その5
そんなほのぼの物語がこのままずっと続いていくのであった……。
コンコン!
「殿下、急報です」
門番の1人がノックと同時に、扉の向こうから畏まった口調でそう言った。
「入ってくれ」
エリオは事を進める為に、事務的にそう声を掛けた。
ガッチャ。
門番の1人が、部屋の中に入ると、敬礼した。
「殿下、第1種秘匿情報です」
門番の1人が、やけに畏まった口調だったのはそう言う訳だった。
つまり、最高級の国家機密に関する情報が飛び込んできたという事になる。
なので、当然、その場が一気に緊張感が増した。
シャルスは、それを聞くと直ぐに門番に駆け寄り、通信書を受け取った。
それは、封がされていたものだった。
「確かに受け取った」
シャルスは、門番にそう言った。
「はっ」
門番は再び畏まると、一礼して、部屋を出て、扉を閉めた。
それを見送ったシャルスは、封書をエリオに渡しに行った。
その行き先の途中にいるクリスは、気を利かせたのか、立ち上がった。
「私は、いない方がいいでしょう」
クルスは、そう言うと、シャルスと入れ替わろうとした。
「いえ、内容がまだ分かりませんので……」
エリオは、クルスの行動を止めた。
第1種秘匿情報を取り合える人物としては、御前会議メンバーである。
そして、その補佐役はメンバーが許可した場合に、取り扱える。
つまり、クルス自身は、ここにいてもいい事になる。
シャルスは、クルスの横を通り過ぎると、エリオに封書を渡した。
渡されたエリオは、封書を直ぐに開けた。
そして、一瞥すると、いつものやれやれ顔になった。
「うん、ルオーラ子爵からの暗号だ。
読んでも分からん!」
エリオは、真面目にそう言った。
当然、周りの人間達はずっこけた。
とは言え、このまま放置しておくエリオではない。
封書をシャルスに再び戻した。
シャルスは、やれやれと思いながら、封書の中身を確認した。
極短い文章だった。
ま、暗号なのでその文字列自体は、意味をなしてなかった。
「少しお待ちください。
変換しますので」
シャルスは、そう言うと、自分の席に戻っていった。
その際、再び横を通り過ぎられたクルスは、所在なさげだった。
そして、エリオは、こういう間に慣れっこなので、いつも通りの表情だった。
マイルスターは、事の重要性を鑑みて、エリオの傍らに移動した。
シャルスは、机に座ると、紙に封書の内容を書き始めた。
そして、直ぐに立ち上がった。
意外な程、短い時間だった。
そして、その紙と封書を、エリオに渡した。
「橙 海 伯 5 亡 連」
エリオは、シャルスの解読した文を読み上げた。
と同時に、戸惑いの表情に変わった。
文章の意味が分からなかった訳ではない。
またとんでもない事に巻き込まれたと思ったからである。




