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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
41.亡命騒ぎ

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その1

 第4次アラリオン海戦後、エリオは王都カイエスに帰還した。


 エリオは、港に着くと、事後処理をマイルスターとシャルスに任せると、そのまま王宮へと向かった。


 海戦の速報は、既に女王リ・リラに届いているはずであり、詳細な報告が後日にする。


 なので、挨拶に出向くと言う事である。


 夫婦なので、その辺はという訳には行かず、女王と海軍総司令官としての仕事を有耶無耶に出来ない2人であった。


 エリオは、襟首を正し、なるべくしゃんとした格好で、女王の執務室の前に立った。


 すると、親衛隊の門番の2人が敬礼し、1人が、扉をノックした。


 厳かな空間に、幼い笑い声が部屋の外まで漏れていた。


(あれ??)

 エリオが、拍子抜けしたのは言うまでもなかった。


「王配殿下が、いらっしゃいました」

 親衛隊隊員は、それでも厳かな雰囲気を守ろうとしていた。


 中からは、リ・リラのあやしている声も聞こえてきていた。


 なので、一瞬、間が空いてしまった。


「あっ、ああ、通して」

 リ・リラの方は、別に取り繕う様子もなく、そのままの口調で応じた。


 一応、許しが出たので、親衛隊隊員の2人は、ゆっくりと扉を開けた。


 エリオは、開けられた扉を通り、中に入った。


 そこには、リ・リエをあやしているリ・リラがいた。


 その傍らには、乳母であるホヅミが困り顔でいた。


(やれやれ……)

 幸せ空間に入ったエリオは、呆れていた。


 とは言え、悪い気はしなかった。


 でも、ここは敢えて、しゃんとした。


「クライセン公エリオ、ただ今帰還いたしました」

 エリオは、そう言うと敬礼した。


「ご苦労様」

 リ・リラは、リ・リエをあやしながらそう言った。


 エリオは、当然更に呆れていた。


 そんな中、先程まで笑っていたリ・リエが笑わなくなっていた。


 じっと、エリオの方を見ていた。


 それを見たエリオは当然困惑していた。


 元々コミュ力が乏しいエリオである。


 赤ん坊に対して、どう接していいか、未だに分からないでいた。


「そうそう、パパが帰ってきましたね」

 リ・リラはそう言うと、リ・リエを抱き上げると、エリオの前に立った。


 そして、リ・リエをエリオの方に差し出した。


「!!!」

 エリオは、びっくりしながらもリ・リエを受け取った。


 当然更に困惑していたが、拒絶する訳でもなく、自然な動きだった。


 リ・リエの方は、嫌がるどころか、無表情のまま進んでエリオの方に行った。


 赤ん坊の無表情も不思議ではあるが、その行動も不思議である。


(困ったな、笑うでもなく、泣く訳でもない……)

 エリオは、いつも通りのリ・リエの反応に困っていた。


 リ・リエの方は、そんな事お構いなしだった。


 無言で、両手を伸ばすと、エリオの顔をいじりだした。


「いででで……」

 エリオは、鼻や耳を引っ張られた挙げ句、口の中に手を突っ込まれて、唇を引っ張られた。


 どうやら、リ・リエはエリオの顔で遊んでいるようだった。


 無表情なので、多分、一生懸命、遊んでいるのだろう。


 その光景を、リ・リラはほのぼのとした感情で見ていた。


 つまり、止める気はないのであった。


 エリオが涙目になった時、リ・リエは電池が切れたように動かなくなった。


 そして、スヤスヤと寝息を立てていた。


「その子、あなたがいないと寝付きが悪くてね。

 戻ってきてくれて、良かったわ」

 リ・リラは、無邪気にそう言った。


「はぁ……」

 エリオは、当然、納得は出来ないでいた。


 とは言え、娘とのコミュニケーションが上手く取れていない自覚があったので、これはこれでいいのかも知れない。


 スヤスヤと寝ている娘を見ながら、その幸せを噛み締めるのであった。


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