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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第4巻  作者: 妄子《もうす》
40.第4次アラリオン海海戦

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その14

 性格も態度も明るいハイネル伯に対して、エリオはいつも通りどよんとしていた。


 おっと、余計な事から入ってしまった。


 今のはなしという事にしてくれませんか……?


 艦橋に立っているエリオは、身動ぎもせずにいた。


 傍らには、総参謀長のマイルスター、副官のシャルスが控えていた。


 戦いを目前と控えているのに、全く動揺する様子もなければ、逸る様子もなく、落ち付いている。


 世界最大級の艦隊を率いる総司令官である。


 流石に、様になっていた。


 と、描写してみたが、やはり、無理がある。


 やはり、エリオはエリオである。


 エリオにとって、世の中の中で、一番やりたくない仕事を今からやらないとならない。


 そうなると、こうなる。


 でも、まあ、そこはエリオである。


 シャルスからの報告を聞いていないようで聞いているのである。


 職業病なのか、報告毎に、それぞれの艦隊の駒を地図上に、自ら動かしているのであった。




- 艦隊位置 -


        MR


LR

        EC


SR

        H

EC:エリオ艦隊

MR:中央艦隊(ライヒ子爵マサオ)

LR:西方艦隊(ルオーラ子爵リンク)

SR:サラサ艦隊

H:帝国北方艦隊(ハイネル伯)




「このままの進路ですと、帝国北方艦隊と正面衝突します。

 よろしいのですか?」

 マイルスターは、何も言わないエリオに確認を取った。


 エリオは、戦場の情報を完全に把握している事は知っている。


 なので、指示がないと言う事は、このままでいい事はマイルスターにも分かっていた。


 しかし、職業上、確認をしなくてはならない。


 只でさえ、水兵達に人望がないエリオである。


 こうやって、速やかなる意思疎通が大事だと常々思っているマイルスターであった。


「うん、このままでいい」

 エリオは、短くそう答えた。


 この答えでは、当然、マイルスターは満足しなかった。


「我が方の艦隊の展開は、上手く行っています。

 出撃させた艦隊を集結させた方が、数的有利になりますが」

 マイルスターは、更にエリオから言葉を引き出しに掛かった。


 そもそも説明が少ないのである。


 エリオ艦隊は14隻、中央艦隊は23隻、西方艦隊は32隻で、合計69隻。

 ハイネル艦隊は23隻、サラサ艦隊は21隻 合計44隻。


「戦いの規模を大きくしたくはない。

 なるべく、各個に当たって、終わりにしたい」

 エリオは、そう言った。


 エリオの言葉に聞き耳を立てていた水兵達は、げんなりしたのは言うまでもない。


 5艦隊の中で、一番数が少ないのである。


 傲慢を通り過ぎて、アホだとしか思えないからだ。


 とは言え、このアホの言う事である。


 無茶な事を言っているが、過去の実績から見通しが立っているに違いないと思う他なかった。


 そうじゃないと、あの世で、エリオは、水兵達にどつき回されるだろう。


 いや、どんな形でもいずれは、そうなるかも知れないか……。


「総旗艦艦隊の陣形はこのままで?」

 マイルスターが、また確認した。


 まだまだ不十分だと思っていたからである。


 今回、エリオ艦隊は子飼いの4隻の他に、10隻の新造艦を麾下に加えていた。


 そして、その10隻が4隻の前に布陣していた。


「問題ない」

 エリオは、再び短く答えた。


 これは、10隻の新造艦に対して、合格点を付けた事になる。


 エリオの名誉(?)の為に言っておくが、10隻の艦長に対して、出撃前に入念な指示を出していた。


 その指示通りに、航行出来ているので、大丈夫だと判断していた。


「全艦に、このまま戦闘態勢に入るように指示します」

 エリオとマイルスターの話が終わったとみたシャルスは、敬礼してそう言った。


 そして、そのまま伝令係に指示を飛ばしていた。


 確認を取らなくていいのか?


 まあ、その辺は、この3人のあうんの呼吸という事である。


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