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学園物語 ~MIYUKI'sカフェ~  作者: 優貴(Yukky)


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18/20

第18話 「二人きりの観覧車」

秋祭りの翌週。

花火大会の余韻がまだ残る月曜日だった。

しかし悠斗の心は晴れなかった。

結奈と美雪。

二人とも本気で自分を想ってくれている。

だからこそ答えを出せない。

だが。

答えを出さないこと自体が二人を傷付けている気もしていた。

昼休み。

教室。

「桜井」

健太がニヤニヤしながら近付いてくる。

「なんだよ」

「今度の日曜暇?」

「まぁ」

「遊園地行こうぜ」

「急だな」

「駅前商店街の抽選会でチケット当たった」

「へぇ」

「四人分」

嫌な予感がした。

「誰と行くんだ」

「俺と」

「うん」

「お前と」

「うん」

「美雪さんと」

「おい」

「結奈さん」

「おい!」

教室中が爆笑した。

健太は満面の笑みだった。

「楽しそうだろ?」

「絶対面倒なやつだろ」

「青春だぞ」

「お前絶対面白がってるだけだろ」

図星だった。

そして日曜日。

青葉遊園地。

駅前でも有名な大型施設だった。

待ち合わせ場所。

まず現れたのは結奈。

白いブラウス。

ロングスカート。

落ち着いた雰囲気。

「おはよう」

「おはよう」

その数分後。

「ごめーん!」

美雪が走ってくる。

カジュアルな私服。

元気いっぱいだった。

「遅刻じゃないよね!?」

「ギリギリ」

「セーフ!」

そして最後に。

健太。

「よし行くぞ!」

「お前が一番楽しそうだな」

「当然だ!」

四人は園内へ入った。

ジェットコースター。

お化け屋敷。

メリーゴーランド。

様々なアトラクションを楽しむ。

しかし。

事件は突然起きた。

午後。

観覧車。

「これ乗ろう!」

美雪が指差した。

「いいな」

健太も賛成する。

四人で列に並ぶ。

ところが。

直前でスタッフが言った。

「申し訳ありません」

「?」

「一台点検中のため、二人ずつでお願いします」

沈黙。

そして。

健太がニヤッと笑った。

「じゃあ俺と結奈さん」

「は?」

悠斗が振り向く。

「決定!」

「勝手に決めるな!」

しかし。

スタッフは次々と案内を始める。

気付いた時には。

悠斗と美雪。

同じゴンドラの中だった。

ガタン。

扉が閉まる。

ゆっくり上昇が始まる。

「……」

「……」

妙に静かだった。

「なんか」

美雪が笑う。

「緊張するね」

「そうだな」

二人きり。

逃げ場もない。

観覧車はゆっくり空へ向かう。

窓の外には街並みが広がる。

「綺麗」

美雪が呟いた。

そして。

少しだけ真剣な顔になる。

「ねぇ」

「ん?」

「私さ」

悠斗を見る。

「最近いっぱい考えてた」

「……」

「結奈ちゃんのこと」

予想外の言葉だった。

「結奈?」

「うん」

美雪は窓の外を見る。

「すごく良い子だよね」

「そうだな」

「優しいし」

「真面目だし」

「可愛いし」

少し笑う。

「負けそうになる」

その笑顔は少し寂しかった。

「でもね」

「?」

「それでも負けたくない」

真っ直ぐだった。

「だって好きだから」

悠斗は何も言えない。

「好きになったの後悔してない」

「……」

「結果がどうなっても」

「……」

「好きになれて良かった」

その言葉には嘘がなかった。

観覧車は頂上へ近付く。

街が一望できる高さ。

静かな空間。

美雪は少し笑う。

「重かった?」

「いや」

「ならよかった」

そして。

「でもね」

「ん?」

「少しだけ期待してる」

そう言った。

悠斗の心臓が跳ねる。

「悠斗くんが」

「……」

「私を見てくれること」

その瞳は真剣だった。

逃げられないほど。

まっすぐだった。

一方。

別のゴンドラ。

健太と結奈。

「気まずいですか?」

健太が聞く。

「少しだけ」

結奈は苦笑した。

「でも」

「?」

「美雪ちゃんとちゃんと勝負したいから」

結奈は窓の外を見る。

「後悔しないように」

健太は思った。

二人とも本気だ。

そして。

悠斗もきっと苦しんでいる。

だからこそ。

誰かが傷付く未来は避けられない。

観覧車が地上へ戻る。

扉が開く。

美雪は先に立ち上がった。

そして振り返る。

「今日は楽しいね」

笑顔だった。

だけど。

その笑顔の奥には。

決意が見えた。

もう逃げない。

もう遠慮しない。

そう決めた顔だった。

そしてその日の帰り道。

悠斗のスマホにメッセージが届く。

送り主は結奈。

『来週の日曜日、少し時間ある?』

短い文章。

だけど。

悠斗には分かった。

これは。

結奈なりの勝負なのだと。

美雪が踏み出した。

今度は結奈が踏み出す。

そして。

悠斗もまた。

いつまでも答えを先延ばしにはできなかった――。

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