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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
41.亡命騒ぎ

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その6

(次期当主は、嵐でも引き寄せる素質でも持っているのかな?)

 エリオは、文を見ながらそう思っていた。


 当然ながら、その事を後に聞いた次期当主は、エリオの業のせいだと言い返したのは言うまでもなかった。


 ま、大分後の話にはなるが、それは事実なので仕方がないだろう。


「ええっと、つまりどういう事です?」

 クルスは、遠慮勝ちに尋ねてきた。


 状況が飲み込めていない人間がいて良かった。


 じゃないと、このまま物語が進む所でした。


「橙色の国、つまり、シーサク王国からフランデブルグ伯を含めて5名が亡命してきたと言う事です。

 そして、それを手引きしたのは連合です」

 シャルスは、そう説明した。


 ま、暗号を変換したのはシャルスなので、説明するのはまあ妥当かも知れない。


 とは言え、クルスは一応エリオに尋ねていた。


 そして、その本人は既に『漆黒の闇』の中で、考えを巡らせているので、答える筈がなかった。


 なので、シャルスが、出張ってきたのであった。


 そんな説明はいらないかな?


「一大事ではないですか!」

 クルスの反応は、かなり遅かった。


 何せ、エリオが碌でもない事を考え始めてしまったのだから、説明が遅れたせいであった。


「……」

 エリオの方は、思案中なのか、何の反応も示さなかった。


「とは言え、敵対国の伯爵の亡命。

 こちらにもかなりのメリットがある事は確か」

 クルスは、エリオが反応を示さないので、勝手に話を進めた。


 とは言え、只の妄想ではなく、歴とした事実である。


「フランデブルグ伯は、確か……」

 エリオは、それとは違う話をした。


 全く協調性というものがないのである。


「はい、フランデブルグ伯は、伯爵位を取り上げられており、現在は、爵位を持っておりません。

 幽閉生活を送っていた筈です」

 シャルスは、エリオが皆まで言う前に、確認したい事を述べた。


「???」

 クルスは、自分の話の腰を折られたので、複雑な表情になった。


 とは言え、性格的に、僻んだりする事はない。


 寧ろ、エリオが話をし始めたので、全力で耳を傾けようとしていた。


「成る程、自決を強要されていたと見るべきだな」

 エリオは、シーサク王国の事情からそう結論を出した。


「成る程、亡命理由としては、納得出来ますな」

 クルスは、エリオの結論に納得した。


 が、直ぐに、

「でも、何で、我が国なんでしょうか?」

と疑問が湧いてきたようだ。


「ああ、それは、連合が裏で手筈を整えたからでしょう」

 エリオは、クルスの疑問にあっさりと答えた。


 あっ、いや、答えになっていないよね、これ……。


「どういう意味?」

 あっさり答えられたので、クルスはエリオ自身には聞きにくかったのだろう。


 隣のシャルスに小声で、聞いた。


「ああ、この前、連合に喧嘩を売られたんですよ。

 その一環として、嫌がらせに、フランデブルグ伯の亡命の仲介をしたのでしょうね」

 シャルスは、特に気にする事もなく、普通の音量でクルスに答えた。


「???」

 クルスは、益々分からんと言った表情になった。


「つまり、伯爵の亡命を我が国に持ちかける事で、我が国とシーサク王国との対立を煽りたいのでしょうね。

 それと、我が国内部の分裂も」

 マイルスターは、補足説明をした。


「いや、それは、想像が出来るのだが、何でそこまで?」

 クルスは、まだ納得出来ないでいた。


「ああ、それは、我が国が、連合の商売敵として急浮上しているからでしょうね」

 マイルスターは、いつもの和やかな表情でそう説明を加えた。


「う~ん、そういうものなのか……」

 クルスは、完全に納得した訳ではなかった。


 とは言え、そういう考え方もあるんだなと感心したようでもあった。


 クルスとしてみれば、商人の欲深さは分かっているが、そこまでするものかなと言う事なのだろう。


 だが、その欲深さをエリオ以下2名はよく分かっていた。


 何せ、その欲深さをエリオが追求しているからだ。


 何故そうするかというと、国の発展に直結するからであった。


 そして、今後、こういった騒動を度々呼び寄せることになるだろう。


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