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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
40.第4次アラリオン海海戦

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15/52

その15

 さて、今回も手伝い戦に駆り出されたサラサである。


「閣下、リーランはアラリオン海に、3艦隊を派遣してきたとの事です」

 副官になったフィルタは、そう報告した。


 まだ、ぎこちない所はあるが、立派に副官としての役割を果たしていた。


「数的不利ですな……」

 バンデリックは、含みのある言い方をした。


「そうね」

 サラサは、バンデリックの言葉を肯定しただけだった。


 ……。


 なので、間が空いてしまった。


「なのに、クライセン公はいつも何故か数的不利のまま、戦いに突入しますよね」

 バンデリックは、仕方がないので自分で言葉を繋いだ。


 報告によると、エリオ艦隊と帝国北方艦隊は、確実に衝突するコースに入っている。


 どちらも進路を変えないどころか、速度も変えていない。


 北方艦隊の方は、数が多いので、それでいい筈である。


 だが、エリオ艦隊に関しては、普通に考えれば、もうちょっといいやり方があるようにみえた。


「まあ、味方に有利ならそれでいいんじゃない」

 サラサは、バンデリックの思惑など気にしていないようだった。


 サラサの態度に、バンデリックは少し心配になるのだった。


「何か、気になる事でも?」

 バンデリックは、取りあえず素直に聞いてみた。


 まずは、状況を把握しなくてはならないからだ。


「まあ、今回の手伝い戦は、ハイネル伯次第かなと思っているだけよ」

 サラサは、気のない返事をしていた。


 戦いが目前に迫っている状況下、意外な反応だった。


 手伝い戦とは言え、目がキラキラ、いや、ギラギラ、いや、どちらにしても女性に対しての表現としては不都合だな……。


 兎に角、やる気に満ちているのが、これまでのサラサだった。


 何か、心境の変化でもあったのだろうか?


 まあ、出産を経たので、それによって、人生観が変わる事はよくある事である。


 また、バンデリックは、心だけではなく、体の心配もしていた。


 とは言え、サラサの産後の肥立ちはすこぶる良かった。


 出産後、直ぐに動けるようになっていた。


 関係ないが、リ・リラの方も産後の肥立ちも、すこぶる良く、バリバリと仕事をこなしていた。


 こちらとしては、出産後に心境の変化が出たという事はなかったと思う、今の所は……。


 まあ、人それぞれなのだろう、たぶん……。


「ハイネル伯は、ハイゼル侯に比べると、好戦的な戦術は取らないと思われます」

 バンデリックは、一応そう答えた。


 ハイネル伯の名が出てきたので、その辺を心配しているのかと探りを入れた格好だ。


 とは言え、それはどうも核心を突いていないという確信を持っていた。


「それは比べる相手が悪いのでは?」

 サラサは、そうツッコミを入れてきた。


 どうやら、心、ここにあらずといった感じではないようだ。


 その点では、バンデリックは、安心した。


「まあ、そうでしょうが、他に比べる相手が他にいません……」

 バンデリックは、苦笑いしながらそう受け答えをした。


「そうだけど、参考にならない人を引き合いに出しても、戦いの予想にはならないでしょう。

 こちらとしては、どのような事になっても、対応出来るようにしておかないとね」

 サラサは、意外にも真面目に言ってきた。


「……」

 バンデリックは、真面目な言葉が返ってきたので、思わず黙ってしまった。


 サラサの様子を見て、更に深い事を考えている事が分かったからだ。


「何?」

 サラサは、バンデリックにジッと見られたので、居心地が悪くなった。


 夫婦なので、普通なそんな事ないだろうとツッコミたい。


 あ、でも、そうでもないか……。


「やはり、クライセン公ですか……」

 バンデリックは、やっぱ、そこに行き着くのねといった感じになっていた。


「ふん……」

 サラサは、あからさまに不機嫌になるのだった。


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