので、ヤルスの方を見たが、言うまでもなく、ロジオール公と同じ行動を取った。


(まっ、結局、こうなるのか……)

 エリオは、諦める事にした。


 とは言え、言い出しっぺはエリオである。


 なので、エリオが全ての責任を取るのが定石となる。


「受け入れるのはいいとして、その後、どうするつもりなの?」

 リ・リラが、女王らしく審問してきた。


「手順としては、まずは、王都に召喚し、再度尋問する事となります」

 エリオは、リ・リラの審問にそう耐えた。


「その後は?」

 リ・リラは、勿体ぶらずに急かすのだった。


 当然、聞きたいのはその先なんだよって感じですな。


「我が国と我が海軍に忠誠を植え付ける訓練を行います」

 エリオは、サラッと言った。


 それを聞いて、クルスは吹き出してしまった。


 ロジオール公とヤルスは、失笑するに留まった。


 リ・リラとラ・ミミは、互いに顔を見合わせて呆れていた。


 そして、エリオ側である筈のライヒ子爵は、暗く沈むのであった。


 どう見ても、自分が貧乏くじを引かされたと感じたのだろう。


 そう、その訓練を任されるのは自分だと確信したからだった。


「その訓練が修了出来なかったら?」

 リ・リラは、ドヤ顔をしているエリオに慌てて聞いた。


 このまま、ドヤ顔で終わらせてはいけないからだ。


「そうはさせませんと言いたい所ですが、本人の意思が大事ですからね。

 そうなった場合、他所へ行って貰います。

 流石に、シーサクには戻しませんが……」

 エリオは、そう答えた。


 だが、これは事前に考えていた事ではなかった。


 よく気付いてくれたと、リ・リラに感謝した。


 でもね、エリオさんが言っている他所で、あっちこっちも含まれているのが恐い所だった。


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