その35
あっちで、ドッカーン!
こっちで、ドッカーン!
向こうで、ドッカーン!
ここでも、ドッカーン!
エリオ艦隊とサラサ艦隊は既に、本気の殴り合いをしていた。
(う~ん、大丈夫なのでしょうか?)
マイルスターは、他人事のように戦況を見詰めていた。
まあ、最早彼の癖みないなもんで、これは直しようがないだろう。
とは言え、マイルスターの名誉のために言っておくが、この癖は、後天的なものである。
その原因は、まあ、置いといて、話を戻そう。
現在のマイルスターの懸念は、強ち間違いではなかった。
エリオ艦隊とサラサ艦隊は、接近している。
正面衝突はしないが、すれ違う。
物語的には、完璧な戦い方である。
そして、距離が近付いてきている分、着弾地点が艦の間近や、船体そのものになってきていた。
あっちで、バチャバチャ!
こっちで、バキバキバキ!
つまり、被弾している艦も出てきていた。
ただ、やはり、そこは両艦隊。
被弾した艦からの反撃は、容易べからずといった感じで、凄まじかった。
なので、被弾したからと言って止めを刺せる状況にはなかった。
バキバキ、グラグラ!
サラサの旗艦も被弾していたが、エリオの総旗艦も同じく被弾し、船体が大きく揺さぶられていた。
ただ、エリオは、そんな事お構いなしである。
驚きも焦りもせず、只々ジッとしていた。
総司令官らしく、剛毅な姿である。
訳がなかった。
いつも通り何も考えていない表情だったのだ。
なので、水兵達は、対抗心から燃えに燃えたのは言うまでもなかった。
そんなこんなで、砲撃戦は益々苛烈になっていくのであった。
エリオ艦隊とサラサ艦隊の苛烈な砲撃戦は、両艦隊の陣形を乱れに乱した。
ただ、両艦隊とも、自分達の陣地というか、海域を守るというか、迂闊に敵の中に飛び込む艦は、だたの1艦もなかった。
その為、綺麗に陣形同士が分かれていた。
「全艦、砲撃中止!」
サラサがそう命令を下したのは、両艦隊がすれ違った後だった。
「さて、何とか第1ラウンド終了って所ですかね……」
バンデリックが、苦笑いした。
「双方、被弾艦多数、なれど、撃沈した艦はゼロです」
フィルタが、第1ラウンドの結果報告をした。
「……」
サラサは、その結果に歯軋りしていた。
無論、不満だからだ。
だからと言って、それ以上の事が出来たかと言われると、そうではない。
それも分かって上での悔しさを押し殺していた。
それを呆れ顔で見ながら、バンデリックは次の報告に移るようにフィルタに促した。
「敵西方艦隊を前方に視認。
敵総旗艦艦隊の方は、我が艦隊の背後に回り込むようです」
フィルタは、次の報告をした。
- 艦隊配置 -
EC WC
SR H
EC:エリオ艦隊、W:西方艦隊、C:中央艦隊
SR:サラサ艦隊、H:ハイネル艦隊




