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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
40.第4次アラリオン海海戦

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24/48

その24

「敵艦隊、第2射」

 シャルスが、そう報告した。


 バッシャン……。


 すると、すぐに砲弾が海面に降り注いだ。


「そして、右舷に回頭。東側に進路をとるようです」

 シャルスが、更に報告した。


 とは言え、これは含みを持たせたものであったのは言うまでもなかった。


「……」

 エリオは、無言であった。


 シャルスの報告に対してもそうだが、ハイネル艦隊の行動に対してでもある。


(やれやれ……)

 マイルスターは、和やかな表情で呆れていた。


 要するに、自分だけ分かった気になっているんじゃないよと言う事だ。


「殿下、どう対応なさいますか?」

 マイルスターは、仕方がないので尋ねた。


 参謀とは、指揮官の意向に対して意見するものである。


 その意向が、表明されない以上、こうなる。


 と言うか、毎回、こうなっている。


「いや、全てこのままでいい」

 エリオは、そう言った。


 特に、変更する事がなかったので、命令を下さなかっただけだった。


 マイルスターは、予想していたとおだった。


 だが、やはり、敵が動いたのだ。


 こちらも合わせるのか、そのままかの命令は出すべきだろう。


「ハイネル艦隊は、一旦距離を取ると思われますが……」

 マイルスターは、それでもいつも通り和やかに言葉を続けた。


 シャルスの含みある報告はここに繋がっていた。


「まあ、向こうはもう戦略目標を達成したということだろう」

 エリオは、不機嫌そうにそう言った。


(やれやれ、また、言葉足らずだ……)

 マイルスターは、ムカッとしながらも和やかな表情のままだった。


「殿下、それはどういう事でしょうか?」

 マイルスターは、再び尋ねた。


 はっきり言うと、エリオが見ている風景と、自分達が見ている風景が大きく異なるのである。


 なので、それを整合させる必要があった。


「向こうは1個艦隊なのに、こちらは3個艦隊を出撃させられた。

 もう、これで、明らかにダメだろう……」

 エリオは、更に不機嫌になっていた。


 戦いが拡大しそうにない状況、喜ぶ筈なのだが、どういう事だろうか?


「……?、敵はハイネル艦隊とワタトラ艦隊の2個艦隊ですが?」

 マイルスターは、首を傾げながらそう訂正した。


 エリオが何を言っているか、よく分からなかった。


 でも、言っていることはおかしいことに気が付いたので、こう言った反応になった。


「ワタトラ艦隊は、バルディオン王国の負担だろうが!」

 エリオは、何を言っているんだという表情になった。


「あっ!」

 マイルスターは、今の言葉で全てを察した。


(この御方は、戦況の話をしているのではない。

 いや、戦場にあっても、常に、お金の話をしているんだ……)

 マイルスターは、呆れると共に、ここだけは首尾一貫していることに感心していた。


「大公は、フレックスシス大公は、こういう嫌がらせが好きみたいだな、全く……」

 エリオは、吐き捨てるようにそう言った。


「となると、その戦略目標を守るハイネル伯も、只者ではないですね」

 マイルスターは、和やかにそう言った。


 手強い敵が現れたのだ。


 総参謀長としては、少なくとも嫌な顔をする場面である。


 だが、明らかに楽しみが増えたといった感じである。


 エリオ同様、救い難い性格である。


「ああ、いい性格をしている」

 エリオは、溜息交じりにそう言った。


(いや、殿下はそれの上を行くと思うのですが?

 しかも遙か上を……)

 マイルスターは、そう感じると笑いを堪えていた。


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