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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
40.第4次アラリオン海海戦

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その17

「詰まる所、手伝い戦が問題という事ですか?」

 バンデリックは、いきなりそう口走った。


 これまでの流れをぶった切っていた。


 バンデリックにして見れば、珍しい行動かも知れない。


 立場が変わったからだろうか?


 確かに、副官としては命令を滞りなく進めるのが第一である事は言うまでもない。


 でも、艦隊参謀長としては?


 いや、それよりも、バンデリックとしては、この流れを嫌ったのだろう。


 相手にするのは、最悪の敵エリオ。


 隙を作ってはいけない相手である。


「……」

 サラサの方は、黙ってしまった。


 だが、いつもの文句は出て来なかった。


 この辺は、サラサも成長しているという事だろうか?


「やはり、クライセン公に対抗する為には、今のままでは不味いと思ってますね」

 バンデリックは、黙っているサラサに続けてそう言った。


 自分の言った事が間違っていない事を確信した結果の言葉である。


「ええ、全くその通りよ」

 サラサはそう言うと、ドヤ顔をしているバンデリックにムカついていた。


 2人の傍らでは、妙な緊張感が増したフィルタがいた。


 フィルタは、エリオとの交戦経験はない。


 なので、仲間達からの情報のみだった。


 その情報によると、最悪の敵であるという事であった。


 そうなると、これまでの妙な雰囲気も納得するフィルタだった。


 ドヤ顔のバンデリックと妙に緊張しているフィルタ。


 2人に対峙しているサラサは、前に書いたとおりムカついていた。


 サラサにしてみれば、別に隠しているつもりはなかった。


 そして、言い当てられたからと言って、何かが変わる訳ではない事を分かっていた。


 じゃあ、なんでこんな雰囲気のなっているのかって?


(そりゃ、現状では打開出来る手がないからでしょうに!)

 サラサは、誰に突っ込んだか分からないが、心の中で叫んでいた。


 人間は不思議なもので、打開する事が出来ないと分かっていても、考えてしまうものである。


 サラサは、そういったものに嵌まっていただけだった。


「で、どうなさるつもりで?」

 バンデリックは、まだドヤ顔でそう尋ねてきた。


「あれに対抗するには、まず、戦略レベルで対等になる必要があるわね」

 サラサは、気持ちを切り替えるようにそう答えた。


 事、ここに至っては仕方がない。


 ムカついている場合ではないのである。


 ……。


 バンデリックとフィルタは、無言でサラサの次の言葉を待っていた。


「つまり、バルディオン王国の国力を上げていく事ね」

 サラサは、やれやれと言った感じでそう言う他なかった。


 期待されていたようだが、そんな上手い手がある訳がないと言う事である。


 ……。


 バンデリックとフィルタは、また無言でサラサの次の言葉を待っていた。


「そして、それは一朝一夕では行かないという事よ」

 サラサは、期待していた2人の思いを打ち砕いた。


 まあ、あれだ。


 それがあったのなら、もうやっているよね。


 そう、サラサの事である。


 こんな風に思いに耽っている事はないだろう。


「……」

「……」

 期待を打ち砕かれた2人は、ポカンとしていた。


 とは言え、ここで最もダメージを受けたのは、サラサかも知れない。


 改めて口に出して言うと、状況がかなり深刻である事を再認識させられていたからであった。


 そして、こんな思いを抱えながら、最悪の敵と戦わなくてはならなかった。


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