第11話 「文化祭最終日、そして告白へ」
文化祭二日目。
そして最終日。
朝から青葉学園は大勢の来場者で賑わっていた。
「昨日より人多くないか!?」
健太が叫ぶ。
「多いな……」
悠斗も驚いていた。
二年A組の『青葉カフェ』には開場直後から長蛇の列ができていた。
「いらっしゃいませ!」
美雪の元気な声。
「こちらへどうぞ」
結奈の丁寧な接客。
二人は昨日以上に忙しく動き回っていた。
昼過ぎ。
ようやく少しだけ落ち着く。
悠斗は厨房の裏で一息ついていた。
すると。
「お疲れ」
美雪がスポーツドリンクを持ってきた。
「ありがと」
「今日はすごいね」
「予想以上だ」
「みんな頑張ったもん」
二人は並んで座る。
少しだけ静かな時間。
「ねぇ」
美雪が言う。
「ん?」
「文化祭終わったら寂しくなりそう」
「確かに」
「最近毎日忙しかったし」
「そうだな」
美雪は少し笑った。
でもその笑顔の奥に何かを隠しているようだった。
「悠斗くん」
「ん?」
「もしさ」
「うん」
言いかけて。
「やっぱり何でもない」
美雪は立ち上がった。
「仕事戻る!」
そう言って逃げるように去っていく。
悠斗は首を傾げた。
午後。
文化祭は最後まで大盛況だった。
そして。
午後五時。
『文化祭終了です』
校内放送が流れる。
大きな拍手。
歓声。
達成感。
みんなの顔が笑顔だった。
「終わったぁぁぁ!」
健太が机へ突っ伏す。
「疲れた!」
「でも楽しかった!」
「最高だったな!」
教室中が盛り上がる。
そんな中。
結奈が静かに悠斗へ近付いた。
「終わったね」
「ああ」
「少し時間ある?」
悠斗は頷いた。
「もちろん」
その様子を。
美雪は遠くから見ていた。
何も言わず。
ただ静かに。
夕方。
文化祭後の校舎。
人も少なくなっていた。
結奈は悠斗を屋上へ連れて行く。
風が吹いている。
夕陽が町を赤く染めていた。
「ここ好きなんだ」
結奈が言う。
「静かだから」
「そうだな」
二人きり。
誰もいない。
結奈は深呼吸した。
少し緊張しているようだった。
「悠斗くん」
「うん」
「私ね」
その声は震えていた。
でも。
瞳だけは真っ直ぐだった。
「十年間」
「……」
「ずっと会いたかった」
風が吹く。
結奈の黒髪が揺れる。
「約束を覚えていたから」
「うん」
「会えた時、本当に嬉しかった」
悠斗は黙って聞いていた。
「最初はね」
「うん」
「約束を果たしたかっただけ」
「……」
「でも」
結奈は小さく笑う。
「違った」
「え?」
「一緒に過ごして」
「話して」
「笑って」
「文化祭もやって」
「気付いたの」
夕陽が瞳に映る。
そして。
結奈は言った。
「私は悠斗くんが好き」
時間が止まった気がした。
「……」
「恋愛として」
「男の人として」
「好き」
真っ直ぐな告白だった。
逃げ道も。
ごまかしもない。
ただ純粋な想い。
悠斗の心臓が激しく鳴る。
「返事は今じゃなくていい」
結奈は微笑む。
「ちゃんと考えてほしいから」
「結奈……」
「待つよ」
そう言った。
そして。
その時だった。
屋上の扉が開く。
ガチャ。
二人が振り向く。
そこに立っていたのは――
白石美雪だった。
「……」
言葉が出ない。
美雪は二人を見る。
そして。
少しだけ寂しそうに笑った。
「やっぱり」
その一言。
結奈も悠斗も固まる。
夕焼けの屋上。
三人の恋は。
ついに交差した――。




