その2
サラサ艦隊は、エリオ艦隊の数日後に、ワタトラに帰還した。
サラサも事後処理をバンデリックとフィルタに任せると、自室へと早々と向かった。
サラサは、自室へは向かわず、その隣の部屋の扉をバンと思い切り開けた。
そして、
「ただいま!」
と帰宅の挨拶をした。
その部屋には、びっくりして飛び起きたアンナがいた。
アンナとは、イーマの乳母である。
アンナは、サラサを確認すると、文句を言いたげだが、口の前にそっと人差し指を立てた。
「今、寝た所なんです」
アンナは、小声でサラサにそう言った。
「!!!」
サラサは、直ぐに状況を察し、口を噤んだ。
奥にあるベットで、2人の赤ん坊がスヤスヤと寝ていた。
サラサは、後ろ手でそっと扉を閉めると、音を立てないようにベットへと歩み寄った。
「折角お戻りになったのに、申し訳ございません」
アンナは、相変わらず小声だが、丁寧に頭を下げた。
「いえ、いいのよ……」
サラサは、小声でそう応じた。
そして、視線は自然と我が子へと引き寄せられていた。
手前にイーマが寝かされており、その奥に、アンナの子が寝かされていた。
(やっぱ、うちの子が一番かわいいな!)
サラサは、ニコニコ顔でそう思っていた。
うん、親バカである。
ただ、母親らしかった。
サラサの性格だと、ガバッと行って、寝ている我が子を抱き上げて、無理矢理にでも挨拶しかねない。
でも、やっぱり、母親なのだ。
我が子を第一に思っている。
え?それは酷い評しようだって?
でも、まあ、これまでの行動を見ているとな……。
ま、それだけ、サラサも大人になったと言う事だろう。
「アンナ、あなたも休んだら?
2人共、寝ちゃった訳だし……」
サラサは、今度はアンナを気遣った。
うん、うん、大人になったねぇ……。
「いいえ、私は……」
アンナの立場からすると、そう易々とサラサの提案を受け入れる訳にはいかなかった。
でも、よく考えてみよう!
恐らく、アンナはサラサがいなかったら、休む事にしていただろう。
だが、目の前にサラサがいる。
なので、休めないのであった。
まあ、その辺が分かっていない所は、サラサもまだまだだなといった感じですな。
とは言え、久しぶりの我が子との対面なのだ。
サラサがイーマから離れようとしないのは無理のない事である。
その辺も分かっているアンナは、特に文句を言わずに傍らで付き添っていた。
サラサの方もまた、幸せな時間を過ごすのだった。




